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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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宵時の鍛冶師〔前編〕

 楽だった・・・

 かあさまの言ってたのは凄く楽だったよ。


 【グランスムーブ】で同じ場所を同じポーズで行ったり来たりして残像を残すだけの単純作業をしてただけで、こいつ等は勝手に絶望的な顔をするようになっていったよ。


 かあさまの言っていた通りだよ。

 全ての攻撃がすり抜けて効果が無いってなると先ず驚く、こいつ等は驚愕ってレベルだったよ。


 驚愕しても勝つには攻撃を当てなきゃ勝てないよ。

 だけど、いくら攻撃しても全部すり抜けちゃうよ。

 そうなると何をどうすれば良いのかわからなくなっていくよ。


 もうそうなったら抵抗する気力なんかもなくなるみたいだったけど、逃げる気は満々っぽかったから挑発して逃げ出す気力も奪ったよ。


 ・・・次はどうすれば良いんだろう?


「ティファー気はすんだかぁ?すんだなら後は任せとけな」

「アイシャさんにスカージュ、いつ来たの?」

「ほんのちょっと前だよ、やっぱりティファも凄いね。あんなんされたら困っちゃうよ」

「スカージュなら広範囲攻撃有るよ?」

「あれは被害が大きいから使いたくないんだよね。ここいらの風景が変わったらシズネさんガッカリするかも知れないでしょ?」

「うん・・・私もそう思うから他のスキルを使わなかったよ」

「シズネさんがガッカリするとさ、アイシャさんとかに怒られそうだしね」ボソッ

「それは有りそう。ミランダさんもノスフラトさんも、かあさまの事が大好きだよ」ボソッ

「うちの師匠もシズネさんの事がお気に入りだしね。・・・シズネさんって年寄りキラーなのかな?」ボソッ

「私も、かあさまの事大好きだよ?」ボソッ

「あたしも大好きだなぁ」ボソッ

「年寄りだけじゃないよ」

「あはははは、だね。みんな大好きシズネさんだね」

「2人共、そろそろこっちに来ーい」


 あれ?

 後はやってくれるんじゃないの?

 戻って穴掘りしようと思ってたんだよ。


「ティファ、行こっか」


 みんな行くのか・・・私だけ帰る訳にもいかないか・・・ちょっとメンドクサイよ。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 そこ退けそこ退けー

 シズネちゃんのお通りだぁー!

 一緒に紫色の空を見に来る奴だけ付いて来ーい!


 はいっ!

 只今内部に在る空間に向けて爆走中なのです、紫色の空は見えません。

 それと。

 そこ退けそこ退けと言っていますが、私1人分の広さしかない通路だから避ける事は出来ません。

 衝突あるのみです!


 だ・け・ど。

 造ったばっかりだし、ついさっき通ったばっかしだから何も無いのは確認済みなのさ。


 何?そんなに急ぐ必要が有るのか?って。

 ハッキリ言おう。

 無い!!

 無いけども早いとこ行って用事を済ませて、早いとこ帰らないとアイシャさんが心配しちゃいそうだったんだもん。

 人様に心配を掛けるのは私の意ではないからねぇ。


 つう訳で爆走中なのだ。

 んまスナフキンの爺様の所までは100メートル位だから直ぐに着いちゃうけどね。


 そう言えばね、アイシャさんはスナフキンの爺様の事を知ってんのかも知れなかったよ。

『宵時のスナフキン?』

 って聞き直したあと、ずっと考えてるみたいだったもん。


 あれは、どっかで聞いた事が有るような・・・

 そゆ事なんじゃないかな?


 アイシャさんが聞いたかも知れないってならノスフラト君に聞けば知ってる確率が高そうだよね。

 確率99%位?

 あっはっはっはー、99%なら知ってるって言い切っても良いとは思うんだけど、残り1%を忘れちゃいけないから高確率なのだぁ!


「爺様っ!戻ったよ♪」


 あっるぇー

 爺様はどこに行ったんだろう?

 見当たらないんだけど。

 ・・・まさか、逃げたか?

