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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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おっ買い物~♪〔前編〕

 不審者は4人、内3人は侵入者で確定、残り1人は外にて待機。

 見張りなのかな?

 ・・・

 ・・

 ・

 違うみたいだよ。

 3人の侵入者に止めようと言っているよ。

 ならば対象外と認定するよ。


 さて、どうしようかな?

 かあさまは何て言っていたかな?

 ・・・

 ・・

 ・

『言い訳出来ない状態まで追い詰めちゃえば面倒臭くなくて楽よ』

 ・・・うん。

 暫くは放置だよ。


 何かを持ち出したらグウの音も言えない状態になるよ。

 持ち出さなくても出てくる所を目撃すれば言い訳出来ないと思うよ。


 あっ!

 ・・・こっちを見てるよ。

 今、呼び戻されたら追い詰めれないよ。

 釘を刺しとくよ。


「声を出したら崖下まで落ちてもらうよ?」

「えっ?・・・なっ!」

「良いと言うまで、それ以上は声を出さない様に。分かったね?」


 うん。

 確認取ったから信じよう。

 だけど・・・

 【グランスムーヴ】に反応出来る人って少ないんだよ。

 私の知る限りだと、かあさまとアイシャさんしか反応した人は居ないよ。

 只の移動するための地味なスキルなんだけどな・・・


『ティファは分かってないわね、地味な技ほど極めれば究極になるのよ』


 って、かあさま言ってたけども。


『【グランスムーヴ】ってさ、上手に使えば残像を残して相手の攻撃がすり抜ける、みたいな事も出来ちゃうんじゃない?それが出来たら移動するだけで勝てるかもよ。良いなぁ私もそんなんをやってみないなぁ』


 なんて事も言ってたよ。

 ・・・

 ・・

 ・

 やってみようかな?

 だって分からないの、残像に攻撃させるだけで勝てるってのが。

 上手く行ったら理由も分かるよね。


 あっ!

 何か楽しみになってきた、スキルを使うのが楽しみって初めてだよ。

 うふふ。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 おいっすー!


 ・・・・・・


 声が小さーい、もう一度!

 おいっすー!


 ・・・・・・


 元気があって宜しい。

 今日はだな、街に来ているのだよ。

 これからミラクルナッツを現金に換金して買い物三昧と洒落込むのだよ。


 長さんの真似・・・キャラが違いすぎて疲れそう。

 止めよっと。


 そんでねぇ。

 いろんな物を造る事になったから欲しい物もたくさん出来ちゃったんだよね。

 台所と食堂に置く家具と調理道具に食器。

 エレベーターに使う浮遊石。

 きっと有って良かったって思いそうな布とか金属各種。

 玄関ホールも造るから、そこに置く家具なんかも有ったら良い感じだよね。

 私自身はマテリアルが何種類か欲しいな。

 あっ!

 大事な物を忘れてたよ。

 調味料と食材もいっぱい欲しいなぁ。


 全部買ったらいくらになるんだろう?

 足りるよね?

 ミラクルナッツ53個分のお金で足りるよね?


 ぬっ!出たなっ!

 えっ?・・・珍しく嫌味を言わない?

 十分足りる。

 そっか、それ信じるからね。


 他にも便利そうな物が有ったら買うつもりなんだけど・・・それでも足りるかな?

 ・・・うん、そっか。

 禁制の物さえ買わなければ足りるのね。

 情報ありがとう♪


「アイシャさんっ!買い物、楽しみだよー♪」

「気に入る物が有ると良いよな」


 家具とか食器は気に入るのじゃないとイヤだよね。

 もし無かった自作する?

 でも陶器は作れないな、うーん・・・

 そうか、そうだよ。

 【物質操作】で形を変えちゃえば良いのか。

 私って頭良いねー♪


 にしても・・・

 アイシャさんはどこに向かってるんだろう?

 中心街の方じゃないんだよね、1軒1軒のサイズが大きくなっていってるのは気のせいかな?

 外壁付きの家も増えてきてるし。

 うーん・・・


「ねぇ?どこに売りに行くの」

「この先にな、獣魔王御用商人の家が有るんだ、そこに売りに行く。中心街だとなぁ、買い取る量が少ないはずなんだ」


 御用商人・・・何だでろう?

 悪代官とセットの商人っぽい印象があるなぁ。

 ・・・

 ・・

 ・

 まさか・・・

 ミラクルナッツ発見装置として私を売りに!?

 ガクブルしてきたよ。

 アワワワワ。


「どうした?」

「アイシャさんが私をミラクルナッツ発見装置として売りに行くんじゃないかと・・・」

「んー・・・売るくらいなら飼うな。その方が儲かる」


 そう言われればそうだね、無尽蔵の財源とか言ってたしね。


「着いたぞ、ここだ」


 ほぇー

 凄いでっかい家だねー

 色々と手入れが大変そうだなぁ。


 アイシャさんがノックしてる!

