おっ買い物~♪〔中編〕
「あははははは・・・
「がははははは・・・
このおっちゃん面白ーい♪
なんか乗せられて色々と買っちゃいそうで怖いよ。
でも、おっちゃん面白いから許しちゃう。
・・・ん?今?
今はね、中心街の雑貨屋さんに居るんだよ。
ここの雑貨屋さんは石とか鉱物とかを中心に売ってるんだって。
一般向けって感じじゃないから、お客は少なかったんだけど、ちょっと凹んでた私には丁度良かったんだよね。
あんまり人と会いたくなかったからさ。
そんな感じの店だったから、中に入ってもおっちゃんは無関心な感じで。
『・・・らっしゃ~い・・・』
って、挨拶してたんだよ。
でもね、アイシャさんの肩に乗って陳列して商品を見てはしゃいじゃったんだよね。
だってさ、マテリアルがワゴンセールしてたり。
特殊な石、浮遊石とか暗光石とか私も知ってる石から。
発熱石、集熱石、発風石、発冷石・貯水石なんて知らなかった物なんかも有ったし。
鉱物を製錬して精錬して鋳造したインゴットもたくさん種類が有ったんだよ。
ゲームとかに出て来る『ミスリル』『ウーツ鋼』『オリハルコン』『ヒヒイロカネ』とかも有ったんだよ!
聞いた事も無いのも有ったし『月光金』『暗闇鉄』『閃の塊』『王鋼』『鱗鋼』『陽乳鋼』・・・こんなにたくさん種類があるんだね。ビックリだよ。
ビックリなのは値段もだったけどね・・・
後はね岩塩・岩糖なんてのもあって、見てるだけでハッスルしそうな品揃えなんだよ。
そんな感じではしゃいでたらね、おっちゃんも私に興味を持ったみたいでさ、色々と説明とかしてくれる様になったの。
冗談と世間話と説明付きで一通り見終わってカウンターに行ったらさ買い取り表が有ったの、そこにはミラクルナッツの買い取り価格も書いて有ったの。
生ミラクルナッツ1個で金貨1枚と銀貨100枚って。
これが高いのか安いのか私には分からなかったんだけど、価格をちゃんと書いて有る所って信用出来ると思うの。
時価とか要相談なんて・・・騙される確率が高くない?そう思っちゃうから信用出来ないんだよね。
まどろっこしいとか遠回しとか面倒だから単刀直入に聞いちゃったんだ。
「おっちゃん、この買い取り表って間違い無くこの価格で買ってくれるの?」
「あたぼうよぉ、まぁ専門外は余所に売りに行かないといけないから安くなっちまってるけどな。でもなぁ間違い無くこの値段を支払うぜ」
「そっか・・・アイシャさん?」
「シズネの好きにしな。あたしはお前の直感を信じるよ」
アイシャさんの許可も貰った。
でも、このおっちゃん正直な人だなぁ。
専門外は安くって・・・普通は言ったりしない事だと思うのに。
潰れたりしないよね?
初めて来た街でお気に入りのお店を見つけたのに、次に来たらお店が在りませんでした。
なんてのはイヤだしなぁ。
しかもだよ。
私が売る物って数が個人商店からしたら大量の部類に入ると思うし。
どうしよう。
・・・
・・
・
なんも浮かんでこない・・・
当たって砕けろって事なのかな?
えぇいままよ!
「おっちゃん・・・私ね生のミラクルナッツを53個持ってるの、全部買い取って欲しいんだけど大丈夫?」
「えっ!?53個?・・・それはちょっと無理だなぁ」
「やっぱり?何個なら買い取れる?」
「ちょっと待ってくれな・・・4個だな、金貨が5枚しかねぇ」
「そっか、そうだよね多過ぎだよね。うん、4個買い取って貰おうかな」
「嬢ちゃん!そんな悲しそうな声を出すなや。おっちゃんが売りに行ってる所に一緒に行こう。今日は店仕舞いにしちまうからよ」
そんな・・・悪いよ。
私なんかの為に仕事を途中で切り上げるなんてダメだよ。
アイシャさんからも何か言ってくれないかな?
でも、アイシャさんはお店に入ってから雰囲気が変わっちゃって何か変なんだよな。
どうしたんだろ?
「店主、どこに売りに行くんだ?」
「ゴルドの所さ。あんまし行きたくねぇけどな」
ゴルド・・・嫌いだ。
「ならば無駄足になるから止めておけ」
「何でだ姉さん、嬢ちゃんの持ってる数を買い取れるのは獣魔王の御用商人のゴルドくらいしか居ねぇぜ」
「あいつは御用商人じゃない。あたしが自ら解任した」
そうなの、血がベットリ付いた部分の処理が終わった後で解任されたの。
「怪力女か、あたしもなりたいな」
「ふぇ?」
「なったらシズネの移動技が使えるかも知れないだろう。あれはホントに凄いからな」
用意ドンの事?
