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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 3章 千客万来

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いくすくるーしぶ〔前編〕

いくすきるーしぶは、他に類を見ないって意味で使ってます。

 よし、こんな感じかしらね。

 今回の鬼花をモチーフにした髪飾りは今までで一番の出来に思えるわね。


 ・・・うん。

 色は別として造形だけなら本物と見紛うばかりの仕上がりですね。

 後はこれに色を付ければ完成なのだけれども・・・


 シズネが居ないと着色ができないですわね、【硬化】で固くしてもらわないと色が安定しないのです。


 以前、いちいち【硬化】してもらいに持って行くのが面倒で、そのまま着色をした事が有るのですが。

 最悪の結果になりましたわ。

 思った通りに色は付かず、塗料が乾くと変色してしまっていましたわ。


『な、なんか・・・恐怖を感じる色合いなんだけど・・・』


 などと言う不名誉極まりない言葉をシズネが言っていた程でしたからね。

 それが出来上がった経緯を話すと。


『持って来てさえすれば【硬化】するのは構わないんだけどね、確かに持って来るのって面倒だよね。・・・他の方法で固く出来ないか試してみるね』


 と言っていたのですが、何か方法は見付かったのかしら?

 見付かったのなら早く帰って来て教えて欲しいものですわ。

 それに材料の『拒絶の壁』残り僅かですしね。


 もちろん他の材料も色々な物を試しましたわ。

 彫金などで多用する金属から、鍛冶で使う金属まで。

 彫刻などに使う固い木材から建築に使う安い木材まで。

 他にも陶芸に使う土や煮スラ・乾スラなど、思い付く限りの素材を試しましたとも。


 だけれども【軟化】で柔らかくした『拒絶の壁』に迫る良質な素材は見つかりませんでしたの。

 そもそもですよ。

 固いの代名詞たる『拒絶の壁』を柔らかくするなんて事を思い付くのが不思議ですわ。

 シズネは『転生者』だと聞いておりますが、『転生者』とはこの様な不思議な事をさも当然と行うものなのでしょうか?

 シズネが特別変わり者だから思い付くのでしょうか?


 妾には確定は出来ませんが恐らく面倒なのが嫌いなシズネだからこそだと思うのです。


『他に探すのは面倒だし、これ凄く固いからこれで良いかー』


 そんな感じなのでしょう。

 全く持って・・・などと呆れたいのですが、こんな利用法が有るのなら妾は歓迎致しますわ。


 【軟化】【硬化】の手間は有りますが、アクセサリーを自作出来ると言うのは面白いですわ。

 世界で唯一ただひとつの物を身に着けるのは至極の事ですわ。

 モチーフも思い付く限り全て、こんな可能性の限界が見えない事なんて他に有りませんわ。


 まだまだ作ってみたい物が沢山有るのに・・・材料が・・・

 シズネ!

 早く帰っていらっしゃい。

 妾は待ちくたびれていますよ。


「ユグスー♪居るかー♪」


 ・・・珍しい客が来た様ですね。

 騒々しいので余り相手をしたくは無いのですが・・・

 妾も丁度暇になった所ですので相手をいたしましょう。


「アイシャ、入って良いわよ」



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 ババンババンバンバン♪

 (******)

 ババンババンバンバン♪

 (*ー*****)

 良い湯だな♪

 (****)

 良い湯だな♪

 (****)


 あっはっはー

 脳内、合いの手ありがとう!

 あんたノリは良いから助かるわー


 ってな訳で脳内とセッションした理由は・・・

 着々とお風呂が完成に向かってるのです。


 湯船の広さとか出水口のデザインとか色々と悩んだけどね、気に入らなきゃ拡張縮小も自在だしデザイン変更も容易なのを思い出したからさ、まずは思い付きで作っちゃう事にしたんだ。


 それで大まかに作った結果・・・男女別にするのを忘れちまってたよ!

 入浴時間を決めて男女別に出来るけどさぁ・・・これって全裸の男女が鉢合わせしてトラブるフラグを立ててる様なものだよね。

 そんなフラグは面倒なだけだから立てる要素は消さなければ!


