表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/519

掘って掘って掘りまくる

「ミランダさん、【穴掘り】のマテリアルって持ってる?」

「へっ?持ってないけどどうしてー?」

「かあさまと同じスキルが欲しいよ」

「え゛っ!?」


 また・・・またサラリと、とんでもない事を言ったわよ。

 ティファちゃんがシズネちゃんと同じスキルを持ったら・・・

 や、止めよう、考えちゃいけない事な気がするもの。


「お、同じのねー。でも【穴掘り】だけで良いのー?」

「ううん、全部だよ?全部かあさまと同じのが欲しいよ」

「それは無理かなー」

「なんでっ!?」

「【頬袋】はマテリアに無いからねー、代わりになるのは有るけどー【頬袋】は無理なのよー」


 スキルじゃないけど備考欄も同じのが欲しいって言わないだけいいのかな?

 

「でねー、何で同じスキルが欲しいのー?」

「かあさまのスキルの名前は格好良いよ。うん、格好良いよ。私のは・・・【レイニードル】とか【フェザーボム】とか【フラッシュウィング】とか【グランスムーヴ】とか・・・なんか微妙だよ。かあさまみたいな格好良いのが良いよ」


 ・・・シズネちゃんと同じ事を言ってるね。

 血の繋がりが無くても似た者親子って事なのね。

 こりゃ、アッという間に懐く訳だ。


「ティファちゃん?シズネちゃんも同じ事を言ってたわよー」

「えっ?」

「シズネちゃんの台詞をそのまんまだとー『クッ、ルックスの可愛さで完敗してスキルの名前の格好良さでも完敗・・・私じゃティファに勝てないって事かーっ!』だってよー」

「えっ?えっ?・・・ホントに?」

「あはははは、ホントよー。その後も何かブツブツ言ってたものー」


 おぉ?なにそれ?

 どうしてそれで真っ赤になって俯くんだ?

 ウブな恋する乙女みたいで可愛い過ぎるんだけど。

 シズネちゃん・・・いろんな意味でティファちゃんには勝てそうにないよ・・・


「でも、やっぱりかあさまと同じスキルが欲しいよ」

「う~ん・・・ティファちゃんはさーシズネちゃんの凄さってなんだか分かるー?」

「え?・・・みんなに優しいとことか、自分で言った事はやるとことか、手持ちのスキルを使いこなせるところとか?」

「全部正解だけど2つ抜けてるよー、それはね集中力と特異な体質よー。シズネちゃんがねー【穴掘り】熟練度を600まで溜めるのに5日しか掛かってないのー。これは凄く異常なのー、鉱山とかで掘るのが仕事の人でも600溜めるのに早くても200~300年掛かるのよー、そもそも600まで溜まる事すら稀なのよー。それを5日って普通に有り得ない事をやってのけてるのよー」

「!!・・・200~300年を・・・5日?計算があわないよ?」


 シズネちゃんは他の世界で生きていた記憶が有るって言っていたのよ。

 これは完全に推測でしかないんだけど、世界を管理する側が何らかの手違いをシズネちゃんにしてしまった。

 例えば前に居た世界で死なせてしまったとか、他人と間違えてここに送ってしまったとか。

 シズネちゃん自体には抗えない何かをね。

 管理側も元に戻す事は出来ないから、ここで生きていく上であからさまではないボーナスみたいな物を付与したんじゃないかな?

 それが熟練度上昇に+αされる特異体質なんじゃないか?

 って私はおもうの。


 でなかったらスキルがカンストするなんて普通に生きてても先ず無い事が何個も重なるなんて有り得ないもの。

 まぁ当の本人は『頑張って良かった』くらいにしか思ってないみたいだし。

 ノンビリと楽しく生きていけるならスキルなんて要らないって思ってる節も有る位だから、あえて特異性について誰も言わないんだよね。

 言った所で『そーなの?』位で済みそうな気もするんだけどね。


「計算が合わないのはねーシズネちゃんの特異な体質が関係してるからなのよー。それでもね寝てる時とご飯の時以外はずっと掘ってたって言ってたからー、集中力も凄いのよー?だからねー、ティファちゃんが新しいスキルを身に付けるならシズネちゃんが『良いな~』って思う物が良いと思うよー」

「かあさま怒らない?」

「怒んない怒んないー、怒るどころかー『私もティファに自慢できるスキルを覚える』って言いそうよー。ティファちゃんは攻撃系のスキルは充実してそうだからー製作系のすきるなんてどうー?」

「う~ん・・・かあさまは何を覚えたらビックリするかな?」

「意外と何でも作れるのよねー、シズネちゃんってー。ん~・・・あっ!音楽なんてどー?前にティファちゃんの歌を聴いて嬉しそうにしてたんでしょー?シズネちゃんは音楽聴くのが好きなんだと思うよー」

「そっか・・・うん!かあさまは喜びそうだよ、私頑張るよ!!」


 んじゃ、話も逸らせて音楽スキルを覚えるって事で纏まったから、続きを話してあげようかな。

 あれ?・・・音楽系のスキルなんて有ったっけかな?

