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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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街だーっ!〔前編〕

 あれ?

 セイバー・オブ・デッドリーシンで斬っただけなのに【穴掘り】の熟練度が2だけだけど増えてるよ。

 掘った事になるみたいだよ。


 だったら・・・

 切れ込みをいっぱい作っちゃうよ!


「どうしたんだティファ?」

「切れ込み入れたら熟練度が上がったよ。上がらなくなるまで切れ込み入れようと思うよ」

「そいつはお得だな。にしても・・・熟練度がどんだけ溜まってるか分かるってのも羨ましいな」


 私は特別みたいなの。

 ステータスの備考欄にある【見通す者】ってのは特殊らしいよ。


 かあさまは【熟練者】

 アイシャさんは【衰無効】

 それらと同じで特殊なんだよ。


 でも【見通す者】は使い方が難しいよ。

 見ようと思えば他人のステータス・スキル何かも見れるんだけど、禁忌の類みたいで頭の中で何かがうごめいて、のた打ちたくなるくらいに痛くなるよ。

 だから1回使ってからずっとやってないよ。


 使ってる機能?

 で良いのかな?

 簡単な事にしか使ってないよ。

 自分自身の事と指定した場所に何か有ったら感知出来るとか、そゆ簡単な事だよ。


 かあさまは

『それって凄いよ!だってさ究極の感知スキルみたいな物じゃない』

 って誉めてくれたよ。

 指定地点の設置に工夫をすれば、かあさまの言った通りになるよ。

 細かい設置設定は面倒くさくてキライだよ。

 だから頼まれた所にだけ設置してあるだけだよ。


「ティファちゃん、【見通す者】でスキルの全容って見えれるのー?」

「見れると思うけど、やった事ないよ。新しくスキルを覚えようとしたのも【穴掘り】が初めてだよ」

「そっかー。備考欄に追記ある人って凄い人ばっかりよねー」

「?・・・ミランダさんも有るでしょ?」

「有るには有るけどー私のは人工的に無理矢理追記したようなもんだしねー」

「それでも追記は追記だよ?」

「あはははは、シズネちゃんと同じ事を言うんだねー」


 かあさまも同じ事を言ったのか。

 さすがだよ。


 !!!!

 えっ!?

 上の建物に侵入者?

 間違い無く?

 ・・・

 ・・

 ・

 うん、間違い無いよ。


「ちょっと行かないといけない所が出来たから行って来るよ」

「えっ?おい、どうしたんだ?」

「上の建物に侵入者」

「上ってエレベーターの所か!ちょっと待・・・・・


 あ・・・

 全部聞かなかった・・・

 後で謝るから許して。

 今は上に急がないと。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 はーるばる来たぜまーちまっでー♪


 有名演歌のメロディーに乗せてシズネちゃんが歌ってみました。


 ・・・また出て来たのか!

 何で嫌味を言う為に出てくんの?

 人をイラッとさせないで欲しいんだけど。


 つかねー

 音程は外れて無かったでしょ!

 だから音痴じゃないの!

 まぁ。

 上手いか下手かって言ったら、お世辞にも上手いとは言えないけど音痴じゃないからねっ!


 全く、せっかく街に着いてワクワクしてるってのにさ。

 出鼻を挫かれた気分だよ!


「シ・ズ・ネ・ちゃーん♪私は取引先に引っ越した事を言いに行かなきゃだからー、別行動になっちゃうけど泣かないでねー」


 うんっ!泣かないよっ!

 って、力いっぱい言ったら・・・きっと泣くのはミランダさんだな。


「我輩は人魔達の纏め役に会ってくるのである、その後は本の物色である」


 ノスフラト君も引っ越した事を伝えに行くのかな?


「あたしは・・・シズネ!いやっ!シズネさん!一緒に来てくれっ!いやっ!来て下さい!」


 敬語?丁寧語?

 使い慣れてない感が丸出しだね。

 でも、なんだろう?

 私にそんなのを使う程の何かが有るのかな?

 付いて行くのは全然オッケーだから良い・・・つか、他の2人は仕事だから付いて行けない私は、アイシャさんに付き添いをお願いしようと思ってたんだよね。


 そいじゃ、街中に行きますかぁ。

 ん?

 ここは街中じゃないよ、街には発着場ってのがあって、そこに着陸するのが通常らしいんだけどね、あえて街外れに着陸したんだ。

 だってさ普通に考えても妖魔王の乗機の黒い球体が着陸したら目立つし、降りて来るのがノスフラト君とアイシャさん、魔王2人が降りてきたら住民が騒ぐんじゃないかな?

 そんな悪目立ちはしたくないじゃない?

