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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 2章 下準備

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意外とキレやすい?〔前編〕

「ねー、シズネちゃんって無事だと思うー?」

「あん?生きてはいるだろうさ、戻ってるかは分からねぇけどな」


 あいつが、あの程度の事で死ぬ訳がない。


「そう・・・私ってダメだねー、信じきれないんだもの~・・・」

「何言ってんだ?それは心配してるからだろ?あたしは逆に心配してないからね、シズネなら何とかなんだろうって感じだ」

「それって信じてるからでしょー?」

「どうだろう?あいつは信じると失敗する奴だからな、勘ってやつじやないかな」


 そうなんだよな。

 シズネは期待されたりすると何故か失敗するんだよ。

 何でなんだろうな。


「信じると失敗かー・・・ふふっシズネちゃんらしいわねー。シズネちゃんね期待されるとプレッシャーになっちゃって上手くいかなくなるって言ってたわねー」

「そんな弱点があったのか、知らなかったよ」

「そう?頼まれた事があったりするとー『上手くいかなくても怒らないでよ?』って言うでしょー?あれそういう事なのよー」


 確かに言ってたな。

 知る限りだと上手くいってる様にしか思えなかったから気が付かなかったな。


「シズネちゃんってね自分自身に自信を持ってないと思うのよー」

「はぁ?あんだけ豪語して啖呵切る奴がか」

「あははは、プライドは高い所があるからねー、啖呵切るのは死んだって譲れない事があるからかもねー。頑固なところもあるからねー」


 やっぱりミランダは良く見てるだけあって、シズネの事を知ってるな。

 だからなのか?

 弱い所とか苦手な事なんかを知ってるから、信じきれないのか?


「なぁミランダ、あたしから気休めのアドバイスだ」

「あははは、気休めって言っちゃうのねー」

「おぅ、まぁなんだ。シズネは自分に出来ない事を信じろなんて言わねぇぞ。あいつはあの時、信じろって言ったんだ、必ず帰って来る」

「そうね・・・そうだねー。今まで言った事はやって来たわよねー」



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 はぁーい。

 シズネだよ。


 今日はいつもより高い所から挨拶してるんだよ。

 私はミランダさんの肩の上に居るんだよ。


 肩の上から見る世界はまるで違うね。

 地面が遠いからちょっと怖いけど・・・


 はい。

 何度も言ってますが。

 落ちません!

 痛いのはイヤです!

 それに落ちたら、この良い匂いも嗅げなくなっちゃうし。


 あのね。

 ミランダさんって凄く良い匂いがするの。

 大人だからでる香りなのかな?


 あっ!分かった!これきっとフェロモンだっ!

 私は今ハムスターだからフェロモンの匂いが分かるのかも知れない!

 だってね。

 ミランダさんの使ってる入浴剤の香りでもないし。

 香水の類はファーマシストは使わないって言ってたし。

 それなら自身から滲み出る香りって事でしょ?

 フェロモン以外にないと思うの。


 うーん。

 不老薬って凄いね。

 身体の老化を防ぐだけじゃなくて、フェロモンまで若い時と同じ様に出すんだもん。


 もし・・・

 ミランダさんが年齢通りの容姿をしてたら・・・

 間違い無くシワシワでヨロヨロのオババだし

 フェロモンどころか乾物みたいな匂いがしてるはずだもん。


「シズネちゃん・・・凄く失礼な事を今考えてなかったー?」

「・・・違うと思う、事実だから失礼じゃないと思う」

「ふんふん、なら言ってみてくれるー?」

「・・・ごめんなさい!身の危険を感じました。失礼な事だったようです」

「うむー!正直で宜しい~!」

「ははぁー参りましたぁ」

「あはははは、ところでねー、シズネちゃんっ何かを造るのが好きなのねー」

「うん♪私も、こっちに来てから分かったんだけど物造りが好きみたい。上手く出来たら誉めてもらえるしね」


 ・・・いや

 違うな、造るのは小さい頃から好きだったな・・・

 でも・・・


「シズネちゃんって誉めてもらいたいから造るのー?」

「・・・かな」

「シズネちゃんが造る物ってクォリティー高いから誰でも誉めると思うんだよねーそれとさー、使う人の事も考えて造ってるから感謝だってしちゃうよー」


 それは・・・スキルを使ってるからだよ。

 スキルって仕上げがプロがやったと同じにできるんだもん。

 スキル無しで造った物なんて・・・

 誉める気にならないと思うよ。

 だって・・・


「どうしたのー?聞いちゃいけない事だったかなー?」

「そんな事ないよ!そんな事は・・・」


 さっき思った事、全部言ってみようかな?

 事実だし・・・さ。


「うーん・・・それは違うかなー。ほらー、階段とか今造ってる土台とかー、ああしよ-、こうしようってアイデア出して実行する、仕上げでスキルを使って無くても完成度は高いと思うよー」

「でも・・・」

「でもー?」

「私・・・自分で上手に出来たって思った物を誰かに見せても誉められた事ない・・・頑張ったな、って事も言われた事ない」

「それって友達にー?お父さんとかお母さんにもー?」


 ない。

 ああだこうだ言われて、次はもっと上手く造ってみろな。

 そんな事しか言われなかった。

 友達だって、私が器用に造るのを知ってるから何も言わないし。


 だから、部屋を見たノスフラト君が絶句した時はダメな物を造っちゃったかな?

