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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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家に着いたら腹ペコカップルが?〔前編〕

 まずいなぁ

 ティファちゃん無茶しなきゃ良いんだけどな。

 私も上に行って確かめたいんだけど・・・


「ミランダさんアイシャさん、おはよーっす♪」

「グッターイミーングー」

「スカージュ!あたし達を上まで運んでくれ」

「へっ?どうしたっすか?」

「侵入者らしい、感知したティファがすっ飛んでった」

「侵入者ってエレベーターの所にっすか?分かったっす!」


 スカージュちゃんは変身するの一瞬だね。

 シズネちゃんも目標にしてたなぁ。


『一瞬!?かっけー!』


 って、ふふっ。

 ホント、シズネちゃんみたいな子は中々居ないよなぁ。

 素直で正直で。

 時々悪どくなったりもするけど、根が素直だから直ぐ分かる。

 【感情】【読心】使わなくても分かるって相当なんだけどな。


 感情の起伏は激しいところは有るけど、基本的に賑やかで明るい子だからねぇ。

 あの唯我独尊だったノスフラト君が気を使う位だもんなぁ、よっぽどシズネちゃんの事を気に入ったんだねぇ。


「ティファの奴、本気になってなきゃ良いんだけど」

「大丈夫じゃないっすか?ティファはシズネさんと色々話してたし、そっから学んでるはずっすよ」

「だと良いんだけど・・・シズネが絡むと忘れちまう気もするんだよな」

「・・・最高速で行くっす!1分位呼吸を止めて下さいっす!」


 うおっ!

 これきっついねぇ。


 ティファちゃん・・・

 早まったらダメだよ。

 シズネちゃんは貴女に毎日笑って欲しいって言ってたからね。

 自分で造った物も大事だけど、ティファちゃんの方がもっと大事だって言ってたからね。


 私はシズネちゃんが大事・・・そのシズネちゃんが大事にしてるティファちゃんも大事なんだよ。

 汚れ仕事は私がやるから、早まった事をしちゃダメだよ。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




 また来るっ日までー♪

 来れるーとーきまでー♪


 お買い物をしてニッコニコのシズネちゃんだよー♪

 今回はね、食器・食材・調理器具をメインで買ったから、ご飯を作るのが楽になるはずなんだ。


 特殊な石も調理に使えそうだし。

 発熱石とか発風石とか貯水石とかだよ。

 熱と水は使い方を言わなくても分かるよね?

 風は何に?って思うかも知れないかな?


 意外と風って使えると思うんだよ。

 火力の調整とか換気とかで使えそうじゃない?

 焼き物はアイシャさんに頑張ってもらう事になったから、どういうふうに石を設置するかは相談してからなんだ。


 ん?

 焼き物は直火の方が美味しそうじゃない?

 発熱石は煮物とかスープを作るのに使おうと思ってるんだけど・・・

 発熱石で焼くのか・・・オーブントースターみたいな感じになるのかな?

 ・・・それも有りだね。

 でも、それを作るってなると石が足りない・・・


 今度おっちゃんに追加注文しないとなぁ。

 またまた、ん?

 買いに行かなくても良くなったの。

 おっちゃんが定期的に家に来てくれる事になったんだぁ。





「しっかし嬢ちゃん、こんなに一気に買わなくてもよ必要になったら、また買いにくりゃ良いじゃねぇか」

「私もそうしたいんだけどね、家が遠くて中々来れないんだよね。・・・こっからじゃ見えないか、あのね壁の向こうに家が在るんだ」

「そりゃまた・・・距離はそうでもねぇけど、上がるのが大変だな。一大事業並じゃねぇか」


 距離的なものは普通なんだ。

 平坦な道を私が歩きで来たとしたら、3日とか4日はかかると思うけどなぁ。


「今日はねミランダさんが空飛ぶ乗り物を借りてくれたから来れたんだ」

「そうなのか!姉さんすげぇな」

「だよね!すごいよね!」

「・・・うぅっー・・・やっぱりシズネちゃんが2人いるみたいな感じだー・・・うぅっー」


 なに?私が2人いたら困るの?

 失礼しちゃうね。


「そうかぁ、中々来れねぇのかぁ・・・んじゃ今日はオマケしちゃうぜ!」

「おっちゃん!それはダメだよー。私は現金払いじゃないんだから逆に手数料を取らないとダメだよ!生のミラクルナッツの引取額が金貨1枚と銀貨100枚でしょ。銀貨100を手数料にしても私は文句言わないよ」

「なぁミランダ。シズネって商人だったのか?あたしにはそうとしか見えないんだけど」

「同感だなー」


 あれは誉めてるんかな?

 まぁ、いいか。


「オマケっていうならね、こういう店の売上に影響の少ない物にしなきゃ」


 おっちゃんに私が【物質操作】の熟練度を上げるのに作った『拒絶の壁』の石で作った球体を見せたの。

 ラムネ瓶に使われてるビー玉位の大きさの玉なんだけどね。

 『拒絶の壁』の澄んだ濃い蒼が綺麗でね宝石みたいな感じもしないでもない物なんだ。


「じょ、嬢ちゃん・・・これは?」

「これね『拒絶の壁』の破片で作った玉だよ。結構綺麗でしょ?」

「いゃ・・・」

「綺麗じゃない?・・・そっか」

「そうじゃねぇ、これは売れる!こんなんはオマケにしたら大損だっ!」

「ふぇ?」


 綺麗だけどさ、ただの石ころを加工した物が売れるの?


