ハムスター?なんで!?[後半]
うん、これは転生だって認める、現実として認める!
でも・・・
この体ってネズミ?
耳の形とか前歯とか触ってイメージ出来る姿がネズミなんだね。
・・・ないわーっ!
最弱とか言われてるスライムとかゴブリン以下じゃないの。
モンスターですらないのよ。
これ・・・死んだよ。
ひっそりこっそりと私の名前通りの生き方しないと「あっ」すら言えないでご臨終コース逝き・・・
ないわーっ!
これが夢ならご臨終コースでも良いんだけど。
こんなゴチャゴチャ考える夢なんぞ見た事ない。
だから現実!
・・・たぶん。
ふぅ・・・
やるっきゃないね。
ほら、女は度胸って言うしね~。
あれ?
愛嬌だっけ?
・・・
・・
・
ま、まぁ、ここは覚悟決めて度胸の見せどころって事だから間違いじゃないって事で。
で、生き残る為にしなきゃいけない事は・・・
食う寝る遊ぶ?
・・・遊ぶは違うかな?
寝るはここで良いとしても土の上に直はちっとイヤだな、干し草とか枯草でベッドでも作ろうかな。
食う・・・食うか~
ネズミって雑食だったよね?
う~ん・・・虫・・・虫は食べたくないな~
とすっと、木の実とか果実だよね。
私、靜音はベジタリアンになります。
なんにしても外で色々と調達してこないとダメって事ね。
よっし!
ここが度胸の見せ所だ、ヘビが出るか蛇が出るか・・・これじゃどっちも蛇か。
ま、まぁ・・・外に出るって事よ。
おおう!
眩しい、やっぱり真っ暗な所だったんだね~
っほっほ~、ここは森の中なのか・・・にしても・・・なんかイメージに有る森と違うわね。
森の地面ってこんな芝生みたいに短い草ばっかりなの?
人が歩くのも苦労する位に鬱葱としてたり、枯葉とか小枝が落ちてたりするもんじゃないの?
誰かが管理してるとか?
・・・のわりには・・・
「なんじゃありゃー!」
羽の生えたムカデが編隊組んで飛んでる?
あっちには小さい王蟲みたいのが居る?
やけに耳の長いウサギ?
尻尾が棘だらけのリス?
木の枝に体育座りした等身のおかしい人型は頭に穴が3つ開いてる?
地面でユラユラ動いてるのはニョロニョロ?
うへ~ぇ。
私は異世界に転生してたのか、ヘンテコな生き物ばっかりだもん、異世界以外に思いつかないよ。
・・・やってけるのかな・・・いきなり自信喪失だよ。
ん?あれ?・・・ネズミって茶色と白の2色あるのって居たっけ?
私の足とお腹で色が違うんだけど。
なんかモルモットとかハムスターみたいな色合いしてるんだけど。
・・・
・・
・
もしかして・・・ハムスター?
モルモットにしては胴が短いもの、そうすっとハムスターって事だよね?
・・・ちょっと待てぇい!
ハムスターってネズミより小さくて弱くないかい?
しかもだよ、ラノベで知ったんだけどネズミはラットマンとか言う獣人になれるかもしれない可能性があったんだよね?
まぁラットマンってのも微妙・・・と言うかイヤだけどねっ!
どうイメージしてもデカいネズミか、版権の五月蝿い浦安ネズミの国のアレか、ゲゲゲのマウスマンしか浮かんでこないもん!
どれも有り得ないでしょ?
でもさ、もしラットマンってのになったらさ・・・私はハムスターじゃない。
ハムスターがラットマンに進化したらラブリーな感じがしない?
イメージ出来ないんだけどね。
・・・でも、何だろう・・・マジでいろんな意味で詰んでないかな?私。
そ、そうよ。 こういう時は何気なく私を守ってくれる人と遭遇するのが定番ってやつよね。
王子様とか勇者なんて贅沢は言わないから。
金髪ロングの全身黒い服を着たお姉さんに、ただで機械の身体を貰える所に連れて行ってもらって。
そこで。
天変地異が起こせる位の超能力を使えるように脳改造してもらって。
足からジェット噴射で空を飛べる様にしてもらって。
50km先まで見通せて透視も出来る目と、50km先で落ちた針の音まで聴ける耳にしてもらって。
指先からマシンガンを発射できて高分子カッターも付いてて、肘と膝がロケットランチャーになってて心臓が核融合炉にしてもらって。
ものっそい怪力であらゆるものを通さない皮膚にしてもらって。
口から火が吹けて温度調節ももちろん出来るようになってて。
何にでも変身できて、あっ、でもヘソがスイッチになってるのはイヤだな。
後は水中で自由自在に動けて、もちろん呼吸もね、ても身体中に鱗を付けないでね。
マッハに加速して動ける身体にしてもらえたらきっと生き抜ける!
