あーれーおよしになってぇ剥かないでぇ〔中編〕
何度も言うけどさ、ハムスターのステータスなんて見るに値しないと思う・・・
つぅか、思うなんてあやふやじゃなくて間違い無く値しない。
断言しちゃう。
とは言え、見ないと納得しないんだろうなぁ。
今から心の準備をしなくっちゃね。
なんのって。
低いステータスを見て凹まないためにだよ。
だから今まで見てこなかったのは知ってるでしょ?
準備しないと確実に凹む自信があるもん。
ふぅ・・・
憂鬱だぁよ。
・・・もっかい見なきゃダメか聞いてみようかな?
あっ・・・
何か2人共凄い待ってる・・・
期待感が私に伝わって来てる・・・
あぅー
泣きそうだよぉ。
はぁ・・・
見ますかね。
ステータスをクリッククリックー
ほら見た事か。
見る価値な・・・ん・・・じゃこりゃー!
何かの間違いだよね。
間違いじゃなければバグだよバグ!
有り得ないでしょー
「あ、あのー・・・何と申しましょうか・・・大変申し上げにくいので、ヒ・ミ・ツ♡って事で・・・あっ・・・ダメ?・・・やっぱり言わないとダメ?」
あぅー
ミランダさんは、笑顔なのに凄みがあって『いいから言いなさい』って目で言ってるし・・・
アイシャさんは、あからさまに睨んだよぉー
「あ、あのさ」
「なぁにー?」
「ステータスとかスキルって秘密にするもんじゃないの?」
「大昔はそうだったけど今は違うぞ」
「人間の方もー公開を義務付けてる国もあるしねー」
「何で?秘密にしとかないと危なくないの?」
「逆だな、皆が知ってれば抑止になるって事だ」
なるほど、個人より集団の保護って事なんかな?
って事は・・・
言わなきゃダメって事かぁ。
・・・そうだっ!
「あ、あのぉー」
「今度はなぁにー?」
うっ・・・
私の往生際の悪さにイラっとしてる?
妙に優しいトーンが怖さを倍増させてるよ。
「先に平均値みたいのを知りたいなぁ、なんて思ったのです」
いや、もしかしたらバグじゃなくて普通かも知れないし、もしかしたら低い可能性だって有るもん。
それに、平均の数値は知って損はないと思うしね。
「平均値か・・・魔族は平民が500位だな。種族によって突き抜けたもんも有るけど、大体そんなもんだな」
「人間の平均値は300位ねー」
「へ、へぇ・・・」
やっばい。
私の数値やっばい。
「戦いを生業にしてる奴等が3000位で、頭一つ抜け出した奴が5000位だな」
「人間の方は兵士が1300位ー、勇者とか英雄って呼ばれる人が5000位ねー」
・・・やっぱり・・・私の数値は何かの間違いよぉー!
有り得ない・・・あってはいけない数値だよぉー!
正直、言いたくない。
はぁ・・・最後に悪あがきしとこう。
「アイシャさん、あの岩を持ち上げれる?」
書庫の方からくり貫いた岩ね。
大体、横3メートル縦2メートル長さ5メートルの直方体になってるの。
「あれ位なら持ち上げれるな」
「じゃ、あっちのは?」
ミランダさんの部屋からくり貫いた岩ね。
書庫のより大体3倍位大きいかな。
「さすがにあれは無理だな、でか過ぎる」
「そう・・・私ね、あれ簡単に持ち上げれるのよね」
「「えっ!?」」
「そんな訳だから最後まで聞いてから感想言ってね」
名前 高坂靜音
種族 ハムスター
生命力 52200/47500
精神力 230/230
体力 18950/17150
筋力 33120/31120
敏捷力 150/150
魔力 12/12
順応力 1270/1270
備考
転生者 熟練者
・・・異常だよね?
誰が見たって異常だよね?
なんなの?
私は自由に散歩が出来る位の強さがあれば良かったのに・・・
ほら。
2人も目を見開いて開いた口が塞がらないで呆けてるよ。
呆れるよね。
ここまで異常だと驚くを超えて呆れるよね。
「アイシャちゃんちょっと来てー!」
「お、おぅ。なんだ?」
「いいからちょっとー」
私に聞こえない辺りまで行ったけど・・・
あはははは。
【振動感知】ってこんな事まで出来るのね。
振動が音になって、声になって聞こえるのよ。
「アイシャちゃん、シズネちゃんが悲しむ様な言い方をしないで欲しいのー」
「それは構わねぇけど、何て言い方をすりゃ良いんだ。あたしには分からないよ」
「私も困ってるけどー・・・酷い言い方だけはしないであげてー・・・シズネちゃんはー、シズネちゃんの目標ってホントにささやかな事なのー、あんなステが無くてもできる事なのよー・・・言いたがらなかったのが聞いてやっと分かったー」
「あたしもだ、言いたくないのは低いからだと思ってたしな」
ミランダさんはやっぱり優しいなぁ。
アイシャさんも思ってたよりもずっと優しいみたいだし。
私なんかの為に気を使ってくれるなんて・・・
嬉しくて泣きそうだよ!