 そんな訳で今は仕切りを作ろうとしているんだけど。

 悩んでいるのですよ、住人は男2人女3人・・・私は小さいから数に入れてないよ。


 比率からすれば女湯を広くするのが普通だろうけど、泊まってく客とか居るなら男の方が多いと思うんだよね。

 おっちゃんとか爺様とかさ。


 うーん・・・やっぱり半々で良いのかな、急ぎ拡張はさすがに出来ないからね。

 割合はそれで良いとして。

 あれ、どうしようかな・・・

 この世界の人が喜んでくれるのか分からないしなぁ。

 うーん

 ・・・

 ・・

 ・

 一応作ってみようかな。

 不評だったら拡張用のスペースにしちゃえば良いんだしね。


 そうと決まれば仕切りを作る前に仕上げちゃおう。

 ん?

 だってさ、仕切りを先に作っちゃうとあっちとこっち別々に仕上げないとダメになるんだよ、そんなのは面倒だからさ、先に仕上げちゃってから仕切る方が楽だし時間の短縮にもなるよ。


 そう、時間無くなって来ているのだよ。

 おっちゃんがやって来たら風呂場は一時中断して玄関の改装をしなければならないのだから。


 玄関改装をしたらスカージュちゃんとの勝負に勝てなくなっちゃう可能性がグンと上がっちゃうんだよ。


 1回でいいからスカージュちゃんを燃料にお湯を作りたいんだよね♪

 ただの好奇心でしかないけどさ、限度を超えて照れるとどうなるか見てみたいんだよね。


 ・・・脳内!

 趣味悪とか言わない!

 これは学術的好奇心なのだよ。

 限度を超えたら超野菜星人みたいに身体を何かが覆うかも知れないでしょう。


 そしたらスーパースカージュちゃんだよ!

 何か強そうだよ!

 脳内、あんただって見てみたいでしょ?


 ふっふっふっ。

 ほらご覧なさい、あんただって興味持ったじゃないの。

 試す価値は有るでしょ。


 そして、試すには勝負に勝たなければならない!

 負けられない闘いなのだよ!


 だからっ!

 急ぎ仕上げだぁ!

 あっ!

 でも、丁寧にやらないとね。

 やり直しなんてのは時間の無駄遣いってもんだからね。


「シッズネッさーん♪どこですかー?」


 むっ?

 スカージュちゃん、私に何か用かな?

 私は忙しいのだけど。


 はっ!・・・ま、まさか・・・小範囲ブレスが出来る様になったんじゃ・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 もしそうなら、火力が弱いとか言って難癖つけてやろう。

 うん!それしかない!




「あっ!シッズネッさーん♪あたしやりましたよ!」

「・・・まさかっ!」

「ふっふっふっ・・・そのまさかです!」

「そっかぁ・・・とうとうやったかぁ・・・ダメだよー夫婦喧嘩は犬も食わないって言うんだよ」

「なっ!違いますっ!シュヴァツと喧嘩してません!」

「えっ?・・・違うの?」

「違いますっ!小範囲ブレスが成功したんですっ!」

「か、完成しちゃったかぁ・・・そっかぁ・・・はぁー・・・楽しみにしてたのにぃー」

「小範囲ブレスを見る事をですか?」

「ううん、照れまくりのスカージュちゃんを見る事をだよ」

「そっちっすかっ!」

「そだよっ!学術的に検証したかったんだよ!」

「が、学術的!?・・・なんか大事になってないっすか?」


 私が勝手に大事にしたんだもーん。

 スーパースカージュちゃん・・・きっと格好良いだろうなぁ。


「まぁ・・・しょうがないかぁ。んじゃ、見せてもらおうかな?小範囲ブレスをね」


 ここはニヤリと笑って不敵感をだしとくと良いかも。

 はっ!

 ・・・表情作れないんだったー


 ・・・早く・・・早く人間になりたぁーい!

 ふぅ、負け惜しみでも言っときますか。


「ふっふっふっ、火力が弱かったら修行のし直しだかんね」

「ふっ!・・・火力は普通のブレスより上っす!」


 なんだとー!

 こりゃ、私の完敗決定なのか?

 ・・・と、とりあえず見てみようじゃないか。


 

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