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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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仕上げに向けて〔中編〕

 スカージュちゃんと別れて玄関先でミランダさんを待つ事にした私なんだけども。

 この玄関先ってのが少し厄介かも知れない事に気が付いたの。

 ほら、人間サイズからしたらハムスターってミニマムサイズでしょ、居るとは知らずに蹴飛ばされたり踏み潰されたりするかも知れないでしょ?

 ・・・かもどころじゃないかな。

 何かに集中したノスフラト君辺りはやっちゃいそうな確率が高そうだな。


 そうすっとだよ。

 何か台みたいのを作って、その上で待ってるのが良いのかな?

 でもなぁ、わざわざ作るのがメンドクサイな。

 うーん・・・

 玄関の横で良いか。

 蹴られたりしなければ良いだけだしね。


 にしてもだ。

 結構立派な玄関を『拒絶の壁』の石を加工して作るのに成功したんだけど、何か殺風景なんだよね。

 それと、私とアイシャさん以外には少し重いみたいなんだよね。

 蝶番を作る事が出来なかったから引き戸にしたんだけど、結構な力を込めて開け閉めしてるのをちょくちょく見掛けるんだよね。

 木製に作り替えた方が良いかな?


 ・・・木工かぁ、木工ねぇ。

 まだまだ上手に出来ないんだよね。

 そもそも材木自体が少ないから練習で何かを作るって事も出来ないしね。


 おっちゃんに注文した木材が届いたら本格的に始めるんで良いかな?

 無い物は無いんだししょうがないよね。


 木製にするって事は玄関が濡れないように様にしないと長持ちしなくなっちゃうかな?

 日除け雨除けも作った方が良いなぁ。


 ふむー・・・大々的に改造って事だね。

 これまた時間が掛かりそうだよ。

 でもまぁとりあえずは完成した時のイメージ。

 ・・・

 ・・

 ・

 おぉっ?

 何かいい感じだぞ?

 日除け雨除けで殺風景な感じも無くなるし、木製の玄関ってのがアパート感を出すし。

 私は嫌いじゃない感じに仕上がるかも知れないな。


 問題は屋根だよねー

 こっちには瓦って物は無いみたいだし、街の建物の屋根は木製みたいだったしなぁ。

 木製の屋根ってどうなんだろう?

 長持ちするのかな?


 殆ど見た事がないから全然分からないんだよね。

 確か京都に国宝だか重要文化財に指定された木製屋根の建物が有ったはずだけど・・・あれは私には再現出来ない!


 だって・・・どれ位の大きさだったかなぁ?ノートを縦に真っ二つにした位かな?それ位の大きさの板を数ミリまで薄くして、ほんの1メートル四方の広さに数百枚使うんだよ。

 しかもだよ。

 その木を留めるのは竹製の釘を使うと来たもんだ。


 私には無理!

 木をそんなに薄く出来ないし、竹製の釘だって用意出来ないもん。

 竹が有るのかすら分からないし。

 見た目はすっごい格好良くなるはずだけどさぁ、そこまで拘らなくても良いかなぁ。

 いつかチャレンジしてみたいけどさ、玄関の日除け雨除けは別の屋根にするよ。


 うーん・・・

 『拒絶の壁』を薄くして重ねてみようかな。

 『拒絶の壁』の石ってやたらと重いけど光が通る位の薄さにするとそうでも無いから結構良いかも。

 理由はちゃんと有るんだ。

 普通ならそんなに薄くすると石なら割れるもんじゃない、でも『拒絶の壁』の石は割れないんだよ。

 試しにアイシャさんにデコピンしてもらったんだけど、バィンって弾いちゃったんだよ。


『なんつぅ耐久力だっ!』


 ってアイシャさんも呆れてたし。

 玄関の屋根はそれで行こう。


 完成イメージは纏まったから、次はどのタイミングで取り掛かるかだね。

 とりあえず材料が無いから、おっちゃんが来てからじゃないとダメだから、後20日は何にもできないなぁ。

 その間に書庫を完成させて、風呂場に取り掛かれたらラッキーってところかな。


 ん?

 そんだけ掛かると思うんだよ。

 部屋とか食堂・台所は基本的に立方体にくり抜くだけだから時間的にはあんまり掛からないの。

 だけどね。

 書庫は私が勝手にハードルを上げちゃったから時間が掛かるんだよ。


 まず、備え付けで本棚を作る事にしちゃったし。

 本が傷まない様にするにはどうすれば良いのか未だに考え中だし。

 入口は何ヶ所か作った方が良いのかとか色々とね。


 中でも問題なのは、傷まない様にする方法なんだよね。

 こっちの本は基本的にハードカバーの本ばっかりだから、扱い方が悪くてページが破れたりする事は無いだろうけど。

 石の上に並べ置いたらカバー自体が傷んでいかないかな?

