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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 1章 プロローグ

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最強の護衛?元魔王に警護されて部屋造り〔前編〕

 よくよく考えたらさ。

 庭で、お茶を飲みながら菓子を摘まむって王族・貴族・富豪のする事なのよね。

 何気に贅沢な事を普通にしてるって事よね。

 しかもこの庭はシズネちゃんが造ったから異世界テイストに仕上がっていて他とは全然違うから、贅沢度合いは更に上を行ってるのかも。


 お茶はシズネちゃんが色んな植物を煎ったり蒸したりして独自に開発したオリジナル茶だし。

 お茶菓子もユグスちゃんお手製の保存の効く物だし。

 この世界のどこに行っても無いんだよ。


 んー・・・

 私が造った訳じゃないけど。

 ここの事を誰かに自慢したい気分ねぇ。

『私の友達はこんな凄いのを造れるのよっ!』

 って。


 でもなぁ。

 シズネちゃんはきっとイヤがるだろうなぁ。

 あの子は本能で好き嫌いを決めてる感じがするのよ。

 妥協して許容したりもするけど、相手を観察した結果で許容するかを決めてるからねぇ・・・

 竜魔王なんかはそうだもんね。


 私の取引相手・・・

 シズネちゃんが好みそうな人はいないかもなぁ。

 許容すらされそうに無いし。

 そんなのを連れて来てシズネちゃんに嫌われるのはイヤだもの。


 あっ!

 ・・・それ以前に、ここに来たがる人が居ないかも。

 シズネちゃんは人間に『魔獣』って呼ばれてるし。

 ティファちゃんは『光の災厄』だったっけか?

 ノスフラト君とアイシャちゃんは魔王だし。

 スカージュちゃんは竜魔王の娘、シュヴァツ君は希少種・・・それ以前にドラゴンの夫婦だしなぁ。

 サイリちゃんは多分世界一長生きしてる人だから肝が据わってるとしても、カイエン君は良くここに居ようって思ったよね。

 変わり者って言うか。

 ある意味勇者だね。


「ミランダさん、かあさまは最初からこんなに沢山の部屋を造るつもりだったのかな?」

「さぁどうだろうー?それは分からないけどー【整形】を覚えてから部屋を造るのが楽しくなったって言ってたなー。ノスフラト君?ここに来たシズネちゃんはどんな感じだったのー?」

「目から炎が出ていたのである」

「へっ?目から?」

「である。そして『とうちゃん!私はやるよ、やってみせるよっ!』と言っていたのだ」

「かあさまは燃えてたんだよ、やる気満々だったんだよ」

「まぁ、最初に着手したのは自分の部屋であったのであるが」


 ぷっ。

 シズネちゃんらしいな。

 そうでなきゃシズネちゃんじゃない、とも言うかもね。


 あーあぁ。

 もっと頻繁に様子見に来るんだったかなー?

 でも、調べとくって約束しちゃってたからなー

 目から炎の出てるシズネちゃん見たかったけど約束を守らない奴って思われるのはイヤだから仕方ないか・・・



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 おはこんばんちはー

 ふ・・・これなら朝昼晩の挨拶を網羅してるでしょう。

 私って天才ね!


 え?

 Dr絶不調のパクリだって?

 さぁ・・・なんの事か私には分からないわね。

 それに、Dr絶不調って40年近く前・・・80年代の作品でしょう?

 その頃に私は生まれてないし、尚更分かんないよ?


 そ・れ・よ・り・も!

 昨日はミランダさんの家にお泊りしたんだけどね。

 こっちに来て初めてお風呂に入ったの!

 気持ち良かったの♪


 ハムスターは乾燥地帯出身だから水が苦手って聞いてたから、お風呂とか水浴びしたら瀕死になっちゃうのかと思ってたけど・・・

 そんな事無かったの。

 いやーホントに気持ち良かったー♪


 そうそう、ミランダさんと一緒に入ったんだけどね・・・

 服を脱ぐと圧巻ね・・・あのスタイルは見惚れちゃうよ?