つか・・・世界征服も出来そうなスペックね。
それ以前に金髪ロング黒服のお姉さんに付いて行ったらボルトにされちゃう?
・・・ダメじゃん!
改造内容も武器商人ブラックゴーストに拉致されないとダメ?
えぇ~それもイヤだな。
オリンポス編の『あとは勇気だけだ!』って台詞を言ってみたかったのにな。
はっ!!
わ、私はオタクじゃないわよ。
お父さんのコレクションの小説とか漫画とかDVDとかビデオを観たり読んでて覚えちゃっただけなんだから。
決してオタクじゃないからね!
記憶力が良いだけなの!
ガサッ!
ん?なに?
まさかホントに王子様が?
えっ?
・・・
・・
・
私はハムスターだけど脱兎の如く逃げましたよ。
えぇ逃げましたとも。
だって絶対に出会っちゃダメな奴と見つめ合っちゃったから。
しっかし私は知らなかったよ。
奴は下から見上げて見るとニンマリ笑ってるみたいな顔してるんだね。
あの顔・・・すっごい怖い!
しかも、頭だけで私より大きいって・・・こんな巨大生物は人間だった時にはお目に掛からなかったから恐怖感倍増だよ。
すっごい恐怖なのに足が竦んで動けなくならなかった私を褒めたい!
いぇぃ!私って凄い。
巣穴まで後1m、逃げ切ってもっと凄くなれ!
あいつに狩られたら楽には死ねないぞ。
私、見た事あるんだから。
あれは・・・
コンビニ行った帰りに駐車場の真ん中に背を向けて座ってる猫が居たの、私はその駐車場で真ん中に座ってる猫なんて初めて見掛けたから気になっちゃったんだよね。
何してるんだろう?って。
ちょっと見てたらね猫の影から何か飛び出たの。
飛び出たと思ったら猫が躍り掛かって捕まえたの。
その影はネズミだったの、目は良かったからね猫が咥えているのを見て分かったの。
その猫ね同じ辺りに戻るとネズミをポトリと落として、またジッとしてたの。
暫くしたらネズミがまた逃げようと走ったんだけど捕まっちゃって。
ってのをネズミが動かなくなるまで繰り返してたんだよね。
その後も見たんだけど・・・トラウマもんだよ~
お腹から皮を上手に剥いで食べてたよ。
あんなに上手に皮が剥けるなんて知らなかったよ。
なんか職人技って感じだったもん。
だからね、奴には・・・猫には捕まりたくないの!
死んだ後で食べられちゃうのは、まぁ良いとしても。
拷問の末に衰弱死なんて絶対にイヤ!
後ほんの数歩で巣穴だっ!
よっし!
逃げ切った!
って思ったら、お尻の辺りを凄い力で押された。
勢い余って巣穴を通り越しそうだったけど、何とか足を引っ掛けて中に入れたよ。
やった!生き残った!
奥まで行っちゃえば奴には手出しできないはずよ。
やっぱりだ。
猫の手じゃここまでは届かないみたい。
最初の危機を乗り切ったわよ!
どんなもんだい。
けど疲れたよー
生死を賭けた全力疾走ってむっちゃ疲れるんだね。
ちょっと休憩休憩。
イタッ!!
痛い・・・座ろうとしたら、お尻の辺りが痛い。
えっ?
このヌルッとしてドロッとしてネバッてするのは・・・もしかして血?
あの時、押されたんじゃなくて引っ掻かれてたの?
あ・・・なんかドクンドクンしてきた。
お尻に心臓が出来たみたいな感じ。
でもでも、触らなければ痛くない。
ドクンドクンするけど痛くないよ?
・・・なんで?
・・・
・・
・
あぁもぅ。
ドクンドクンが気になって考えらんない。
あっ・・・あれ?・・・えっと・・・もしかして?
このままだと死んじゃう?
ドクンドクンって血が出てるからだよね?
脈打つくらいいっぱい出てるって事なのかな?
このままドクンドクンってし続けたら血が足りなくなっちゃわない?
・・・
・・
・
イヤだよぉ
私はまだ死にたくないよぉ・・・
この世界で・・・ハムスターだって良いから・・・生きていたい・・・死にたくないよぉ・・・
誰か助けて・・・
「お父さん、お母さん、助けてよぉ、恐いよぉ、死にたくないよぉ・・・」
ネタをブチ込んでます。
長々とブチ込んだのは3話だけです。
長々としたネタはクドイ感じがしたので止めます。