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ハムスター?なんで!?[前半]

 またここに居たのね。

 シズネちゃんお手製の池の畔の四阿あずまやだっけか?

 これで完成って言うんだから変な建物よね。

 屋根はちゃんと有るけど壁が2面しかなくて壁にくっ付いてる木製の長椅子。

 やっぱり未完成にしか思えないのよね。


 でも、ここでお茶を飲みながらノンビリ庭を見てると落ち着くから不思議よね。

 ティファちゃんも落ち着くからここに居るのかな?


「やっほーティファちゃ~ん」

「あ、ミランダさんどうしたの?」

「ティファちゃんがどうしてるかなー?って思ってねー」


 シズネちゃんに頼まれたからね。

 あのシズネちゃんが誰かの事を誰かに頼るなんて初めてだしね。


「私はいつも通りだよ?」


 そうね。

 シズネちゃんが『あいしゃるりたーん』って意味の分からない事を言って居なくなってからずっとここで待ってるのは変わらないね。


「シズネちゃんなら大丈夫よー、きっとー」

「うん、かあさまは『信じろ』って言ったよ、帰って来るよ。でも・・・やっぱり寂しいの」


 あらあら、随分と短時間で懐いたものね。

 シズネちゃんもティファちゃんの事が可愛くて仕方ないみたいだったしね。


 んま!

 相思相愛ってやつ?

 百合ってやつ?

 ・・・

 ・・

 ・

 は、ないな。

 仲の良い親子にしか見えなかったものね。

 ・・・それも違うわね、仲の良い姉妹の方がしっくりくるわね。

 スカージュちゃんも仲が良いから3姉妹って感じかな。

 なーんか羨ましかったんだよね・・・私も加えて欲しかったくらいだからね。

 でもねぇ、若い娘達に混ざるのに気後れしちゃったのよね・・・気持ちは若いつもりで居たんだけどな。


 ・・・私も養子でも迎えようかな?

 迎えるならモフモフ小動物が良いんだけどどっかに居るのかな~?

 アイシャちゃん辺りに相談してみよっかな?


「かあさま、いつ帰って来るかな?」

「さすがにそれは分からないけどー、案外もう戻ってるけど自分が何処に居るのか分からなくてオロオロしてたりねー。シズネちゃん方向音痴だからねー」

「探しに行ってくるよ」

「ちょっと待ってー、探すってどこを探すのー?闇雲に探して世界を拡げちゃったら増々迷っちゃうわよー」


 いまいち理解出来ないんだけど・・・未踏破地帯付近に行くと、その先の世界が作られて無限に広くなる。

 それがダメでアイツが世界を滅ぼしに来たんだものね。

 なんで広くなるのがダメなのかしら?

 広い方が良いと思うんだけどな?


「そっか、かあさま帰って来るの難しくなるなら止めるよ。かあさまを困らせたくないよ」

「『断崖荘』の皆もシズネちゃんの捜索で色々とやってるから直ぐに見つかるわよー」

「・・・うん」

「それにねー、本気になったシズネちゃんは昔っから最強なんだからねー」

「昔から?」

「そうよー、開いた口が塞がらない位の事を当たり前の様にやってきてるからねー。最初に作ったシズネちゃんの巣穴なんて無駄に広くて入り組んでいて迷ったら自分でも出てこれなくなるって言ってたわよー」

「かあさま、最初からここに居たんじゃないの?」

「この森には居たわよー、でも最初の巣穴は別の所よー。聞いた事なかったのー?」

「うん、ずっとここに居ると思ってたよ・・・」

「ならお姉さんがシズネちゃんの昔話をしてあげようかー?」

「うん!聞きたいよ!かあさまの事もっと知りたいよ!」

「それじゃー、長くなるからお茶でも淹れてこよっかー」

「うん、私淹れてくるよ」


 元気になったみたいね。

 心底シズネちゃんの事が好きなのね。

 なんか妬けちゃうわね、私のモフモフシズネちゃんが取られちゃった気分だな。

 ティファちゃんも良い子だから取り返すとかは思わないんだけど・・・

 ちょっと寂しいな~

 ・・・養子、本気で考えようかな?

 モフモフで小動物で可愛いのが良いわね。

 あっ!

 薬剤に興味が有ってくれると尚良いわね。

 ティファちゃんと仲良く出来るってのも重要よね。

 はははは、注文ばっかりだね。


「お待たせ、それじゃ聞かせて、かあさまの話」

「フフ、はいはいー。シズネちゃんはティファちゃんと同じで別の世界から来たのは知ってるわよねー?」

「うん、それは聞いてるよ」

「お姉さんはねシズネちゃんがこの世界に来て2番目に知り合った人なんだよー。1番目はノスフラト君ねー」


 なんか凄い昔な気がするけど、まだ2年も経ってないのよね。

 シズネちゃんと知り合って色々な事があって面白可笑しく濃い日常だったって事なのかなー

 ははは、シズネちゃんに感謝しないとね。

 でも、あの時は想像もつかなかったな。

 知能の高いキュートなモフモフをペットにしたいって位にしか思ってなかったものね。


「話はねシズネちゃんに聞いたこっちに来てからの所から話した方がいいわよねー?最初の巣穴は私達が出会う前に完成してたからねー」


 色んな意味で衝撃的だったな・・・



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「ん、ん~・・・・」


 新しい朝が来た希望の朝だー

 さってと~

 今日も1日頑張りますか!