 おっきいのにぜんぜん垂れてないし。

 肌の張りとか艶とか10代みたいだし。

 ぐへへへへってオヤジ化しそうだったもの。


 でね。

 私だって女の子だからさ。

 どうすれば維持出来るのか聞いたの、そしたら。

 スタイルと肌の維持の秘密は自作の美容薬と入浴剤なんだって。

 500年位前に完成させてからずっと使ってるから全盛期を維持してるって。

 マジですっごいわー

 ファーマシストって偉大だわー


 私も分けて貰いたかったけど・・・

 ハムスターのスタイルって基本的に丸だからね・・・

 維持する意味がないのよ・・・泣けてくる。

 最近、自分で振っておいて泣けてくる事が多くなってる様な気がするんだけど・・・


 ま。まぁ。

 気を取り直して。

 ミランダさんの話の続き続き。

 ミランダさんがね伝説化された出来事ってのも聞いたの。

 もうビックリしたよ、ワーナーアニメみたいに目が飛び出るかと思う物を作ってたんだよ。

 それはね・・・不老薬!

 老化しなくなる薬を完成させたんだって。


 世間は・・・特に金を持ってる連中は騒然となるね、売れって言って来るよね。

 それを断ったら犯罪を犯してでも手に入れようとする奴が出て来てもおかしくないよね。

 実際に強盗は居たんだってよ・・・

 ミランダさんは運良く家に居なかったから無事だったけど、居たらどうなってた事かって笑ってたけど・・・恐い事だよ?


 そんなのがいっぱい居るから『拒絶の壁』の近くに引っ越して来たんだって。

 『拒絶の壁』って『樹海』ってのを超えないと来れないらしいの。

 その『樹海』ってのは精霊の住処らしくて身体ステータスとスキルが高位じゃないと超えるのは難しいそうなの。

 ミランダさんはステータスはそんなでもないって言ってたんだけど自作の薬をあげる事で精霊に悪さをされないで越えて来たんだって。


 何かを突き詰めると凄いんだね。

 それがどこで役に立つか分かんないんだね。

 私も手持ちのスキルを突き詰めてみる!

 どっかで役に立つと信じてね。

 その突き詰めるための現場『拒絶の壁』に着きました。

 ・・・

 ・・

 ・

 で、何これ?

 崖みたいなのを想像してたんだけど。

 ・・・何これ?

 スポコンアニメの如くやってやるって言ったけど・・・


 凸凹も歪みもない絶壁が雲よりも先にまで続いていて、てっぺんが見えない。

 右と左を見れば終わりが有ると思えない位に続いてるし。

 その名の通り壁じゃん!


 『拒絶の壁』・・・登れる人は居ないな。

 手が吸盤になってないと無理だね。

 冗談じゃなくてマジ無理。

 さっきも言ったけど、凹凸無し歪み無しツルッツルの真っ平の多分1枚岩の濃い青色の壁が雲よりも高くそびえてるのよ。

 これを登るなんて正気じゃないし無理ゲーだよ?


「ノスフラト君、これってどんくらい高いの?」

「知らんのである、我輩は飛行スキルを持っておらんので確かめた事が無いのである、しかし伝え聞くに10キロは下らぬだろうと」


 ・・・

 10キロって10000メートル。

 エベレストなんかよりずっと高いって事か。


「横はどんだけ続いてるの?」

「ふむ、ここいらは陸地のくびれに当たる場所なのである、そんなに長くはないのである、ざっと700キロ程で陸地の横断は出来るのである。壁自体は更に100キロ程海に入り込んでいるのである、然らば900キロ程と推測されるのである」


 ・・・言葉がありますぇん。

 想像出来ないレベルでっす。

 あっ!


「壁って事はさ、向こう側もこうなってるの?」

「そうである、これは我輩が自身で見たので間違いないのである」

「んじゃ、向こう側まではどれ位の距離があるの?」

「平均10キロ位である」


 ふむ・・・であるか。

 ってノスフラト君の口癖が移っちゃった、あははは。

 それさておき。

 そんだけの長さが有れば倒れて来たりはしないはず。


 しっかし・・・

 異世界だからってやり過ぎだろ!

 どうなればこんなドデカイ岩が創られるのか想像もつかないんだけど。


 いや、マジで呆れるって。



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