「シズネちゃんー?どうしたのー」
「あ・・・うん、【振動感知】が無かった方が良かったかなって初めて思ってた・・・」
「・・・もしかしてー」
「うん」
「あれまー・・・全部かぁー」
「聞こえてたんなら遠慮なく言わせてもらうな」
「ちょっとだけ遠慮してくれると嬉しいなぁ」
私あんまりメンタルは強くないのよ?
頑張ってネガティブにならない様にしてるだけなんだよ?
「まず、その生命力は何だ?そんな数値は聞いた事ないぞ。体力と筋力も驚きの数値だしよ」
「そうねー、その割に他が低すぎるってのもあるわねー」
誰が見ても聞いてもアンバランスだよね。
多分ね、低い方もハムスターにしては高いと思うのよ。
妥当なのは魔力だけなんじゃないかな?
「騒がしいと思ったら、ミランダ殿とアイシャ殿であったか」
「ノスフラト?何でここに居るんだ?」
「そこが我輩の新たなる住まいなのである。そこに居るシズネ殿に造って貰ったのである」
「はぁ?『拒絶の壁』に家だと?」
「私も部屋を造って貰ってるよー♪」
「マジか?シズネが造ってるのか?」
もしかして・・・『拒絶の壁』に部屋造るのも異常だったのかな?
私ってば、おかしい事ばっかりしてるのかなぁ?
「は、ははははは!そんな事は考えた事も無かったぜ!シズネッ!お前は面白い奴だな!」
「シズネ殿は元から凄い御仁である」
「なんだ?ノスフラトはシズネのステを知ってたのか?」
「ステータス?詳細は知らんのである。しかし、おおよその予想は出来るのである」
「「「えっ?」」」
何で予測出来るの?
ノスフラト君はずっと本を読んでて、私の方は見てなかったと思うんだけどな。
「そうであるな・・・生命力は50000以上、筋力は25000以上、もしかすると30000超えていてもおかしくは無いのである、体力は10000以上であろう、他はあまり高くはないと思うのである」
概ねあってる・・・
まさか!
こっそり監視してたとか?
「なんで分かるんだ?」
「簡単である、生命力はシズネ殿の食料が原因で上がったのである。筋力は穴掘りの結果であるな。体力は・・・シズネ殿、【穴掘り】カンストしたのであろう?」
やっぱりノスフラト君も凄いんだなぁ。
伊達に魔王をやってた訳じゃないんだね。
「ちょっと待て、食い物で生命力が上がるだと?・・・お前はいったい何を食ってるんだ?」
「え?・・・その辺に落ちてる木の実?」
「普通の木の実ではないのである、シズネ殿、まだ残ってるであろう?実物を見せるのが早いのである」
あ、そっか、その方が早いね。
えっと、3番目の小分けスペースに有るから・・・っと。
「これだよ」
「普通の木の実に見えるぞ?」
「ちょっと待ってーアイシャちゃん。これはー・・・ミラクルナッツよー!」
奇跡の実?
なんか大袈裟だなぁ。
その辺にいっぱい落ちてるよ。
「なんだと!ミラクルナッツが飯だと?・・・しかも生をか」
「どう言うわけかシズネ殿は他の実には見向きもせず、そればかりを拾うのである」
ふぇ?
他の実なんて落ちてたかな?
見た事ないと想うけど・・・
「それを怪我してから1ヶ月、ほぼ毎日1~2個は食べていたはずである」
バタンキューした日は1個しか食べてないから100個位かな?
ミランダさんお手製のご飯を食べて、全く食べない日も有ったからもうちょっと少いかも?
「なので50000以上と言う訳である」
「?・・・なんで?意味が分かんないよ、私にも分かる様に言ってもらえると嬉しいんだけどな」
「あのねー、シズネちゃん。ミラクルナッツってのはねー生命力の上限が上がる食べ物なのー。乾燥してる物で最低でも200上がるのよー、生だと最低500は上がる物なのー」
ふぇ?
知らなかったとは言えそんなのを食べてたの?
そりゃ数値がおかしくなるわけだ。
「しかもよー、シズネちゃん。それー、凄い高く売れるのよー。生のまんまなら金貨1枚は確実にするのよー」
ふぇ?
私、まだ50個位は持ってるはずだよ。
しかも、私の【頬袋】は時間経過無効があるから、ずっと生のまま保管できるんだけども。
・・・ミランダさんに何個かあげとこうかな?
再生薬のお礼にさ。
「えっと・・・ミランダさん、これあげる。色んな事のお礼に貰って」
「んー・・・要らないかなー。今は潤ってるし不老薬も作る気無いからねー」
って・・・え?
生のミラクルナッツを使って作るの?
不老薬って。
「またまたところでさ、【穴掘り】カンストすると体力が上がるってどうゆう事なの?」
むむむ!
一番触れてもらいたくない所を・・・いくのかー