 何となくイメージだと無遠慮に入って行くと思ったんだけどな。

 さすがにそこまで粗暴じゃないか。

 ちょこちょこ可愛い所が出て来る人だからねー

 実は粗暴ってのは演技なのかも。


 しかし、この家・・・なんて言うのかな?

 派手?

 とはちょっと違う、何て表現すれば良いのか苦しむんだけど。

 趣味が悪くてキライだ!

 壁は西洋の城壁みたいで重厚なんだけど、色がピンク・・・ないわー

 壁の内側の建物はちょっとだけ見えるんだけど、なにあれ?

 レンガ造りなのは良いんだけど装飾もなくメリハリもなく唯積み上げただけの直方体なんだよね。

 デザインが最低なのは勿論だけど・・・色はもっと最悪!

 なんじゃい!ピンクと黄色の斜めストライプって!

 造った人のセンスを疑うわ!!


「シズネ、あたしのお供って事にしといてくれないか?」

「ペットじゃないなら良いよ」

「悪いな」


 誰か来るな、なんだろう・・・3人位の足音がするな。


「どちら様でしょうか?」


 おっ!渋い声だなぁ。

 ダンディーなおじさまを連想させる声質だよ。


「アイシャだ。ゴルドは居るか?儲け話を持って来たんだが」

「・・・只今お開けします」

「あぁ通用門でいいぞ」


 なんか仰々しいね。

 苦手だな、こうゆうのは。

 『断崖荘』は絶対にこんなふうにはしない。

 もっとフランクに和気藹々にするんだもん。


「お久し振りに御座います。本日は御一人で?」

「ここに居るだろ?」


 へっへぇーん、私が居ますよ。

 まぁ、このおっちゃん人の顔を見て話さないから気が付かないのは仕方ないね。


「其方が?・・・了解しました」


 なに?了解って・・・なにを?1回も私を見てないのに了解?

 ぜんっぜん分かんないよ。

 これは大人の世界じゃ当たり前なの?

 それとも金持ちの世界の当たり前?

 異世界は関係ないと思うんだよ。

 私には難しくて馴染めそうにないなぁ。


「こちらの部屋でお待ち下さい」

「あぁ、分かった」


 応接室なんだろうね、色んな物が飾ってあるよ。

 絵画の横に鎧が置いてあったり。

 彫像の横には背の高い行灯あんどんみたいのがあったり。

 絵皿の置いてある家具の中には豪華に装飾された短剣も置いてあったり・・・

 統一性が無くて置き方も雑だな。


「アイシャ様、お待たせしました」

「よぉゴルド久し振り」

「アイシャ様、単刀直入に伺います。魔王を退いたと言うのは誠に御座いますか?」

「王位は譲ったぞ、あたしが後見人になるなら引き受けるって条件を付けられたけどな」


 ん?・・・なんだろう?

 この趣味が悪い位にゴテゴテと着飾ったゴルドってオッサン。

 アイシャさんが魔王を辞めたって聞いたら雰囲気が変わった。

 んで、後見人って聞いて更に変わった。

 ・・・この人、気持ち悪い。


「左様で御座いますか。・・・して今日は儲け話を持って来たと聞きましたが?」

「そうなんだ、今ゴルドは乾燥と生のミラクルナッツを幾らで卸してる?」

「ミラクルナッツですか?乾燥は銀貨300枚・・生は金貨1枚です」


 なんだろう。

 違和感みたいのがある。

 嘘吐いてる?

 ・・・商売だからふっかけたりはするんだろうけど・・・

 この人のには悪意が大きい感じがする。

 なんで?

 ・・・

 ・・

 ・

 私、この人がキライなのかな?

 生理的に受け付けないってのはこういう事なのかな?

 だから違和感みたいのを感じちゃうのかな。


「そうか、あたしは今日はミラクルナッツを売りたいって奴を紹介しに来たんだけどな」

「紹介ですか。してその御仁は?」

「ここに居るだろう」

「・・・そのネズミですか?あまり面白くない冗談ですな」


 ・・・多分これは普通の反応だと思う。

 私だって似たような感想だと思うもん。


「そう思うか?シズネ、今何個持ってるんだ?全部出してもらっても構わないか?」


 正直な所、気が進まない・・・

 でも、折角アイシャさんが場を用意してくれたんだから。


「なっ!こ、これはどこから?」

「全部で53個」ボソッ


 オッサンと直接話すのがイヤ、アイシャさんに耳打ちする。


「53個だそうだ、幾らで買い取る?」

「アイシャさん・・・紹介してもらっといて悪いんだけどね、この人と関わり合いになりたくない」ボソッ

「分かった、任しとけ」ボソッ


 正直に言っちゃった、理由を聞かれるかと思ったんだけど何も聞かれなかったな。

 アイシャさんも思う所が有ったのかな?


