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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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プレゼントでっす〔後編〕

 ・・・・・・・・・


「・・・もうお腹いっぱい・・・食べれないぃ・・・」


 ・・・・・・・・・


「・・・すごーい・・・」


 ・・・・・・・・・


「シズネさん熟睡だね。・・・赤ちゃん産まれたらこんな感じなのかな?」

「えっ?あ、赤ちゃん?」

「うん、私と貴男の子供」

「可愛いのは間違いないよな、けど・・・」

「けど?」

「あそこで育つ子供ってどんな風に育つのかな?個性的な人ばかりが居るしな」

「そうだね♪皆それぞれの分野で一流だもんね」

「ミランダさんなら薬剤、アイシャさんなら武闘、ノスフラトさんなら魔法、シズネさんなら・・・アイデアとか発想力かな?それから、スカージュは鍛冶。オレは農業か・・・オレの真似をする確率は低そうだな」

「?・・・なんで?」

「一番ありふれてるし特別な技能は必要ないしな」

「シュヴァツ、それを本気で言ってるならシズネさんに怒られるよ?もちろん、あたしにもだよ」

「えっ?」

「師匠の工房に行く途中で話してんだけどね、『住む所も着る物が無くても生きていけるけど、食べる物は無かったら生きていけないよ。ここに住んでる人で一番役立つ仕事をしてるのはシュヴァツ君だよ』って、それから『もし農業を馬鹿にする様な人が居たらご飯無し!馬鹿にする仕事で出来た物を食べるって変だからね』だってよ」

「・・・そんなふうに考えた事は無かったな。この人は本当に凄いな」

「ふふっ、だね。あっ!ここかな?シズネさんの言ってた店って」

「他に雑貨屋は無いみたいだし、ここだろうな。入ってみようか」

「シズネさんを起こす?」

「気持ち良さそうに寝てるし、もう少し寝かせてあげよう」

「そうだね、んじゃしまっとこうかな」

「やっぱりそこなんだ」

「他に無いんだよね。ポケットじゃ目が覚めた時に袋詰めにされてるって誤解されちゃいそうだしさ」

「そうかもな。じゃ行こうか」


 うーん・・・ふぁぁぁぁぁ。

 フカフカするぅ。

 ・・・

 ・・

 ・

 はっ!

 ね、寝ちゃってた。


「思ってたより小さい店だけど・・・シズネさんの言ってた通り、品揃えは凄い!」

「凄い・・・岩糖の存在は知ってたけど・・・初めて見た」

「インゴットもだよ。師匠がヒヒイロカネまで置いてあれば上々って言ってたよ。それが・・・『月光金』『暗闇鉄』『閃の塊』『王鋼』『鱗鋼』『陽乳鋼』・・・しかも『鱗鋼』は『竜鱗鋼』?それも白竜の鱗じゃない?」

「白竜の!そりゃ凄い・・・マテリアルの品揃えも豊富だな」

「鉱石・原石だってたくさん種類が有るよ。あっ!あれって『拒絶の壁』の石?」


 ・・・売れてるのかな?

 ただの丸くした石ころ。


「おっ!それに目を付けたのかい?中々目が高いね、お嬢さん」

「えっ?あっ、うん。珍しい品だしね」

「だろ、それが最後の1個でな値段も銀貨5枚だっ!今が買い時ってもんだぜ」


 約束通りの値段だね。

 でも・・・

 最後の1個?

 マジで?

