街に向かってレッツゴー〔中編〕
ユグス?・・・誰?
飛行ユニット?・・・空飛ぶ2人?
むー・・・分からん。
「ユグスってのはな妖魔王の事だ。飛行ユニットってのは空飛ぶ乗り物ってとこだな」
「じゃあれは、こないだの使い魔が持って来たって事なのかな?」
「そうゆう事になるはずだな」
んじゃ。
あの黒い球体は乗り物で危険は無いって事?
回ってヴゥゥゥゥゥゥンって言ってるのは何でだろう?
近寄っても平気なのかな?
って!
アイシャさんが行っちゃう。
待ってよー
置いてかないでぇ。
「ミランダー、何か凄ぇの持って来たな。あいつ」
「予想以上の物を持って来たねー」
「あ、あの、あの、あの音は何?」
「!・・・あぅー」
な、何事?
いきなり突っ伏して泣き始めたよ。
「あぅー・・・あぅー」
うわっ!
ゾンビになった?
襲い掛かって来たっ!
「はい、そこまでー」
「あぅーあぅ?」
「いい加減に言葉を喋れ!」
うんうん。
あぅーじゃ分からないよ?
「ミランダ、この度シズネと協議をした結果を伝える。お前が暴走したら腕力を持ってこれを征する事になった。因みにシズネは筋力が急激に上がった為に手加減が出来ない事が判明した、常に再生薬を常備しておくように」
出来ないんだよね・・・
試しにアイシャさんを相手にデコピンをやってみたの。
手加減してるつもりなのにアイシャさんが吹っ飛んでいっちゃってさぁ・・・
誠に面目ない事をしちゃったんだよね。
「あぅー?」
「ミランダ?いい加減にしないと、あたしも怒るよ?」
「それって私が被害者になるって事ー?」
「いや違う!正当防衛による一撃を喰らうだけだ。どこまで行ってもお前は加害者だ!」
うんうん。
被害者はこっち。
被害者による正当防衛は犯罪じゃない!
まぁ・・・私は手加減が出来ないから過剰防衛になるだろうけどね。
「因みに、あたしが側に居たら実行はあたしがやる。その合図は・・・」
「私がここに挟まるの」
うーん。
やっぱり極上ですな。
アイシャさんのおっぱいに挟まれてるとマッサージを受けてるみたいに気持ちが良いよ。
「!!・・・それ・・・良いなぁー。私も挟まりたいー。そして挟みたいー」
ミランダさんのにも挟まる?
出たい時に出て良いなら良いけど・・・
挟まったら最後。
逃がしてくれないって予想をしちゃうんだけども。
「・・・ミランダ?正当防衛は、あたしもするからな?」
「えっ!・・・マジで?」
「マジで!」
アイシャさんも身の危険をヒシヒシと感じたそうだから腕力による正当防衛を実行するんだって。
ミランダさんハメを外したら四面楚歌だね。
だって、ノスフラト君もミランダさんの味方はしないだろうしさ。
「あぅー」
「あぅーじゃない!止めろって事を止めないお前が悪い!」
あはははは。
んま。
これしきの事じゃミランダさんは変わらないだろうなぁ。
長く生き過ぎて頑固になっちゃってるのかもね。
ガゴッ!シャキシャキ!
黒いのが、黒いのが!
足が出たっ!
なに?なんなの?
「シズネ、大丈夫だ。色々と準備が終わったから着陸するだけだからな」
そうなの?ホントにホント?
「なんだろうな・・・シズネの言ってた『私は強くない』ってのが分かった気がする」
やっと分かってくれたの?
知らない、分からない、そゆのは私にとったら恐怖の対象でしかないんだよ。
理解出来るまでビクビクしちゃうんだから。
アイシャさん、ミランダさん、ノスフラト君の3人が近く居てくれるのが、どんだけ有り難い事か言い表す言葉が見つからないんだから。
ガゴッ!
シューーー・・・
今度は何?
反対側に何か出た?
「再生薬の見返りを持って参りやした」
あっ・・・
こないだの使い魔・・・だよね?
着ている物が違うから別の使い魔?
「あんたー、最新モデルじゃなくても良かったのにー」
「これは妖魔王様よりの御命令なのでやす」
「ユグスのか?何でアイツがそんな命令を?」
わ、私はハムスター!
難しい事とか、面倒事はスルーします!
