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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 3章 千客万来

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時は満ちたっ!〔おっちゃんの場合〕

 おぉっ!

 あれがエリート様の学校か。

 ・・・立派なもんだな。


 でもなぁ、聞いた所によるとたちは悪いみたいだけどな。

 服装で裕福、貧乏が分かるから、あからさまな差別が有るとか言ってたなぁ。


 若い頃は憧れたけどよ・・・

 行かなくて良かったって心底思うぜ。

 なんつったって、こちとら生まれも育ちも貧乏のエリートだからよ。


 まぁ、貧乏のエリートだからこそ商売が底々で持ちこたえているんだけどな。

 粗食・少食には慣れてっからよ、売上金を殆ど仕入れに回せるんだよ。

 良い物を仕入れりゃ大概が売れる。

 中には売れねぇ物も有るけど、そんなのは極少数だからな。


 そんな売れねぇ物を仕入れるのもよ、作った奴に恩を売る訳じゃねぇが、顔繋ぎとしちゃ最適なんだぜ。

 次にそいつの所に行った時の態度ってのが違うんだよ。

 訝しい顔じゃなくて、笑顔で迎えてくれるんだわ。


 中には心底 たちの悪い奴も居たりしてな、売れねぇ物を買って行った馬鹿って扱いをするんだわ。

 んま、そんな奴と分かったら二度と行かねぇがな。


 まぁなんだ、そうやって少しづつ金を貯めて今の店を買って商売をダラダラと細々続けて来たんだがな。


 ある日な、俺が試される事になったんだわ。

 可愛いなりした上に俺が損をするのを心配する優しさを持っている・・・

 だけど別の一面は容赦の無い実力行使も出来る強さと恐さも併せ持った嬢ちゃんに試されたんだが・・・


 俺にとっちゃ極々当たり前の事だった。

 やっちゃいけねぇと自分で決めていた事を守って欲しいと頼んできたんだわ。

 そんなだから一も二も無く二つ返事で了解して、嬢ちゃんの物を売ってたんだわ。

 まぁそしたら、売れる売れる。

 あんまりにもサクサク売れるからよ、欲かいて値上げしちまおうかと一瞬考えちまったけど・・・ふっと嬢ちゃんが心底悲しんでる顔が浮かんだんだよな。

 嬢ちゃんは。


『私、表情は作れないよ?』


 なんて言ってたけどよ。

 なんか・・・分かるんだよな。

 多分、あの時に一緒にいた御三方も同じで、分かると思うぜ。


 俺はよ、きっと嬢ちゃんの魅力ってのか?

 そういうのに囚われちまったんだと思うぜ。

 だってよぉ、嬢ちゃんが悲しむのは俺が死ぬ目にあうより嫌だって思っちまうんだ。


 そんなふうに思ったらな、出て来てた欲ってのが、出て来た同様に一瞬で消えたんだ。

 自分でも不思議だったけどよ、その後で嬢ちゃん抜き打ちチェックに来た時に心底安堵したぜ。


 マジで安堵したっての。

 嬢ちゃんが再び来る前に、嬢ちゃんと獣魔王がゴルドの糞野郎にした事を聞いたんだが・・・

 今でも信じられねぇ、あのちっこい嬢ちゃんがゴルドの屋敷を全壊したっつうんだからよ。


『瞬く間に蒼い巨石を5つ出現させて破壊した』


 ってゴルドに雇われてた筆頭番頭が証言してたからな。


 蒼い巨石ってのは『拒絶の壁』の事だろうな。

 ・・・そんなデカい『拒絶の壁』の石・・・いったいどうやってって疑問はあるけど、これから嬢ちゃんの所に行く訳だし疑問も晴れるんじゃねぇかと思っちゃいる。


 話を戻すがよ。

 ゴルドの二の舞は御免被るってのも有ったけどよ、ゴルドの顛末を聞いて約束よりも金に目が眩んじまったらいつか身を滅ぼす事になる、そう思ったんだわ。


 俺は運が良い方じゃねぇし、滅ぼす可能性の方が高いって思うぜ。

 まぁ、嬢ちゃんと知り合って金に執着しなくても儲かる気がしてるから今まで通りに商売をやってくんだがな。


 だけどな・・・

 ぶっちゃけちまえばな、儲けなんてどうだって良いんだよ。

 金なんてもんは日々の食う分と毎晩飲める1杯の酒代がありゃ暮らしていけるからな。

 なら何で、あの時に利益を上げようとしたのかが不思議なんだけどな・・・これでも商人の端くれだからよ、儲けに傾倒してたんだと思うんだ。


 俺は捻れてっからかな?

 傾倒しそうになったけど商売してるのは儲けるのが目的じゃねぇ。

 売れるって事が目的なんだ。

 売れるってのはよ、自分の見立てが正解だったって事なんだよな。

 誉められてるのと同じなんだ。

 それが嬉しくって商売やってるようなもんなんだわ。


 今向かってる所は新規の所になるんだけどな。

 嬢ちゃんの所だからな、かなり期待してんだわ。

 嬢ちゃんは期待は大きく持たないでくれって言ってたけどよ・・・

 面白そうな物を用意していてくれる気がしてならねぇんだわ。


 っと、人間界側に着いたな。

 嬢ちゃんは目印を置いとくつってったけど・・・どれだ?

 ・・・

 ・・

 ・

 うん?

 あれかっ?

 壁の角に斜めに刺さってる棒みたいのが目印なのか?

 良く見っと先端に何か付いてるな。


 ありゃ・・・布か?

 何か書いてあるが・・・下向きの矢印か?

 ってこたぁここを真っ直ぐ降りてきゃ良いんだな。


 ん?・・・んん?

 なんだ?あの赤い線は。

 更に1本増えたぞ。


 真下を起点にして真っ赤な線が右に左に動いてるんだよ。

 嬢ちゃん達が何かをしてるんだろうが・・・何やってんだ?・・・やっぱ嬢ちゃん達は面白れぇ、気になる事やってくれやがる。


 さぁて、さっさと行って色々楽しんで来るかっ!


 

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