 ・・・さ、探してみよう。


「ティ、ティファちゃん話の続き行ってみるー?」

「うん!」



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 こちら目標に向けて爆掘り中のシズネです!

 

 なんかさー 

 目標が出来て前向きになったら運が向いて来たよ。

 あのね、掘り進んでて最初にぶつかった木がドングリのみのる木だったの。

 いっぱい落ちてたよ、独り占めは良くないから30個位巣穴に持ち帰ったの。

 これで結構な期間食いっぱぐれないよ。

 

 それとね、【頬袋】に何回も出し入れして運んだから熟練度も上がったの、【無限収納】に1歩近付いたのよ。むふ♪

 【穴掘り】もね熟練度300超えたの。

 スタミナUPって5%でも凄いの。

 休憩を挟むまでの短い時間だと分からないけど、1日単位で見てみるとね明らかに前より長く掘れてるんだよね。

 【横堀り】もね部屋みたいのを作る時には重宝するんだよね。

 私2匹分が1掻きで掘れちゃうんだよ!

 まぁその分疲れるんだけどね。

 でも、やっぱり楽に掘れてる感は凄いから重宝してるのよ。


 なんもかんもが上手く行ってる気がしてたんだけどね。

 元の出入り口からご飯の木まで結構距離があるのよね。

 どっちかを重点的に開発した方が良いとおもうんだけど。

 どっちを開発したら良いのか迷うんだよね。

 

 思い返すと元の出入り口は結構目立つ所にあると思う、でも逆に目立つから目に入らない可能性も有る・・・かも?

 ご飯の木の方も他の木の実を食べる動物が集まると思う・・・それを狙う肉食系も集まりそう。

 う~ん

 ・・・

 ・・

 ・

 うん、決めたっ!

 元の出入り口を開発しよう。

 ご飯の木の出入り口は普段は塞いでおこう。

 開けっ放しで何かが入って来てるのに気が付きませんでした、は洒落にならないでしょ?

 だって狩られちゃうよ?


 よっし!

 早速塞いで来よう。

 でも塞ぐ前にもう1度外を眺めようっと。

 ずっと土の中って気が滅入るんだよ?

 いつか堂々と散歩してやるって目標〈其の1〉がないと挫けちゃいそうでね。


 うん。

 やっぱり綺麗な景色よね。

 しっかし不思議なんだよね。

 前は自然とか景色に興味なんて無かったはずなんだよね。

 それが今じゃ、ずっと見ていたいなって思うんだから。

 これもハムスターになったからなのかな?

 んま、悪い事じゃないからいいよね?


 さて、いつまでも見てたら危険だからそろそろ塞がないと。


「私は戻って来るぞ艱難辛苦を乗り越えてこの景色を見に帰って来るぞ!あいしゃるりたーん!」


 さってと~

 宣言を実現するために掘りまくるぞ!


 にしても元の出入り口が遠い~

 どっかのハムスターみたいにトットコ走ってたら日が暮れちまうわー!

 黄金聖闘士みたいに光速移動だ!

 ん?

 もちろんできませんよ?

 気分だよ気分、当たり前じゃないか。

 そんな移動が出来るなら穴を掘ってないって。

 でも・・・そういうスキルが欲しかったな。

 もしあったとしてもね、どうやって覚えれば良いのか分からないからなぁ。

 お手上げね。


 覚えれるのが確定してるスキルに不満なんてないけどさぁ。

 そゆ凄そうなスキルって憧れちゃうもんでしょ?

 やってみたいと思わない?

 光速移動して残像を残して攻撃をすり抜けさせて。


『馬鹿な!』『なに!?』『どうなってるんだ?』


 なんて台詞を言わせるの。

 そっから普通なら自分のやった事の説明をするんだろうけど・・・

 私はしない!

 敵に塩を送ってどうすんのよ?

 心を折りまくって絶望で満ちさせれば勝ちでしょ?

 動くだけで攻撃しなくても勝ちって楽で良くない?

 バトルなんてする無駄な体力は使いたくないもーん。

 そんなんするなら散歩をしてる方がきっと楽しいよ。


 その楽しい散歩のために・・・

 掘るっ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