 文句言われるかな?

 って怖かったもん。


「そうだったのー・・・それ、辛いよねー。認めてもらえなかったみたいだもんねー。私も修行中にあったからよっく分かるよー」


 涙が流せたら、きっと泣いてるだろうなぁ。

 初めて認められた気がしちゃったもの。

 お父さんも、お母さんも、優しかったよ。

 でも同時に厳しかった。

 改善点を言えば次はそこを上手くやった。

 そうやって来た私が悪いのかも知れないけど。

 指摘した所を上手くクリアしてるのを見て。

 2人は誉めるより指摘する方が伸びるって思ったのかな?

 1度も褒めてくれなかった。

 小学生の時は、何とか誉めてもらおうって言われた事以上をやって見せに行ったりしてたけど・・・

 全然ダメだったもんなぁ。


 って・・・この人は!


「くぉるぁー握るなって言ってるだろうがぁ!ただでさえ丸いのに更に丸くするなぁ!」

「あはははは握るとねモフモフ感が半端ないのよー。極上なんだよー、究極なんだよー、至高なんだよー」

「なんだその、どっかの新聞社の料理企画みたいな感想は!」

「あははは、あっちの事を言われても私は分かんないってー」


 ぐぬぬぬ・・・

 確かにそうだった。

 全く、食材にされるかと思ったよ。

 食材って言えば、台所と食堂はどこに造ろうかな?

 あとエレベーターも。

 今の部屋の配置を考えると、やっぱり右側がいいかな?


 今はね玄関に入って直ぐ左がノスフラト君の部屋。

 ノスフラト君の部屋の隣にミランダさんアイシャさんの部屋って続いてるの。

 それで、造りかけだった書庫の掘った部分が外壁に対して水平に掘ってたの。

 幅2メートル高さ3メートル位で、そこを廊下にしちゃったの。

 ちょうど良過ぎるからさ。

 書庫はまた最初から作らないといけなくなっちゃったけど頑張るから大丈夫。


 私の部屋はね、最初に作った入って直ぐの右側にあるPS4の箱位のスペースだよ。

 寝る位しかそこに居ないし。

 飾ったりする物もないからそれで良いんだ。

 でも食堂&台所を右側に造るとなると・・・

 私の部屋は潰さないとね。


 そうだ!

 いっそ玄関ももっと大きくしちゃって玄関ホールみたいなのも造っちゃって広い空間にしてみようかな?

 ・・・うん。

 案外良いかも。

 玄関ホールから左が居住エリア、右が食堂なんかの共有エリア。

 あ・・・・

 お風呂とトイレどうしよう?

 ミランダさんはどうしてたんだろう?

 聞くのがいっちゃん早いね。


「トイレとお風呂ー?」

「うん、トイレで出した物ってどうしてたのかな?お風呂の水って外に流しちゃっていいの?」

「トイレはね虫魔族に引き取り依頼してたよ。お風呂の水は流しちゃってた」


 ふむふむ。

 排泄物は引き取る人が居るのか。

 お風呂の水は流しちゃって良いのか。

 そりゃそうか、あっちと違って入浴剤も洗浄剤も自然由来の物だしね。

 環境をおかしくする事は無いはずだからね。


 で、虫魔族・・・か。


「ミランダさんは引っ越すけど引き取りって、これからも来てもらえるの?」

「うんー、来るわよー」

「それなら『断崖荘』にトイレとお風呂を造らなきゃね。トイレは外に作ろうと思うの、雨除けの屋根のある通路みたいなのを造って便座を・・・今3人だから2個で足りるかな?」


 あっ!

 男女別の方がいいかな?


「うんー、それで良いんじゃないかなー」

「あのさ、男女別の方がいいかな?」

「ノスフラト君だけだし大丈夫じゃないー?」


 良いって言うならいいか・・・

 もし人が増えたら増築すればいいか。

 お風呂はね、ちょっと思い付いた事が有るんだ。

 むふふふ。

 イケてると思うんだよねー

 


「ふっふっふっふっ、言質とって来たっす」

「スカージュ・・・ナムナム~」

「ナムナム?ティファ、勝手に殺さないでくれる?」

「いや、ナムナムで合ってるよ」

「え?」

「ん~・・・スカージュちゃんが言質を取るまで黒焦げにされたら、どうする?」

「え?」

「私なら仕返しするなぁ」

「・・・多分、あたしも」

「だから、ナムナム~」

「え?・・・ええーっ!?あたしどうしたら良いっすか!」

「言質の取り下げ?」

「それは嫌っす!活躍したいっす!」

「なら・・・色仕掛けで懐柔?」

「い、色・・・」

「ナムナム~ナムナム~・・・スカージュ?」

「ふ、ふ、ふ、」

「ふ?」

「不潔っす!破廉恥っす!矯正して来ます!」

「・・・行っちゃった・・・」

「スカージュ、やっぱりナムナム?」

「・・・だね」

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