 石の上になんて置いた事が無いから分からないんだよ。

 だから、予想が点くように緩衝材として板を敷こうと思うの。

 それ位の量の木材なら有るんだよね。

 厚さ1センチ位で表面を【整形】でツルツルにして、毛羽立たない様にすれば大丈夫だと思うんだよね。


 後さぁ。

 本棚って何で水平に棚が付けて有るんだろうって不思議だったんだよね。

 奥に向かって少し下がる様に作れば下の段は背表紙が見易くなるし、小さめの地震なら本が前にずれて来ないんじゃないかな?

 って小学生の頃は思ってたの。


 夏休みの自由研究で奥に向かって下がってる小さい箱を作ってみたんだけどね・・・

 ありゃメンドクサイよ。

 私が作ったのは1段だけの箱だったから、まだましだったけど何段も有ったら凄い大変だよ。

 簡単に作ろうとすると外側の枠と棚部分を別個に作ってはめ込んで固定する方法になるの。

 これだとね、完成した時の重量が重くなる。


 外側の枠に直接、奥が下がった様に棚を設置するとなると、歪に曲がるんだよね。

 片方の下がり方が足りなかったり下がり過ぎてたり。

 よっぽど几帳面な人か木工のプロがやる仕事って感じがしちゃったんだよね。

 素人がやる事じゃないって思ったよ。

 でも今はスキルって便利な技を手に入れたから全部の棚を奥下がりで作るんだぁ。

 完成した時にノスフラト君は気が付いてくれるかなぁ。

 気が付いてちょっとでも驚いてくれたら嬉しいなぁ♪


 あっ!

 こっちでは奥下がりの本棚が当たり前って事はないかな?

 私みたいな小娘が思い付く様な事なんだし、本職の人が気が付かない訳ないよね。

 ・・・うん。

 驚いたり気が付かない様なら、こっちではそれがスタンダードって思おう、でないと私が凹みそうだし。

 やっぱり凹むのはヤダよ?

 だから、細心の注意と思い付く限りのアイデアで納得の行く物を造って披露するんだ♪


 早いとこ披露したいから作業をしたいんだけど・・・

 ミランダさんが戻って来ない!

 何個か聞きたい事が有るんだよなぁ。

 ほら、着手前に完成イメージを固めとくのは当たり前の事でしょ?

 今は漠然としたイメージしかないから色々と聞いてハッキリしたものにしたいんだ。


 ガタッ、ガララララララ。


 ん?誰だろう?

 おっ!ノスフラト君だ。


 ・・・?

 玄関先でキョロキョロ見渡してるけど、誰か捜してるのかな?


「ノスフラト君、どしたのー?」

「おぉ、シズネ殿ここに居たのであるか。貴殿に頼みが有るのである」

「なんだろう?私に出来る事ならやるよ」

「頼みと言うのは、銀を持っているのであれば、少し分けて欲しいのである」

「インゴットでって事なら持って無いよ。銀は銀貨しか持ってないなぁ」

「左様であるか。・・・ふむ・・・銀貨であるか・・・」


 銀を使うってのはあれかな?

 試作してもらってるのに使うって事なんだろうなぁ。

 実はね、とある頼み事をしてるんだ。

 それはね、街で有った事を考えて捻り出した事なんだよね。

 ハムスターの姿って誰かが一緒に居ても舐められる・・・おっちゃんは違ったけど、大半の人はペットって思ってたみたい。

 だってね、私が何か聞いても無視されちゃう事が多かったんだもん・・・そのたびにアイシャさんが文句言ってくれたのは嬉しかったな。


 そんなことが有ってさ。

 私はいろいろな所には行かない方が良いと思ったの。

 私が凹むのは勿論だけど、一緒に行ってくれる人にも不快な思いをさせそうだからさ。


 でもね、せっかくの異世界だし。

 『拒絶の壁』みたいな凄いものが有ると思うんだ、やっぱり見てみたいんだ。

 だから、現場に行かなくても、雰囲気だけでも分かる様になりたかったから、ある物を作れないか頼んでみたんだ。

 そしたらノスフラト君は興味を持ってくれたから現在製作中なんだ。


 で、銀かぁ。

 銀は、おっちゃんの所に置いて無かったからなぁ。

 うーん・・・


「ミスリルじゃ代用出来ないのかな?ミスリルなら持ってるよ」

「ミスリル・・・であるか。色合いが少々違うのであるが・・・銀貨の色よりはましと言うものである」


 やっぱり拘るタイプだったか、寸分違わず色まで合わせなくても良いんだけどなぁ。


「では、ミスリルを少々分けて欲しいのである」

「良いよ、はいどうぞ。余ったら返してね」

「了解である」

「そろそろ完成しそうなのかな?」

「細かい装飾などのみであるから、あと2日も有れば完成である」

「初めてにしては早いねぇ!ノスフラト君凄い!」


 もう完成するんだ。

 思ってたよりずっと早いよ。

 でも何だろう?

 何か引っ掛かるんだよね。

 ほんのちょっとだけ違和感が有る感じなんだよね。


 

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