「・・・あれ?・・・ここ・・・どこ?」


 カーテンを開けようと辺りを見回したのは良いんだけど。

 ここ・・・洞穴みたいなんだけど。

 ・・・なんで?

 もしかして・・・拉致された!?

 私可愛いから、寝ている間に拉致された!?

 可愛いって罪人を生み出すのね。

 ・・・

 ・・

 ・

 ゴメンナサイ、嘘です、特別可愛くありません。

 ただのモブルックスです、拉致なんてされる訳ないです。

 ・・・言ってて悲しくなったぞ、どーしてくれんだ!


 まぁ・・・冗談は箪笥の裏に隠しとくとして。

 マジでここ何処なんだろ?

 それに真っ暗っぽいのに何で見えるんだろう?

 あっちはちょっと明るいけど、出入り口?

 行くしかないよね?

 他に出来る事はなさそうだし。

 え?あれ?歩けない?


「・・・なんじゃこりゃー!」


 わ、私のスラッとしてビューティホーな足が・・・足が・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 またしてもゴメンナサイ。

 スラッともビューティホーでもないです。

 でも、大根じゃなかったからね!

 これは声を大にして宣言したい!

 決しって大根ではない!!

 ましてや、こんな毛むくじゃらの短足などではなかった!

 それに、何で足の間にお腹があるの?

 しかも毛むくじゃら、私こんな剛毛じゃないもん!


 っは!

 手も毛むくじゃら。

 ノー!マイガッ!

 手だけじゃない全身毛むくじゃらじゃないの!

 えっ?

 ・・・か、顔が何か変・・・鼻が突き出てる?・・・耳が頭の上の方にある?・・・やっぱり毛むくじゃらみたいだし・・・ヒゲみたいなのも生えてるみたいだし・・・なんで?

 ・・・

 ・・

 ・

 人・・・じゃないわね。


 完全にイミフだわ。

 洞窟みたいな所に居るのは、100歩どころか1000歩譲ったとしてもだよ。全身が毛むくじゃらってなんだい?

 訳も理由も分からないって!


 あ・・・訳と理由って同じ意味か、こりゃ失敗。

 おりょ?・・・私、意外と冷静だな。

 ならば、冷静なうちに可能性を考えよう。有り得る可能性から、有り得ない可能性までね。

 ・・・

 ・・

 ・

 有り得るのは、って言うか有り得る方じゃないと困る!

 そう、夢だよ!夢っ!夢じゃないと困る!

 だって、何が悲しくて短足の毛むくじゃらボディにならなきゃダメなの?

 誰だって普通にイヤでしょ?

 私のメリハリのあるワガママボディ・・・になる予定のボディを返せっ!

 って思うよね?

 だから夢じゃないと困るの。


 次に有り得ない方だけど・・・

 漫画とか小説である設定だと、なにかの拍子に中身が入れ替わったとか転生したとかかな。


 まず、入れ替わったとしてもだよ。こんな毛むくじゃらボディとお近付きになったのって小学生の頃に飼育委員をやった時くらいだから論外で良いと思う。

 とすると・・・転生ってやつ?

 いやいや、転生なんて現実的に考えて無いでしょう。

 そもそも私は無神論者だし魂の存在すら否定するもん。

 そんな人が転生ってないでしょ?

 それにだよ、転生って死んだり命に関わる怪我とかしたらするもんなんでしょう?

 してないもん。私は命を失ったり、瀕死になったりしたって記憶が無いもん。

 だから転生じゃない!

 でも・・・気が付かないうちに死んでたら転生とかも有り得るのかな?

 いや、でも、そもそも転生なんて・・・うーん

 ・・・

 ・・

 ・

 あぁー!もういいっ!!

 考えても埒が開かない、理由が分かってもどうしようもないし。


 とりあえず夢かどうか古典的な方法で確認をしてみればいいんだよ。

 ・・・痛い、ジンジンする。

 つねってみたのだよ、結構な力を込めて。 そしたらガッツリ痛かった、って事はだよ・・・これは現実なの?


 いや、まだまだ認めちゃダメだ!

 リアルの寝ている私が、夢の中の私と連動してほっぺを抓った可能性だってあるんだし。

 可能性が有る限り諦めたり認めちゃダメだぞ、私。

 冷静になって考えるんだ。



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