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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 4章 着地点

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変身と変心〔後編〕

 数日前に念願だったアイシャさんの獣化した姿を約束通り見せてもらったんだよ。


 獣化すのに慣れてる人は一瞬らしいんだけど、アイシャさんは獣化した自分の姿が嫌いだから、獣化するのに慣れてなくて徐々に変化してったの。

 徐々にだったけど、2分も掛かってはいなかったと思うよ。

 でね、獣化したアイシャさんを見て固まっちゃったんだよね。


「だから言っただろ、獣化した姿は怖がられるから嫌いだって。・・・なんにもしねぇから逃げるなよ?」

「か・・・か・・・」

「か?」

「格好良い!格好良い!アイシャさん凄い格好良いよ!すげーすげー!」

「えっ?・・・怖くないのか?」


 怖い?

 んー・・・ぜんぜん知らない人だったら怖いかな。

 でも。


「アイシャさんでしょ?アイシャさんは怖くないよ」

「いや、あたしだけど見た目が違うだろ?」

「違くてもアイシャさんだよ?だから怖くないよ」

「・・・そうか」

「それよりもっ!少しの間じっとしててね♪」

「良いけど、なにすんだ?」

「もちろんフィギュアを作る♪」


 こんな格好良いのはモデルを前にして作らないと後悔する。

 そんな後悔はしたくないから、今すぐ作るのだ。


「裸にする?」

「それは、や・め・ろ!」

「あはははは、冗談だよ♪」


 お風呂でね、何度も見てるから作ろうと思えば作れるんだよ。

 ミランダさんとスカージュちゃんのもね。

 んま、絶対に怒られちゃうから作らないけどね。


 さて、冗談は瓶に詰めて海に投げ込むとして、だ。

 ちゃっちゃと作りますかね。 材料はもちろん『拒絶の壁』そして道具は『アオヒカネ』の工作セットだ。


 準備はできた。

 次はポーズだけど・・・うーん・・・変にポーズを付けると覆面レスラーみたいになっちゃいそうなんだよね。

 直立で片腕の肘を曲げるくらいでいいかな。


「んじゃさ背筋を伸ばして斯く斯く然々で」

「分かった」


 おぉっ!

 やっぱり肘を曲げるだけで十分格好良い!


 獣化したアイシャさんってさ縞の無い虎みたいな感じなんだけど、虎程のボリュームはないの。

 そんでね、長牙長爪だから牙と爪が長いの。

 牙は犬歯のみが長くて30センチ位かな。

 爪は人差し指・中指・薬指がこれまた30センチ位で親指と小指は10センチ位で短くなってるの。

 よーく見ると足の爪の10センチ位の長さに伸びてるの。

 足の爪は長いと走り難くないのかな?

 ・・・まぁ・・・いっか。

 牙と爪はそんな感じなの。

 あとはね、全身に髪の毛と同じ色の毛が生えて、私と同じ毛むくじゃらボディになってるんだ。

 仲間だ仲間♪なんかちょっと嬉しかったよ。

 あっ!


「むふふ、やっぱり耳は丸くて可愛いんだねー♪」

「うっさい!可愛い言うな!まったくいつまで言うつもりなんだよ」

「うーん・・・可愛くなくなるまで?」

「そんな日は来るのか?」

「たぶん・・・来ないかな♪」

「あたしが慣れろって事か・・・」

「あはははは、ごめんねーこれでも他の可愛い所は言わない様にしてるんだよ」

「なにっ!まだあるのか?・・・因みにどこなんだ?」

「八重歯♪笑った時とかに見えると可愛いなぁって」

「歯か・・・歯ならシズネの前歯だって可愛いじゃないか」

「わ、私のは只の出っ歯だよ、可愛いには程遠いって。・・・よっし!出来たよ♪」

「どれどれ?・・・これがあたしか?」

「そだよ♪上手に出来たと思うんだけど・・・ダメかな?」


 すっごいドキドキタイムだよ、できたてホヤホヤを本人に見せるなんてのは心臓が肥大化爆発しそうなくらいに鼓動してるもん。


「なんか・・・」


 ダメなの?

 何がダメなんだろう・・・


「あたしとは思えないくらいに格好良いな♪」

「でしょ!格好良いよね♪・・・良かった~・・・」

「他の奴等はな、威厳とか威圧感とか尊厳とか言ってたんだよな。だから獣化あたしは怖い見た目なんだと思ってたよ」

「なにそれ?獣化したアイシャさんに格好良い以外の誉め言葉は要らないと思うよ」

「あはははは、確かにそれだけなら獣化するのが嫌にはなってなかったかもな」


 要するに・・・アイシャさんって取り巻き連中のせいで色々と台無しになってきてたのか。

 やっぱり力なんてものは持ったらダメだね、本当が分からなくなりそうだもん。

 私は力とは極力無縁の生活をしようっと。





 ってな事があってアイシャさんの獣化フィギュアは完成した訳なんだよ。

 そのフィギュアをユグスちゃんとフェルム君がマジマジと見てるんだけど・・・そろそろなんか言って。

 感想がないと不安なんだけど。


「あ、あの・・・どうかな?上手く出来てると思う?」

「妾は獣化したアイシャを見た事がないのです。しかし、妾の能力解放した時の物の再現度をかんがみるに、此方も再現度は高いと見て間違いないのでしょう。素晴らしい出来です」


 やったー♪

 ユグスちゃんは誉めてくれた、誉められるとやっぱり嬉しい♪


「これが・・・アイシャ様の獣化した姿ですか・・・威厳と尊厳に溢れてます」


 ・・・こいつ、アイシャさんをダメにするタイプの奴だ。

 ダメ出ししてやろうかな?