 ・・・

 ・・

 ・

 確かめてみるかな。


 やっちゃいけないやり方でスカージュちゃんの気を引いて・・・と。


「ひゃん!」

「「?」」

「どこを触っ・・・」


 シーッ。

 あっ通じた、一か八かだったけど通じたよ。

 口に人差し指を当てるっていうジェスチャーだよ。

 やってみるもんだね。


「おっちゃんにホントに最後の1個なのか聞いて見て欲しいの」ボソッ

「・・・おじさん、ホントに最後の1個?在庫有るんなら、あたし買うよ」

「買ってくれるのは嬉しいけどな、これが最後なんだわ。こいつは、ある人の持ち込み商品なんだけどな、当人が売れるのか疑っててなぁ。その割に買い占めをさせないで欲しいって言うもんだから店頭には1個づつ飾ってたんだが、早々と売れて残りこれだけになったんだよ」

「?・・・売り方は黙ってれば分からないんじゃないのかな?」

「そう思う所は有るけどな、そう言う売り方をするって約束なんだ。約束を破るってのは商人にとっちゃ致命的だしな。それに、だ。・・・約束を破った時の報復なんかな?物理的に全部を潰すそうだ」

「ぶ、物騒だな。でも、物理的になんて簡単に出来る事じゃないはず」

「それはな、ゴルドって言う獣魔王の御用商人だった奴が居るんだけどな。そいつは獣魔王とその人の不興を買って自宅を破壊されたんだわ、本人も巻き添えを喰って下半身がペチャンコだったって話しだ」


 やっぱり広まるよなぁ。

 あんな事をやって広まらない方がおかしいしね。


「まぁ、そんなんは関係無く約束は守るさ。怒るとおっかねぇ人みたいだけどよ、あの嬢ちゃんみたいな子は中々居ねぇからなぁ」

「そんな凄い人なんですか?」

「凄い?ってよりも真っ直ぐだな。そのまんま真っ直ぐで居て欲しいって思う位に真っ直ぐだ。そんな子だからよ、俺が約束破って歪ませる訳にはいかねぇんだ」


 おっちゃん・・・

 そんなに私の評価高かったんだ。

 くぅ、涙出そうだ。


「ですってよ、シズネさん」


 ぬぉっ!

 ネタバレされたっ!

 これじゃ出ない訳にいかないじゃないか!

 ・・・やりおるなスカージュちゃん。


「やぁおっちゃん、おひさー」

「嬢ちゃん居たんか!人が悪いぞ」

「まぁ、そのぉ、なんだ、私ハムスターだし。それに売れるのか分からない物が最後の1個って聞いたら、マジで?って思っちゃうもん」

「それは分からなくはないけどよ。それにしても試されるってのはなぁ」

「おっちゃんゴメンって。ほら、追加を置いてくから許してよ」

「うむ!それなら良かろう!」

「ははぁ!って、おっちゃん!いつの間にかそんな技を?」

「ははははっ、元から持ってる技だぜ♪で、今日はどんな用事で来たんだ?」


 さすがおっちゃん!

 そんな技を持っていたのか!


「おっちゃん、侮り難し。これからは気を付けよう・・・んで、今日はね鍛冶と農作業の道具と材料を買いに来たの。鍛冶の材料はおっちゃんの所が一番だからさぁ」

「インゴット・鉱石は何でも御ざれい!・・・って言いたい所だがな、稀少素材は店頭に有るので全部なんだ。製造者がだいぶ前に死んじまっててなぁ」

「そうなんだ・・・んじゃ買い占めだねっ!」


 えぇー

 だってー

 手に入らなくなりそうならストックしとくのが普通じゃない?


「あっ!あたし、師匠から製錬と精錬も習うつもりです。まだまだ先の話しなんですけどね」

「お嬢さんは鍛冶師の卵かっ!じゃあさ、納得いく物が出来る様になったらウチに卸してくれねぇか?」

「それは構わないですけど、いつになるか分からないですよ?」

「いつでも構わない!10年でも20年でも待つぜ」


 おっちゃんってやっぱり遣り手なんだな、商品の青田買いしてるし。

 うーん・・・

 ノスフラト君のやってる事は、おっちゃんに頼んでみるかな。


「おっちゃん、今度私達の家に来てくれるでしょ?」

「おぅ!行くぜ」

「それ20日後位にして欲しいの。今、ノスフラト君に変わった事を頼んでるんだけど、試作品が出来るのがそれくらいになると思うんだ。その試作品を見て感想を聞きたいんだよね」

