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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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街に向かってレッツゴー〔前編〕

 ふう・・・

 穴掘りって大変だよ。

 腕はパンパンになるよ、中腰で作業だから腰は痛くなるよ。

 人型って穴掘りに向かない形なんだなって痛感してるところだよ。

 かあさまはハムスターって言う穴掘りに適した形だから、この苦労はきっと無かったんだよ。


 ちょっと挫けそうだけど、ここで挫けたら笑われるよ。

 誰にかは分からないけど誰かがきっと笑うよ。

 そう思ったら頑張れるよ。


 【横掘り】覚えたら掘るのが結構楽になったって、かあさまは言ってたよ、まずはそこまで頑張るよ!


「おーい、ティファーどんな調子だ?」

「アイシャさん。ミランダさん、頑張ってるけどあちこち痛くなって来たよ」

「だろうねー、穴掘りは重労働だからねー」


 スキルを使って爆発させた方がずっと早く掘れるよ。

 でも、それだと【穴掘り】の熟練度は溜まらない・・・よ。


 あ、そっか。

 他に代用できるスキルが有るから【穴掘り】は捨てスキルになっちゃうんだよ。

 地道な事をするのは嫌いじゃないから掘る事態は良いんだよ。

 だけど身体が痛くなるのはちょっと嫌だよ。


「ティファちゃん、2つアドバイスよー」

「なんだろう?」

「まず自分の背丈位まで掘ってみよー。それからー、中に入って横に掘るのよー。土を運ぶのは【穴掘り】の熟練度が上がってからでも大丈夫だと思うよー。ティファちゃんの収納スキルは出したい物だけ出せるんでしょー?」

「出したいのを出せるよ。でも、しまってかないと邪魔になるよ?あと背丈まで掘るの大変だよ」

「私も穴掘りは詳しく無いんだけどねー。シズネちゃんはそうやってたからー、その方が楽なのかなー?って思ったのよー」


 かあさまがやってた?

 ・・・

 ・・

 ・

 穴場の達人・・・達ハムスターのやってた事なら理由が有りそうだよ。

 やってみる価値は有るよ。


「そうそう、ミランダがな、筋肉痛の薬を作ってるから後の事は考えないでガンガン掘っても大丈夫だからな」

「精製に夕方位まで掛かるから夕飯を食べたら渡すねー」

「うん、ありがとう」


 縦に掘る・・・

 それだけ爆破しちゃおうかな?

 ・・・いや、やっぱり掘ろう、熟練度を溜めたいよ。


「あのさー、セイバー・オブ・デッドリーシンでー、細かく切れ込み入れてから掘ってもー、熟練度溜まるかなー?」


 切れ込み?


「切れ込み入ってたら少しは掘り易そうだな。1回試してみたらどうだ?」

「・・・やってみるよ」


 どれくらいの間隔で切れ込み入れたら良いのかな?

 ・・・

 ・・

 ・

 とりあえず、スコップの幅位で入れてみるよ。


「相変わらず凄ぇな。そのデカい剣を軽々と振りやがる」

「これは私の1部から出来てるから、身体を動かすのと変わらないよ」

「1部から出来てる?あたしも1部を使って何かを作れるって事か?」

「うん・・・やり方は私が知ってるよ、作れるはずだけど・・・」


 止めた方が良いと思うよ。

 絶対に後悔すると思うよ。


「だけど?・・・何かあるのか?」

「うん、その人にとって一番大切な物で作られるの、肉体かも知れないし、スキルかも知れないし、記憶かも知れないよ」


 私は最初、なにが無くなったか分からなかったよ。

 身体もスキルもちゃんと有ったから無くした物は大した物じゃないと思ってたよ。

 それと、私には何も無いと思ってたよ。

 何が無くなっても平気だと思ってたよ。


 でも。

 無くした物が分かった時、涙が止まらなかったよ。

 私は知らなかったよ。

 それが大事な物だったって。


「大切な物か・・・」

「ティファちやんは何を無くしたのー?」

「私は・・・かあさまの記憶。産んでくれた、かあさまの事を全部忘れてたよ」

「それは・・・」

「そうか、リスクの方がデカいって事だな。変な事を聞いて悪かった」

「ううん、いいの。今は、かあさまは居るからいいよ」


 シズネかあさまといっぱい思い出を作るよ。

 楽しいのばっかりが良いけど・・・

 悲しいのでも、辛いのでも、いっぱい作るよ。

 今こうして帰りを待ってるのだって、きっと思い出になると思うよ。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 やぁ皆の衆、1週間振りの御無沙汰でっす。


 ん?

 私の所は1週間経ったんだよ?

 まさか!?

 異世界は時間の流れも違うのかな?

 だとしたら面倒くさいねぇ。


 今の私の状況とどっちが面倒くさいか比べたい位だよ。


 私の状況?