「こいつはすげぇ・・・嬢ちゃん触っても良いか?」

「うん、良いよ」


 おっちゃん・・・玉を手に取ったら『すげぇ』しか言わなくなっちゃった。

 ・・・あげたらもっと喜ぶかな?

 でも・・・あげて良い物なのかな?


「シズネ」

「ん?」

「あげたりはするな。お前にしたらただの石ころだけど、他の人にしたら違うんだぞ。そこを間違えないなら好きにしろな」


 アイシャさんの言いたいのは価値観の違いって事だよね。

 おっちゃんは『すげぇすげぇ』言ってるけど、大小様々いっぱい持ってるんだよね。

 あげちゃダメって言うけど、お金貰うのも気が引けるし。

 どうしたら良いかな?

 ・・・

 ・・

 ・

 うん、秋葉原で見たあれが良いかも。

 あの大量のガラスケース方式のやり方なら・・・

 あれなら、おっちゃんが損する事は無いはずだし。


「嬢ちゃん!これを俺に売ってくれっ!」


 やっぱりそう来るよね。

 賞賛しまくってたしね。


「おっちゃん、悪いけどそれは売れない」

「なんでだ?」

「私からしたら、それはただの石ころだもん。買う人が居るとは思えないの」


 『断崖荘』には掃いて捨てる程有る物だもん、そんな石ころに価値が有る・・・理解不能だよ。

 でも・・・


「だけどおっちゃんに売って貰う」

「「「?」」」


 あははははは。

 3人が一斉に首を捻ったよ、吹きそうになっちゃったよ。


「ふむ・・・委託販売であるか」

「ノスフラト君!良くここが分かったね」

「うむ、どうやらシズネ殿の存在感は100メートル以内であれば分かる様なのである」

「なるほどー、良い物は見つかった?」

「うむ!歯抜けだった最後の1冊が有ったのである」

「全巻揃ったんだ、おめでとう♪で、ノスフラト君は委託販売を知ってるんだ」

「うむ!販路を持たぬ者の為の販売方であるな」

「あ、あの、本物のノスフラト様ですか?」


 様?・・・そうだった!

 ノスフラト君は魔王様だったの忘れてた。


「我輩は我輩である。本物かどうかは知らんのである」

「おっちゃん?」

「お、おぅ」

「繰返しになるけど、私からしたらただの石が売れるとは思えないの、だから売りたくないの。だけど、もし売れるなら店に並べて欲しいの」

「おぅ」

「でね、売れなかったら私に返品しちゃって欲しいの。もし売れたら売上から場所代と手数料をおっちゃんの懐に、残りを私の懐にって売り方にしたいんだけど」

「・・・なるほど、売れなくても俺は一切損をしねぇって事か」

「そゆ事だよ。売れたら逆に丸儲けじゃない?」

「確かにな。・・・こんな売り方が有ったんだな」

「でもね、絶対に守ってもらいたい事が有るの」


 これはホントに絶対。

 託す側と託される側の信用が試されるって言っても間違いじゃないと思う。


「絶対の約束か・・・どんなんだ?」

「値段は売りたい人が決めたので必ず売って欲しいの。勝手に上げ下げはしないで欲しいの」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「おっちゃん?」

「なるほど、持ち込む奴を騙す事になるんだな、勝手に上げ下げをすると。なるほど」


 そう、売れるからって値を上げて差額を自分のものにする事ができちゃう。

 それは、おっちゃんを信じて頼んだ人を裏切る事になるもん。

 私だったら許さないと思う。

 上げた分のお金を貰っても許さないと思う。


「もし、もしだよ。おっちゃんがそんな事をしたら私はつてを全部使って調べ上げて物理的に潰す・・・おっちゃんの物を全部」

「お、穏やかじゃねぇな」

「うん、ホントにやっちゃいけない事だと思うから・・・それ位のペナルティーは有って良いと思うから」

「でもよ、物理的にって・・・」

「店主、今日の今日だから噂にもなって無いだろうがゴルドの家がどうなったのかを知ればシズネの言った意味が分かるだろう」

「ゴルドー?・・・あのいけ好かない奴ー?」

「奴は人魔の恥である」


 あっはっはー

 むっちゃ嫌われてるんだねー

 私も大ッキライ!


「おっちゃん?絶対の約束だよ?」

「分かった!何もしねぇのに儲かるんだ、欲はださねぇ!」

「うん、ありがとう♪それと、これは私の我が儘なんだけど」

「何だ?」

「もしね、おっちゃんが大金持ちになってもここのお店はやってて欲しいな。初めて来た街で見つけて気に入ったお店が無くなるのは寂しいから」

「あははははは、そんな事か。任しとけ、支店が出せる位の金持ちになっても俺はここの店主だ!嬢ちゃんの商品もここでしか売らねぇ!これでとうだ?」

「うん!ありがとう!」



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