「シズネ様」
「私を様付けで呼ぶなぁっ!私は偉くないっ!」
ってハムスターよハムスター。
ハムスターは喋らないのよ。
「いや、しかし・・・」
「あー・・・なんだ。シズネが嫌がってるんだし止めてやってくれ」
「そうねー、シズネちゃんってー、嫌がる事をすると怒る事あるからー」
「それを、あんたが言うのか」ボソッ
「ぷっ、その通だなシズネ」
アイシャさんには聞こえたか。
まぁ・・・
まだおっぱいに挟まってるから当然か。
「で、こんな上等な物を出したんだから伝言も有るんじゃないのか?」
「御座います。『うちの使い魔が失礼をしたようね。時間に余裕が出来たら妾が謝罪に伺うわ』と仰ってました」
え?なに?
妖魔王がいつか来るって言うの・・・ここに?
一人称が妾って・・・
きっとプライドが高い人だよね?
謝罪って御礼参りとか?
つか、元を含めて魔王が3人も集合するの?
私、危なくない?
・・・逃げる?
うん!善は急げだっ!逃避すっぞ。
「アイシャさん!私、暫くどっかに隠れて生活するから。じゃ!」
「まてまてまてまて」
あうっ。
両手の平で抑え込んで、おっぱいプレスの圧力アップされて抜けれなくなってしまったぁ。
・・・逃げたいのにぃ。
「ユグスの奴は言葉使いはアレだけど、裏表みたいのはないからビビんなくても大丈夫だ」
「そうよーユグスちゃんはシャイなんだからー」
「ホントに?私に仕返しに来るんじゃないの?・・・やっぱりハムスターらしく土の中で生活するぅー」
ジタバタ暴れみたけど、抜け出せない。
この乳圧は半端ないな。
こうなったら最後の手段・・・
「ほれ、大丈夫だって」
また首の後ろを摘ままれた。
・・・アイシャさん、なんだかんだで私の扱いに慣れて来てないかな?
「いざとなったらノスフラトに対処させっからさ」
???
ノスフラト君に?
「あぁー、ノスフラト君の喋り方は天然だからねー」
喋り方?
ますます分かんないよ。
「ユグスはな威厳を出す為に今の喋り方をしてんだけど、ノスフラトみたいに素であんな喋り方の奴が相手だと、自分は間違った言葉使いをしてねぇか不安になっちまうみたいなんだよな」
ふーん。
紛い物って事がバレたくないって事なのかな?
日頃から理想像を演技するってのも大変なんだね。
私には無理だろうなぁ。
だって、ボロが出まくるのが想像しなくても浮かんで来るもん。
「どうやら落ち着いたみたいだな。・・・で、これから街に行くのか?」
「うんー、そのつもりー。行くでしょー?シズネちゃん」
「うん!行く!」
「あたしも連れてけ。あの部屋は居心地は最高なんだけど、殺風景だからなぁ。家具が欲しいんだ」
「うん!一緒に行こう。あっ!ノスフラト君にも行くか聞いて来るね」
家具かぁ。
自作出来ないか頑張ってみてる所なんだよね。
【物質操作】は生木相手だと使用不可なんだよね。
でもね。
生木の中の水分は操作できるんだよ。
だから今はどれ位のペースで水分をどれ位抜けば良いのか実験中なんだ。
実験が終わったら家具も作るんだ♪
「ノスフラト君、起きてる?」
「むあ?・・・何であるか?」
「ごめん、寝てたんだ。あのね、これから街に行くんだけどノスフラト君も一緒にどうかな?って思って」
「・・・行くのである」
「ホント!じゃ外で待ってるね♪」
さっきの続きね。
ミランダさんの作業場をさログハウスみたいな丸太をまんま利用した造りにしてみようと思うの。
板壁も味わい有るけど、丸太壁の重厚感っての?
ここにはそっちの方がマッチすると思うんだよね。
ログハウスなんてじっくり見た事ないから試行錯誤をいっぱいするだろうなぁ。
するだろうけど諦めなきゃ造れると思うんだぁ。
あの有名なホワイトヘァドブッダも
『諦めたら、そこで試合終了ですよ』
って言ってるしね。
諦めなきゃ何とかなる!
・・・はず
「ノスフラト君も行くって!みんなでお出掛けだよ!」
「魔物っす」
「魔物?・・・魔族?」
「魔族じゃないっす、魔物っす」
「・・・同じじゃないの?」
「違うっす、魔物は意志の疎通が出来ないっす。後、本能で生きてるっす」
「?・・・いまいち分かんない」
「んーと、属性を持ってる動物っす」
「動物・・・んじゃ、属性のない喋る動物はなに?」
「え?・・・な、なんすかね?・・・進化した動物とか?」
「・・・まぁいいや、魔物ってどんなのがいるの?」