 それがね・・・

 玄関前を黒い球体に占拠されて物影に隠れてる所なの。

 ・・・面倒くさいってより、未確認飛行物体と遭遇してビビってるってのが正しいかも。


 ・・・こういう話題になると出て来るんだよね。

 脳内の意地の悪い奴がっ!


 何度も言ってるけどね。

 痛いと危ないからは逃げるの!

 チキンで良いの!

 ホント記憶力が無いんだから。

 脳内なんだから、それ位は覚えてよね。


 で、だ。

 私はどうすれば良いんだろう?


 アイシャさんは10分位前に。

『今日は鳥が食べたい!』

って言って狩りに行っちゃったし。


 ノスフラト君は・・・カーテン閉まってるから寝てるみたいだし。


 ミランダさんは・・・さっき薬を作りに元家に入って行ったし。

 ・・・まだね。

 話し掛けてないの。

 きっかけはね有ったんだけど事件当日だったから無理だったの・・・


 窓の形をどれにするか3人に聞いた時が、きっかけだったんだけど。

 ノスフラト君経由で聞いちゃったんだよね。

 ミランダさん『あぅー』って言ってたけど・・・まだ恐かったもん、仕方ないよね?


 1週間経って怖くは無くなったし、次にああなったらどう対処するかもアイシャさんと相談して決めたし話掛けても良いんだけど・・・きっかけが無くて。

 私も困って来てるの。

 私が『あぅー』

 って感じになって来てる。

 でもね、きっかけは必ず出来るはずだから・・・


 ヴゥゥゥゥゥゥゥン


 ひっ!

 黒い球体が音を出した?

 あれホントなんなのー!

 恐いんだけど!


 ヴゥゥゥゥゥゥゥン


 ・・・回ってる?

 何かを探してる?

 ・・・もーやだー!

 あれ怖すぎだよ。


「んー?何の音ー?」


 ミランダさん!

 今出て来ちゃ危ないよ!

 変な黒いの居るんだから!


「あれぇ、あの子一番良いのを借りてきたのねー。中々やるじゃないー」


 ・・・えっ?


「何やってんだ?シズネ」


 ビックゥ!

 ってなってジャンプしちゃったよ。


「おっと、・・・ホント何やってんだ?まさか!?・・・またミランダが何かやったのか?」


 あはははは、ジャンプした私をキャッチしてもらっちゃった。

 そんでっもって、ミランダさん自体は何もしてないかな。

 関係はバッチリしてるみたいだけど。

 それよりも。


「アイシャさんこそ戻るの早かったけど、忘れ物でも取りに来たの?」

「いやぁそれがな、森に入って直ぐにコイツと遭遇してなぁ」


 そう言って右手で肩から背負ってた物をドサッと下ろしたんだけど。

 なにこれ?


「コイツが結構つよくってな、中々楽しめたぜ」


 そ、そうなんだ。

 で・・・これは何なんだろう?

 私も何か月かは、この森に住んでるけど初めて見たよ。


 奇抜と言うか、奇怪と言うか、奇妙と言うか、変な生き物だよ。

 カモノハシみたいなデッカイ頭から脚が生えてるの。

 胴体とか前脚とか羽なんて無いの。

 頭と脚だけなの。


 こんなのがモンスターとして出てくるゲームが有ったような気もするんだけど・・・

 にしてもよ、これって。


「アイシャさん、これって食べる所はあるの?」


 見当たらないんだよね。

 普通は脚に肉が付いてるはずなんだけど。

 先から付け根までずっと細くて肉が有るように見えない。

 それ以外は頭だし・・・


「えーと・・・有るように見えないな。やっちまったぁ」


 あはははは。

 アイシャさんが凹んだぁ。

 アイシャさんのこういう所、可愛いんだよね。


 この生き物は丁重に埋葬しよう。

 で、だ。


「アイシャさん・・・あれ何だか分かる?」


 未だに低い音を出して回転してる黒い球体を指差したのだよ。


「あれって?・・・ん?ありゃユグスの飛行ユニットじゃねぇか」



「・・・ネさん・・・シズネさん・・・」

「・・・う、う~ん・・・はっ!」

「気が付いたっすか?こんな所で寝てたら食われるっすよ?」

「ノスフラト君は!?」

「居ないっすよ?ノスフラトさんがどうしたっすか?」

「頭が!、頭が無かったの!!」

「・・・そんな訳無いじゃないっすか、夢でも見てたんじゃないっすか?」

「夢?・・・だったのかなぁ?」

「それより作者を知らないっすか?」

「作者?さっきスキップして帰ったよ?」

「くそぉ!、矯正できなかったか!」

「そゆ事か。そ言えばね、頼まれなくても活躍の場は用意してあるって言ってたよ」

「マジっすか!?」

「うん、でさ、食われるって誰に?」

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