 だから街まで1キロの所に着陸して、徒歩で中心街に向かうって訳なの。


 その街なんだけどね。

 ほら、ファンタジーの街って大きい街になると城壁ってのが有るじゃない。

 ここの街には城壁無いの。

 なんでも、魔族界で大規模な争い事があったのって数千年前が最後で、それから起こった事が無いんだって。

 もし、いざこざがあったとしても。

 1対1なら、その2人で。

 1対複数、複数対複数なら、同人数を揃えて。

 そうやって当人同士で決着させるんだって。


 決着の舞台も街中みたいな人が住んでる所はダメ。

 やったら魔族界中に悪名として広まるそうだよ。


 広まったら最後、魔族界の街には住めなくなる、放浪生活か隠遁生活が待ってるって。

 それは、平民から権力者まで等しく適用されるルールなのである。

 ってノスフラト君が言ってよ。


 だからね、街に被害が出る様な争い事が起こらないから城壁が必要無いんだって。

 強い者が正義って言うのはどうかと思うけど・・・治安は良いみたいだよ。


 盗賊とか山賊なんかも居ないって、もし出現したら暇を持て余した魔王が嬉々として自ら討伐に向かうんだってさぁ。

 ・・・怖いね。


 で・・・街への移動は例によって私は歩いてないんだけど。

 前も言ったでしょ?

 私の歩幅は小さすぎるのよ、走ったら周りを見れなくなるから走りたくないし、だから今もミランダさんの肩の上に乗って移動中なの。


 その移動中なんだけどね・・・

 私が肩に乗ってミランダさんはニッコニコ。

 ノスフラト君はいつも通り、フードで表情がまるっきり見えません!

 アイシャさんは・・・私におべっか使ってヨイショしまくってるんですよ。


 マジでなんなんだろう?

 私の機嫌なんかをとってどうするんだろう?

 誉められるのは嬉しいけどさぁ、あからさまなおだてってのは居心地悪いって言うか気持ち悪いって言うか・・・好きじゃないな。

 それをアイシャさんがやってるってのは倍増させてるよ。

 どうしたもんかねぇ。

 うーん・・・

 ・・

 ・

 決めたっ!

 まどろっこしいとか遠回しとか面倒くさいから単刀直入に聞いちゃおう。

 ミランダさんとノスフラト君が居ると言い難い事なのかも知れないから、2人っきりになったら即聞いちゃおう。


 人家が増えてきて分かれ道も増えてきたら。


「我輩はこっちなのである」

「うん、分かった。気を付けてね」


 ノスフラト君が別行動になり。


「あぅー私はあっちなのよー。シズネちゃん泣かないでねー」


 ・・・泣きません。

 ミランダさんが別行動になり。


 アイシャさんと2人っきりになりましたぁ。

 私がアイシャさんの肩に乗って直ぐだったよ。


「ところでシズネさん、今日は毛艶が一段・・・

「アイシャさんっ!話が有りますっ!」

「ひゃ、ひゃい!なんでひょう?」

「私になんか頼み事があるんでしょう?遠回しなのはいいから単刀直入に言っちゃって」

「えっ?・・・いゃそのなんだぁ・・・」

「うん、なに?私に出来る事なの?」

「出来る!今のあたしが頼めるのはシズネだけだ」


 何だろう?

 信頼されてるって事?

 それとも他に居ないから仕方無く?


 え?裏を読み過ぎ?性格悪い?

 だってさ、今の言い方だとノスフラト君とミランダさんには頼めないから私に頼んでるって言い方じゃない?

 消去法で残ったのが私って事だと思っても仕方ないと思うんだけどな。


 で、ホント何だろう?

 アイシャさんはモジモジしてて中々言わないし・・・なんか可愛いし。

 美人は何やっても様にになる羨ましいねっ!

 私がモジモジしてたら『トイレか?』って言われるに決まってるよ!

 世の中不公平だぁ!

 改善を求めるーっ!

 誰かなんとかしろーっ!

 ・・・

 ・・

 ・

 きっと過去に同じ事を言った人は数え切れない位いるんだろうなぁ。

 ・・・無駄な改善要請って事かぁ。

 はぁー・・・私も美人に生まれたかったな。


 はっ!?

 私っ!凹んじゃダメッ!

 せっかく街に来たんだから楽しまなきゃ!

 うん!

 楽しもう!


 で、だ。

 このモジモジ美人さん・・・どうしたもんかねぇ?

 うーん・・・


「アイシャさんっ!」

「ひゃ、ひゃい?」

「モジモジしない!私は聞かないと何も出来ないよ?ビシッと言っちゃって!聞いてみて、私が出来る事ならするし。無理そうなら私からノスフラト君なりミランダさんなりに頼んであげるから、その頼み事をビシッと言っちゃって!」

「・・・シズネ・・・ホント男前だな。ちょっとキュンとしちゃったぞ」

「私にキュンとしてどうするの?あはははは」


 ・・・アイシャさんの周りってどんな人が居たんだろう?

 疑問に思っちゃうよ?


「私、そっちの趣味ないから」


 たぶん・・・可愛い人とか美人を見るのは好きだけどさぁ・・・

 どうこうなりたいってのは全く無いからねぇ。


「あたしも無いな、そっちの趣味は。・・・じゃ、じゃあ言うぞ」

「おぅ!ドンと来い」



「・・・ホントにいないの?」

「っす」

「ホントのホントに?」

「っす。『樹海』から『拒絶の壁』って難所が有るから魔物は居ないっす」

「そうなんだ?・・・ん?・・・『樹海』も?・・・人間界にも魔物は居るの?」

「あたしが確認した訳じゃないっすけど、居るって聞いてるっす」

「ふーん居るんだ。・・・あのさ、ふと思ったんだけど、魔物が喋れる様になったりはしないの?」

「たまに居るっす。喋って意思の疎通が出来る様になれば魔族っす」

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