「ゴルド、人の話を聞いて無かったのか?シズネが出したんだよ」

「いや、しかし、そのチビネズミがどっから・・・それと、これは本物なのですか?」


 チビ?本物?

 ・・・妥当かな、得体の知れない生物に見えてるだろうしね。

 ・・・なんか悲しくなって来ちゃったよ。


「アイシャさん・・・帰ろう、私ここに居たくない」ボソッ


 あっ!

 オッサンが触ろうとしてる!


「えっ?・・・消えた」

「ふぅ・・・お前なぁ。了解もとらねぇで触ろうとする奴があるか?今のでシズネのお前に対する信用ってのが無くなったぞ?」

「そんなの最初から無いけど」ボソッ


 なんだなんだ?

 このオッサン一気に顔が赤くなったぞ。


「し・・・下手に出てると思って付け上がりやがって、儲け話が有るつぅから会ってみりゃなんだそれは!ふざけんじゃねぇ!」

「おー、本性をだしたかー」

「うるせぇ!魔王で無くなった貴様なんぞにへーこらする必要はこっちにはねぇんだ!」


 直感当たってたんだなぁ。

 あの使い魔と同類だったんだ、アイツは総合的に上下を決めてたけど、このオッサンは権力のみで上下を決めてるみたいだね。

 キライな訳だよ。

 アイシャさんも呆れてるよ。


「お前等!そのネズミからミラクルナッツを奪え!」

「強奪?」

「だな」

「反抗しても良いんだよね?」

「もちろんだ。因みにシズネはこの家を破壊するのにどれ位の時間がかかる?」

「んー・・・5秒かな」

「・・・はい?」

「プレス岩を全部持って来たから。・・・やっていいの?」

「かまわねぇよ」


 んじゃ、やっちゃいます。

 盛り土プレス用の『拒絶の壁』を、ほぃっほぃっほぃっほぃっと。

 こんなもんかな?


 思ってた以上に家が脆いなぁ。

 簡単に壁とか床を破壊しちゃったよ。

 あっ・・・オッサンが潰れてる。

 あ、あぁ・・・私殺人しちゃったのか・・・お父さんとお母さんに顔見せれない事をしちゃったのか・・・でも・・・何でだろう?

 罪悪感みたいなのがない・・・当然って気持ちも無いけど、やったらダメな事をしたって気持ちが全然無い・・・

 ハムスターになったから?

 アイシャさんをズタボロにした事があるから?

 ・・・何でだろう?


「何だこれは・・・」


 ふぇ?生きてる!

 良かったー


「そこまで馬鹿だったのか?岩だよ岩、シズネが『拒絶の壁』から切り出した岩だよ」

「『拒絶の壁』?・・・そのチビがか?見え透いた嘘吐いてんじゃねぇ!」


 これって私の定めなのかなぁ?

 なんかさ、稀代の嘘吐きになったみたいな気分だね。


「アイシャさん・・・帰ろう」


 帰る前にプレス用岩を回収しないと。

 げっ!

 オッサンの血がベットリ吐いてる・・・これイヤ!


「アイシャさん、これここで削いで行っていい?」

「そんなに時間掛からないんだろ?いいんじゃないか」


 んじゃ、早速。

 血のベットリ付いた辺りを大きめに【穿つ】連射で切り離して。

 お次は血の付いてない方から、これでもかっ!って位に【破砕】で粉々にしちゃおう。

 最後の仕上げは【横掘り】【縦掘り】のミックス技!十字掘りだっ!

 掘り終わったら、掘った土と粉々にした岩を混ぜて戻す!

 仕上げは【整形】で平らにして、おしまい。

 っと。

 あっ!・・・血の付いた所を【穿つ】で消せば早かった?

 無駄なスキルを使っちまったー、お馬鹿な事をやっちまったー。


「シズネ・・・むっちゃ早いな」

「うんー、熟練度上がったからねー。最初の頃なら半日かかったかもね」

「そ、そうか。しかし・・・軽々と持ち上げるよな」


 毎日岩と格闘してたら誰だって持てる様になるって。

 でも・・・


「怪力女めっ!って感じだよね」



 

 シズネちゃんに罪悪感がないのは、死にそうな目にあい殺らなきゃ殺られると無意識に思っているからです。


 無意識下なので意図を持って殺る事はないです。

 ・・・黒い悪魔以外は。

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