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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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カンカンって音が聞こえる・・・〔中編〕

「結構広く調理場を造ったんだな」

「うん、5人分を作るんだし場所に余裕が有った方が良いと思ってさ」


 6人居るのに5人分は可笑しい?

 それね、私の分は数に入れてないからさ。

 ハムスターはミニマムサイズだから数に入れる程は作る必要ないでしょ。

 だから省いたんだよ。


「狭くてゴチャゴチャしてるよりはずっと良いしな」

「なんか贅沢な感じもするしね。で、どこに作ろうか?焼き場」

「うーん、やっぱ窓の近くが良いかな。あれ煙が凄いでるだろ外に出しやすい方が良いと思うんだよな」

「部屋が煙で充満するのは嫌だしね。一応ね発風石を使って煙を外に誘導出来る様にはするんだけど、上手くいくかは謎だからね」


 マジで謎なんだよ。

 換気扇みたいに外に向かって風が吹くように設置して煙も吸い込む様に一緒に流れてくのかな?

 発風石は石自体から風が出るから換気扇みたいに後ろから空気を吸い込む訳じゃないのよね。

 だから壁に設置して上手くいくのか疑問なの。


 中に発風石を設置して、外に風が出るようにすれば煙も巻き込んで外に出ると思うんだけど。

 効果が薄い様な気がするんだよね。


 正直どうすればバッチリなのかやってみないと分からないんだよ。

 色々と試行錯誤をしていかないとダメだと思うんだ。


「発風石で煙を出すのか・・・部屋をほぼ締め切って1箇所から空気全体を出す感じか?」

「それも良いかもね。私は場所場所に設置して出す方法を考えてたよ」

「その手もあるな、なかなか難しそうだな」

「うん、煙を吸い込む石とか有ったら楽だったのにね」

「吸気石ってのは有るんだけどな、取るのが大変だから市場に出回らないんだよな。しかもだ、保管に失敗すると死人の山が出来る可能性有りだ。吸い込むのが空気だからな」


 何それ!

 すっげー怖ぇーんだけど。

 そんな物は頼まれても使いたくないよ。


 ・・・カン

 ・・・カン


 また聞こえてきた。

 

 ・・・

 ・・・


 んー・・・やっぱり気のせいかな?


「シズネ、この辺りに焼き場を作るのはどうだ」


 外壁の真ん中か、良いんじゃない。

 拡張もし易いし、動きもとりやすそうだし。


「うん、そこにしよう。試作の焼き場を作ったら意見を聞かせてね、アイシャさんの使い易い様に改良してくからさ」

「そん時は頼むな」


 ・・・カン

 ・・・カン


 ・・・私、病気なのかな。

 幻聴が聞こえるって相当だよね?


 ・・・カン

 ・・・カン


 ・・・幻聴じゃない?

 リアルに聞こえてる?

 だとしたら・・・すっげー怖いんですけど!


 アイシャさんを呼びに行った時に確認したんだよ。

 ミランダさんとスカージュちゃんは元家で薬を作ってるし。

 ノスフラト君は買った本を熟読してたし。

 シュヴァツ君は農地探しで外出中。

 アイシャさんはここに居るもん。

 誰がどこで出してる音なの?


 なんか・・・泣きそうだよ!

 リアルお化け屋敷は御免被りたいんだけど!


「アイシャさん・・・カン・・・カンって音が聞こえない?」


 ・・・カン

 ・・・カン


「んー・・・聞こえるのか?」

「うん」


 やっぱり聞こえるから・・・怖いから。


「・・・どっちの方か分かるか?」


 どっちだろう。

 ・・・床に耳を当てたら分かるかな?


 うひょっ!

 ち・べ・た・い!

 石って冷やっこいよねー


 ミランダさんの話だと、後2ヶ月もすると暑い季節になるらしいから。

 そしたら、このちべたいのも気持ち良くなるんだろうなぁ。


 っと、いけないいけない。

 脱線しちゃった。


 えーと、音はどっちから・・・

 うん!

 分からん!

 床じゃ分からないから下からじゃ無いはず。

 とすると。


「アイシャさん、そっちの壁に耳を付けると聞こえると思うよ」

「どれどれ・・・確かにカンカン音がするな」


 アイシャさん・・・やっぱり頭のそれが耳だったんだ。

 今のアイシャさんはバスの中で窓ガラスもたれ掛かって寝てる人にソックリなポーズしてる。


「アイシャさんの耳ってさ」

「なんだ?耳がとうした」

「可愛いよね」

「か・・・か・・・可愛い言うなっ!・・・照れるだろ」ボソッ


 ぷっ。

 アイシャさんってホント可愛いところが有るよね。

 ミランダさんもからかうならこうゆう所をからかえば良いのに。

 一度に二度楽しいってね。


「確かにカンカンってがするな」

「何の音だと思う」

「さすがに分からないけど、一定のリズムで鳴ってるが、途切れ途切れだな・・・鍛冶や採掘とかか?、後は何かあるか?」

「お化けとか幽霊って訳じゃないのね?」


 そうでないなら、怖さ半減します。


「幽魔族って事か?あいつらが『拒絶の壁』の方まで来てる話は聞いた事が無いな」


 え?・・・

 幽魔族って幽霊なの?

 精神的に来そうな魔族なんだ・・・

 あっ!でも。

 族って括りになってるって事は交渉可能な存在なのかな?

 交渉不能なら魔族と敵対しててもおかしくないはずだし。

 どうなんだろう?


「なんかな、『拒絶の壁』ってのは大半の幽魔族にとっては清浄の物らしいんだ。触れたら最後、成仏しちまうらしい」

「なら幽魔族はこの辺りには来ないって事なのかな?」

「一部を除いて近付く奴は居ないな」


 良かった。

 幽霊とお近付きには積極的にはなりたくないもん。

 だって死んでるんだよ?

 なりたくないのが普通だよね?


「この音は何が立ててるんだろうな?」

「私・・・確かめて来る!幽霊じゃないなら、あんまり怖くないから」

「大丈夫なのか?無理はしなくて良いんだぞ」


 大丈夫、ヤバそうだったら即逃げするから。

 それに【穿つ】なら音を立てないで穴を空けれるから相手に気付かれないはずだし。


「音の正体を知らないでビクビクし続けるのも嫌だしさ」

「・・・分かった!気を付けて行ってこい。あたしはここで待ってる、何か有ったらここに着くまで踏ん張れよ」


 あぅー

 アイシャさん格好良すぎだよー


「何でアイシャさん男じゃないの?男だったら、私告白しちゃってたよ」

「あははははは、その台詞はそっくりそのまま返してやる」


 ふぇ?

 ・・・あぁ、私の事を何度か男前って言ってたなぁ。

 うーん、私が男だったら面倒くさいと思うんだよな。

 ビクビクのくせに虚勢を張るし、やるって決めたら周りなんて見なくなるし、興味を持つ物が普通と違うみたいだし。

 好かれたとしても、どっかで呆れられてイヤになるんじゃないかなぁ?

 って思うのだよ。


「まぁ、お互い様って事だね。・・・違うか?」

「分からん!」

「あははははは、んじゃ行って来るね」

「ん、ホントに気を付けろよ」

「うん・・・隊長!偵察に行ってきます!」

「うむ!無事の生還を期待する!って、おい!決死の偵察じゃねぇんだから隊長ゴッコは止めろ」

「あははははは。はーい。んじゃちっと行って来るね」


 


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