溜めた力を一気に開放してるんじゃないか?って推測してたんだよね。
アイシャさん、あれやってみたいんだ。
んー・・・
なら。
「アイシャさん、これあげようか?筋力のステータス上がると思うよ」
「いいのかっ?それは使い道が有るんだろ?」
「まだまだいっぱい出来る予定が有るから良いよ」
「そうか、ありがとう♪」
アイシャさんってやっぱり良い人だよ。
素直にお礼が言えるんだもん、悪い人なんかじゃ無いよね。
「てめぇらなにを和んでやがる、俺の半身を潰した謝罪はねぇのか!」
「・・・・・・・無いよ」
「な、なんだとこのチビ!」
「あんたは私から盗もうとした、私はそれに対応した、その結果そうなっただけ。謝罪しなきゃいけない理由がない」
「このチビがっ!生意気言ってんじゃねぇぞ!てめぇなんぞ御用商人である俺が命令を出せば社会的に抹殺なんぞ造作もねぇんだからなっ!」
「やれば良いじゃん、社会なんて私には関係無いもん」
無いんだよ?
私が住んでるのは社会との繋がりが凄く薄い所だもの。
たまに来る街で買い物が出来るなら抹殺されたって痛くも痒くもない。
「・・・ゴルド、お前を御用商人の認可を与えたのは誰だか覚えているか?」
「獣魔王直属の官吏だ」
「違うな、認可をしたのはあたしだ。そしてそれを取り消せるのは現獣魔王と認可したあたしだけってのも知ってたかい?」
アイシャさんが格好良いよ!
うん、王様って感じがする!
やっべ!
ファンになっちゃいそうだよ。
「な、なにを言ってやがる、前任の貴様にそんな資格・・・
「残念だったな、オリジナルの認可書はあたしが持ってるんだ。オリジナルを破棄すれば、お前の持ってる認可書は白紙になるのを知らなかったのか?」
「なんだと!?」
「と言う訳で認可書は今ここで破棄する」
取り出したノート位の紙を引き裂いたー
引き裂いたら黄色っぽい煙が出て紙が燃えちゃった。
手品みたいだよ。
異世界だから魔法なのか・・・な?
「アイシャさん格好良いよー!王様みたーい!」
「まぁな、こないだまで王様やってたしな」
「そだったね、でもでも王様っぽいの初めてみたもん」
「王様っぽいのは疲れるんだよ。やるもんじゃないぞ王様なんてのはな」
私も同感。
産まれも育ちも根っからの庶民の私には王様なんて無理。
演技なんてのは面倒だからヤダ。
「さて、行くか」
「うん、行こう」
なーんて事が有ったんだよね。
はっ!
今のアイシャさんは王様モードに似てる。
でも、なんで?
・・・癖になっちゃってるとか?
初めての商人だと、その人物を見極めるのがさ。
だとしたら難儀だねー
もう魔王じゃないんだし、買い物を楽しもうよ♪
・・・ちょっと違うかな。
買い物を楽しめる様に私が頑張るんだ。
うん、それくらいならきっと出来ると思う。
「解任って、あんた獣魔王の関係者なんか?」
「そうなるな。でも時と場合による、今は個人だ。シズネの友人だ」
「えー?私の知ってるアイシャさんと違うけど」
「なっ!シズネー首根っこ摘まむぞ」
「摘まんだらスキル大盤振る舞いで暴れちゃる!」
「おま・・・それは卑怯だぞっ!」
「知りません!全力で脱出する努力をします」
「くっそ・・・それやられたら負け確定じゃないか」
「ふっ・・・私は簡単に越えれる壁じゃないよ。『拒絶の壁』より高いかもよー」
「それは高過ぎだっ!」
「あははははは、だねー。でも、私如きはアイシャさんなら簡単に越えちゃうって」
「お前なぁ・・・簡単じゃねぇって」
「えっ?・・・・・あははははは」
いつものアイシャさんに戻ってきたかな?
戻ったなら他のお店も行かないとね。
「おっちゃん、他のお店で買い物もするからやっぱり3個換金してちょうだい」
「3個でいいのか?」
「だって、おっちゃんのお店からお金無くなったら大変でしょ?後ね、ここでの買い物は必要な物を買って来てからするね」