 秘密を黙ってる代わりに要求しようとした見返りを聞くのがイヤで。


 厳つい顔の割に肝っ玉の小さい爺様だったのか?

 人は見かけによらないって事か。


「今失敬な事を考えてなかったか?」


 うぉっ!ビビった!いきなり後ろから声を掛けないで欲しいな。

 つか爺様どっから湧いた?


「失敬な事?・・・バッチリ失敬かもしんない」

「嬢ちゃん・・・こうゆう時は嘘でも否定するもんだぞ」

「だって、私がウソ吐いても直ぐにバレるんだもん」

「それでもじゃ」


 むぅー

 無駄な労力ってもんじゃないのかな?

 でもまぁ、爺様にはそうする様にしようかな。


「爺様はどこに行ってたの?私が戻った時は居なかったけど、どっから湧いたの?」

「湧いたってな・・・扉から宵時の国に戻っておっただけじゃ。嬢ちゃんの見返りってやつは鍛冶仕事なんじゃろう?それの用意じゃ」

「うーん・・・悩んでるんだよね。作ってもらうか教わるか」

「ほほっ、仕事を教わると言うのか?」

「基本だけでも教われば色々出来そうでしょ?そしたら面白いかな?って」

「ふむ・・・嬢ちゃんには向いてないかも知れんな。嬢ちゃんはせっかちな方じゃろ?」

「んー・・・先延ばしにするのって好きじゃないかな」

「せっかち面も必要なんじゃが、せっかちでは駄目な事もあるんじゃ。極端な事じゃがムラッ気が有る方が良い」


 そうなの?マジで?


「じっくり熱する、長時間冷却するなどの工程もあるでな」

「ふーん」


 あっ!

 ならスカージュちゃんに向いてるのかも。

 集中力は有るけどムラッ気がって言ってたしな。


「じゃあさ、私じゃなくて他の人に基本だけ教えてあげてくれない?その人は竜魔族なんだけどね、集中力は有るけどムラッ気が有ってファーマシストとか狩りをするには向いて無いらしいの。でも仕事はしたいって言ってるんだ、どうかな?」

「ほほぅ・・・良かろう基本をとりあえず教えてみよう。それで気に入ったら弟子にでもしようかの」

「爺様の弟子?・・・女の子に手を出しちゃダメだよ?スカージュちゃんは一応結婚してるし」

「なんと?女の子なのか?・・・女の子に教えた事が無いぞ・・・どう教えれば良いんじゃの?」


 ぷっ、爺様・・・マジで困ってるよ。

 厳つい顔程、女の子が苦手ってホントなんだな。


「とりあえず普通に基本を教えたら?拳骨とか飛ばさない様に気を付けてさ」

「拳骨なんぞ飛ばさんぞ?飛ばすのはお仕置きハンマーじゃ」


 ハンマーって・・・

 拳骨よりも物騒じゃないか!


「ハンマーは弟子になるまでとって置いて」

「そう・・・じゃよな」


 うんうん。

 弟子になら何をしても良いわけじゃないけど、厳しく教えるのは弟子からのが良いって。


「じゃあ近い内に連れて来るよ。もし小型化出来るなら明日にでもね」


 さすかにね、この距離を人型サイズが通れる様にするのは1日2日じゃ無理です。

 4日5日は最低でも欲しいです。


「って爺様?弟子にしちゃうかもってんなら、私の見返りじゃないよね?」

「ギクッ・・・そ、そんな事はないんじゃ無かろうか?」


 ・・・爺様、ギクッって口にしちゃってるんだけど?

 はぁ・・・無茶振りとかする気は無いんだけどな。

 仕方ないか、正式に依頼しよう。


「はぁ・・・ギクッって声に出てるんだけど?・・・ふぅ、んじゃ正式依頼したいんだけどオッケー?」


 予算内で収まると良いんだけどなぁ。

 いや!

 そこは見返りって事で格安にしてもらおう。

 それくらいは要求したって罰は当たらないよね。


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