「ノスフラト様が?・・・そいつは、また新商売にりうるって嬢ちゃんは思ってるのか?」

「正直分かんない。だから、おっちゃんの感想を聞きたいの。もし商品になるなら誰でも作れる物になるはずだよ、上手い下手は別としてね」

「シズネさん、オレにも作れるんですか?」


 うーん・・・

 やっぱり敬語なんだぁ。

 ちょっと残念だな。


「もちろんだよ、ただし・・・追究する人ほど上手に出来上がる物だよ」


 だからノスフラト君に話を持ち掛けたんだ。

 完璧主義って訳では無いだろうけど、のめり込んだ時の集中力は物凄いからね。


 それに話を聞いて興味を持ったみたいだし、今も材料の調達に忙しいみたいだしね。

 凄い物を作りそうな予感がするんだよ。


「追究・・・ですか?オレは・・・

「ノスフラト君の試作品が出来たらちゃんと説明するけど、何でも有りな部分が多いんだよね。材料・対象・大きさ、そゆのを際限無く作って良いものなんだ。だから、何かしらで上手に出来る物は有るかも知れないよ」

「ふーむ・・・どんな物だか想像がつかねぇな、ノスフラト様の試作品を楽しみにするしかないって事だな」


 あんまし大きな期待をされても困るんだよな。

 一部は既存の物と被るのは間違いないし。

 そことの差別化の算段も立ってるけど、興味を持ってくれる人が居るのかが自信ないんだよね。


「それはお楽しみにってとこだね。あんまり大きな期待もしないでね?私の思い付きの浅知恵なんだからさ。そ・れ・よ・り・もっ!お買い物だぁ!散財だぁっ!」


 いつまでも引っ張っても、これ以上はまだ秘密な話だからね。

 本題に移行しちゃいましょう。


「おっちゃん、農耕具って置いてるの?」

「有るぞっ!真鉄製の買い手が現れないデッドストックのがな。仕入れたのもかなり昔だし安くしとくぜ」

「よっしゃ!それ一式頂戴!それとこれとこれも!」


 うん!

 就職祝は農耕具一式と稀少インゴット10種を1個づつで良いかな。

 後は自分用にヒヒイロカネと暗黒鉄を1個づつ買って、発熱石を4個、暗光石を20個。

 これ位かな。


「私の買い物は終わったよ!スカージュちゃん♪シュヴァツ君♪・・・これは、仕事が見付かった御祝いだよ。受け取ってね」

「えぇっ!?シズネさんが使うんで買ったんじゃないんですか?こんな高いものは貰えないです」

「あたしも、貰っても腕が足りないから使えない・・・宝の持ち腐れになっちゃいます」


 あっ!

 すっじゃない、そこは変えたんだ。

 でも・・・敬語なんだぁ。


「シュヴァツ君、それで美味しい野菜を作ってくれるなら安いもんだよ。スカージュちゃん、今は無理でも腕が上がったら必要になるよね?だから遠慮しないでね。『断崖荘』の皆からのプレゼントだからさ♪」


 出資は私だけどさ、皆反対はしなかったし励みになるんじゃないか。

 って言ってたから、皆からって事にしちゃうんだ。


「あっ!でもね、練習用とか種とか苗は自腹で買ってね」

「あたし、どっちかって言うとそっちの方が・・・」

「あそう、おっちゃん!これ買取でっ!」

「あぁっ!嘘っす!間違えたっす!忘れて欲しいっす!」


 っすが出てきたー

 あはははは。

 スカージュちゃん、面白いかも。


 

 『貴男』の誤字報告有りましたが、『貴男』はこのままでも間違いではないので、このままにします。

 

 誤字報告、ありがとうございます。

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