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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 3章 千客万来

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時は満ちたっ!〔爺様の場合〕

 うむ! 完成じゃ。

 嬢ちゃんの依頼の各種金属のシャベル、中々面白い仕事じゃった。


 何が面白いってかのぉ?

 工夫次第で完成時の強度・用途が様変わりするんじゃの。


 例えば、重心の位置じゃの。

 手元にすればナイフや小刀の様に扱えるのじゃ、重さを余り感じず素早く振る事が出来るの。


 逆に重心を先端辺りにすると、超小型の斧の様になるのじゃ、重さを生かし振る事になるので一撃の威力が増すのぉ。


 真ん中らへんは中庸で面白うないので却下じゃの!


 他にも、通常のシャベルについとるアールと言う物が強度を増すのに必要な物じゃったと言う事じゃの。

 あのアールのおかげで真っ直ぐ突いた時に変形しない様になっておったのじゃ。

 嬢ちゃんの依頼通りにアールを無くすと、別の方法で強度を増さねばならんのじゃ。


 一番簡単な強度の持たせ方は肉厚にしてしまうのじゃがの、それでは幅広の特殊ナイフになってしまいシャベルではなくなってしまうのじゃ。

 これでは依頼に反する事になるのぉ。


 二番目に考えたのがふちの近くに厚みを持たせる方法じゃの。

 強度は確かに増すのじゃの、シャベルや武器としての機能が少々低下してしまうのじゃ。

 機能劣化してしまうのでは、この方法は正解とは言えんのぉ。


 三番目に試したのは、中心に有る芯から補強の芯を伸ばす方法じゃの。

 これは中々上手く行った、機能低下も無い上に強度も各段に上昇したのじゃ。


 補強はこの方法を使うとしてもじゃ、補強する芯の数を決めるのにも苦労したのじゃ。

 多すぎれば強度は万全となるのじゃが、肉厚にしたのと変わりなくなってしまうしの、かと言って少なくしてしまうと歪む可能性が増してしまう。


 そうこう試行錯誤して完成に漕ぎ着けたシャベルなんじゃがのぉ・・・何かに似ておるのじゃのぉ。

 妙な物に仕上がった訳じゃないのじゃが・・・このデザインを見て。


『こんなのシャベルじゃない!』


 などと言わねばよいのじゃがのぉ。

 いや、あの嬢ちゃんなら言わん気がするのぉ、逆に。


『何これー何か可愛いー』


 などと言いそうな気もするのぉ。

 いやいや、全く違う反応を・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 うーむ・・・全く読めん嬢ちゃんじゃのぉ。

 流石は転生者と言ったところじゃの。


 転生者で思い出したのじゃがの。

 儂は嬢ちゃんに過去を調べる許可を貰って調べたんじゃがの・・・

 おぉ、過去と言ってもの、前世の事じゃの。

 転生者と言う事は前世は間違い無く有るのじゃ。


 確かに前世は有ったのぉ。

 今の嬢ちゃんと同じ人格・性格の前世も有ったのぉ。


 じゃが、ちとおかしかったのじゃ。

 今の嬢ちゃんにはあるが、前世の嬢ちゃんには無い所が多分に有ったのじゃ。


 もっとおかしい事に、嬢ちゃんの言う14歳で死んだ前世がないのじゃ。


 嬢ちゃんの前世は6前まで有ってのぉ。

 どれも寿命を全うしておったのじゃ、その世界の平均寿命より低い年齢で死んだ生は無かったのじゃ。


 嬢ちゃんの備考欄にある『熟練者』と言うのが引っ掛かり前世を調べてみたのじゃが・・・

 全く持って引っ掛かりが無くならんのじゃ。


 この世界に居たは勿論無い。

 14歳で死んだ生も無い。


 ならば、今の嬢ちゃんは何者で『熟練者』は何故備考欄に有るのか、明確な答が見つからんかったのじゃ。


 儂なりの推測が出来る部分はあるのじゃがのぉ・・・

 普通なら有り得んのじゃ。


 嬢ちゃんには秘密じゃが・・・監視とまでは行かぬが様子を見続けた方が良いかも知れんの。

 嫌な予感がしてならんのじゃ。

 嬢ちゃんには悪いが、何かあるとしか思えんのじゃ。


 今の所、何らかの兆候が有るようには見えんがの、何がきっかけで兆候が出るか分からんしの。

 目を離さん方が良いのかも知れんのぉ。


 おぉ?

 何やら暗い話になってきおったのぉ。

 イカンイカン、爺の取り越し苦労の可能性も高いのじゃ、決め付けて掛かるのは良くないのぉ。

 あれだけしっかりした自我が有るのじゃし、大丈夫じゃろうて。


 さてと、嬢ちゃんに納品にでも行くかのぉ。

 ・・・

 ・・

 ・

 むぅ・・・気に入って貰えるかの心配が再び浮上してきおったのぉ。

 こんな緊張は久しく味わってないのぉ。


 ガハハハハ!

 こんな爺を緊張させるとはの・・・やはり面白い嬢ちゃんじゃの。




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