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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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カンカンって音が聞こえる・・・〔前編〕

 これは・・・悪夢とかそのたぐい

 だって、おかしいだろ?

 攻撃が身体をすり抜けるなんて有り得ない。

 そんなスキルは聞いた事ない。


 皆あの人に煽られて攻撃してるけど・・・

 ビビってる。


「着いたっすーっ!」


 竜魔族!

 こんな所に何で?


「ヤバいっす!ティファが既に戦闘中っす!」


 もしかしてあれはスカージュ先輩?


「マジか!」

「でも変っす、ティファは何もしてないっす」


 背中に誰か乗ってるのか。

 先輩が敬語?を使う程の人っていったい。


「兄ちゃん、あいつ等の仲間か?」

「・・・はい」

「じゃ何でお前はここで傍観してるんだ?」

「中に入らなかったから、入るのを止めたから何もしないって言われました」

「・・・ミランダ、ティファは冷静だ大丈夫だ」

「ホントー?大丈夫なのー?」

「移動してるだけで何もしてない、・・・あれはシズネが酔っ払った時に言ってたやつじゃないか?」

「心を折るってやつだっけかー?」


 確かにポキポキ折れてると思う。

 何をどうやってもすり抜けるしな。

 理解も追い付かないしパニクってもおかしく無いな。


「はぁーシズネさんってやっぱり凄いっすね!私もあんなんされたらどうすりゃ良いのか分からないっす」

「シズネ自体はあれは出来ないんだけどな。ティファのスキルが有って出来るんだ」

「でもさー、シズネちゃんがこの事を知ったら猛練習するんじゃないかなー。『ティファすっげー!私も出来るようになるっ!』って感じでー」

「あははははは、するな、間違いなく猛練習するな、んで出来るようになるんだよな、あいつは」


 練習してあれが出来るようになる人が居るのか?

 ・・・なんなんだ?この人達は・・・


「出来るようになるっすか・・・やっぱりパネェっす。・・・ところで君は何で入らなかったのかな?」

「俺ですか?・・・あからさまに『拒絶の壁』で出来た人工物でしたし、加工をしたのが並みの人じゃないのは予想がつきましたし」

「へぇ・・・名前は何て言うんだ?」

「ヴェルです」

「ヴェルね、スカージュ!そろそろ止めに行く、付いて来い」

「はいっすー。つか何で私も?」

「ヴェルの奴、お前の事を知ってたみたいだからな。あいつらも大人しくするかも知れねぇだろ」

「なるほど、了解っす」


 やっと解放されるのか?

 あれは見てるだけの俺も冷や汗ものだったからな。


「ねぇ君ー、ティファちゃんが冷静で良かったねー」

「えっ?」

「ティファちゃんはねー、プチっと行くと何するか分からないのよー、世の中には自分の理解を超えた人が居るのを忘れない様にねー」

「・・・はい」

「でもまぁティファちゃんに対抗できるのは沢山は居ないからー、最高峰にいる1人だけどねー」


 ・・・最高峰・・・あれより上が居る居たりもするのか。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 父ちゃんのためならエーンヤコーラ♪

 母ちゃんのためならエーンヤコーラ♪


 シズネちゃんっす!

 『断崖荘』の拡張作業に大忙しのシズネちゃんっす!


 いやぁホントに大忙しなんだよ。

 玄関ホール・食堂・台所・追加で住居を1室を造らないとダメだったからさ。


 とりあえず部屋になる所は丸4日掛けて全部くり貫いたんだけど、久し振りにバタンキューしちゃったよ。


 バタンキューしたかい有って今は【整形】で各部屋の仕上げをしてるところなの。


 住居はスカージュちゃんとシュヴァツ君の部屋だから、くり貫きが終わったら直ぐに仕上げをしたけど、2人部屋だから他の部屋より5割増の広さしたのが仇になったー

 窓を【物質操作】で作るのに時間が掛かっちゃってさ、他の部屋に取り掛かるのが遅くなってしまったのだ。


 まぁ、一昼夜で部屋自体は完成させて入居させれたから、とりあえずはオッケーだよね?


 ん?

 スカージュちゃん達?

 住まわせる事にしたよ、幾つかの条件付きでね。





「住むのは構わないよ。私の土地じゃないから。でも、『断崖荘』に部屋が欲しいなら使用料を取るよ」

「いくらっすか?」

「1人1ヶ月で銀貨10枚」


 高いのか安いのか分からないんだけどね。

 私がお金自体を必要としてないし、要望にホイホイ応えて造るのが嫌だから要求する対価だから安くっても良いんだけどね。


「10枚なら・・・

「そうそう、忘れてた。今持ってるのは受け取らない、今日、今この時から稼いだお金じゃないと受け取らないから」


 お母さんが言ってた。

 人は働いてなんぼ、働かない人はその内にダメになるって。

 だから働いて稼いだお金じゃないと受け取らない事にしたの。


 ノスフラト君も働いてないけど、こないだ。

『予算確保の方法・・・どうするか』

 なんて呟いていたから、働く気はあるんだと思うの。


 この2人はどうなんだろう?


「働くっすか・・・」

「オレ、畑仕事なら出来ます」

「マジで!?色んな野菜作れる!?」

「たくさんじゃないですが、何種類かなら」

「オッケー!収穫できる様になったら私が買い取るよ」


 収穫したての野菜って美味しいんだよね。

 ほら、完熟で収穫出来るから味が違うんだよ。


「スカージュ・・・ちゃんは何が出来る?」

「わ、私は・・・分からないっす」


 あははははは。

 気持ちいいね。

 こうも断言されちゃうとさ。


「そっか、分かんないか。でも働く気はあるのね?」

「それは有るっす!」

「んじゃ、何が出来るか、何をやりたいか探す所から始めようか」

「っす!」




 とまぁこんな感じで住む事になったんだ。


 シュヴァツ君の使う畑は場所が決まったら私が土を起こしてあげる事になってるの。

 だから今は候補地探しをしてるよ。


 スカージュちゃんはね・・・

 とりあえず皆の仕事の手伝いをしてみて感触を確認してもらってるところなの。


 とりあえず、私の仕事は向いてなかった。

 ってより出来る訳が無かった。

 だって『拒絶の壁』をくり貫くなんて出来る人はほぼ居ないんだもん。

 仕方無いって。


 その後はミランダさんアイシャさんの仕事の手伝いをしてるみたいだけど・・・

 結論はまだ出てないみたいなの。

 2人とも集中力は凄いけどムラッ気が有るのがネックだなって言ってたけど、もう少し様子を見るつもりみたいなんだ。

 なんか見つかると良いね。


 さって、色々と考えながらも【整形】するのは簡単でね。

 全部の部屋が終わりました。

 次はアイシャさんと台所の配置をどうするかを相談なんだ。

 早速アイシャさんを呼んでこようっと。


 ・・・カン

 ・・・カン


 ほえ?

 何の音?


 ・・・

 ・・・

 ・・・カン


 ・・・何かを叩く音みたいだけど。

 誰が叩いてるんだろ?


 あっれぇ?

 外には誰も居ないなぁ。

 気のせいだったのかな?

 もう音はしないしなぁ。


 ・・・変なの、アイシャさん呼んでこよっかな。



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