「シズネさんはアイシャ様とどういった関係なんですか?」

「ん?友達だけど?」

「お願いします!アイシャ様の居場所を教えて下さい!」


 ・・・教えたくないな。

 フェルム君は本心から言うのか、そう聞いていたから言うのかは分からないけど、アイシャさんが獣化するのがイヤになってしまった台詞を吐くからなぁ。

 理由を聞いてみて決めるんでいいかな。


「なんで?あなたに教えるのはダメって思うんだよね。教えたら前のアイシャさんに戻っちゃいそうな気がするの」


 何が変わったって聞かれると困るんだけど、今のアイシャさんはちょっとした事でも笑ってくれるし、雑貨屋のおっちゃんにも私達と同じ様に接する様になったし、可愛いって言ってもイヤがるだけで怒らなくなったし、絶対に何かしらが変わってるか、変わりつつあるんだと思う。


 だから、今はまだ以前のアイシャさんに戻る要因を近付けちゃダメなの。


「相談しないといけない事と、撤回して欲しい事があるんです。アイシャ様はどこにいるんですか?」


 相談?撤回?

 ・・・んー・・・

 もしかして、フェルム君がそうなのかな?


「フェルム君、君は魔王だね?」

「えっ?フェルム君魔王なの?」

「なんで・・・分かったんですか?」

「ここの生徒に譲位したって聞いてたからね。だとしたら教えらんないな。私がアイシャさんに怒られちゃう」


 怒ったアイシャさん・・・こえーっ!

 たぶんだよ、獣化するのが前よりもイヤじゃなくなったみたいだから、私が逃げまくっていたら獣化してでも捕まえに来そうな予感・・・

 ステータスも大幅に上がるって言ってたから、捕まるのは必至だろうなぁ。

 怒れるアイシャさんに捕まったら・・・どうなっちゃうんだろ?

 デコピンくらいで済むのかな?

 獣化してのデコピンって爪で切れちゃったりするのかなぁ?

 なんにせよ碌な予感がしないよ。


「そこを曲げてお願いします!僕じゃ学校改善の事を決定しても良いのか判断出来ないんです」

「・・・やだ、でも私を捕まえる事ができたら教えてあげる」

「「「えっ?」」」

「だから、私を捕まえる事ができたら教えてあげるって」

「そんな事で教えてくれるんですか?」

「うん。ユグスちゃんユグスちゃん、竜魔王と話し中に済まないんだけど、本気で逃げても良いかな?」

「・・・本気で・・・それは逃げるだけなのですか?」

「万一捕まったらスキルを使う」

「・・・貴女が自腹で再生薬を使うなら構いません。それと、建物や樹木を壊さないようにして下さい」

「サーイエッサー!」


 よっし!

 学園長の許可も貰ったし、再生薬ならミランダさんに何個か貰ってるから、本気で逃げよう。


 本気で逃げて捕まって教えたってんならアイシャさんも怒らないはずだよね?


「フェルム君・・・生きて帰ってくるんだよ」

「本気のシズネさんは・・・いや、何も言うまい。自分で確かめてみれば直ぐに分かる」

「お二人共何を言っているんですか?捕まえるだけですよね?喧嘩じゃないんだから大丈夫ですよ」

「いやいやいやいや。捕まりそうになったらスキルを使うって言ってたじゃない。そこが危険なんだよ」

「そこは大丈夫だろう。フェルムじゃシズネさんに近付くのも無理じゃないか?」

「あぁ・・・かもねー」

「そんなに凄いんですか?」

「・・・が、がんばっ!」


 なんか色々と吹き込んでるけど、ただの鬼ごっこなんだから心配ないって。

 さてと、ルールを決めようかね。


「さてフェルム君ルールなんだけどね、私を捕まえて10数えたらフェルム君の勝ち。あとフェルム君はスキルと魔法は使い放題でオッケー、でも私を狙って使うのはダメだよ?死んじゃうでしょ?」


「シズネさんは、それくらいじゃ死なないっす」ボソッ


「さっき私もスキルを使うって言ったけど、怪我しちゃうかも知れないスキルは使わないからね」


「怪我じゃ済まないっす、死ぬっす」ボソッ


「それとこの勝負は期限を作らない、今日がダメでも明日明後日でも私を見掛けたら捕まえようとするのもオッケー」


「当たり前っす、助っ人を100人位付けたっていいっす」ボソッ


「そこ!さっきからボソボソうるちゃいぞ!カラタケを口に突っ込んでやろうか!」


 まったく・・・文句ばっかり言って、やるのはスカージュちゃんじゃないんだから黙ってて欲しいな。


「最後に、私7歳だから手加減してね♪」

「「「えっ?」」」


 3人同時?

 なんで!

 年下なんだから手加減して欲しいって要望だしたって良いじゃないの。

 それにさ、フェルム君ってアイシャさんが指名して魔王になった人だよ。

 きっと凄い実力者なんだよ。

 手加減してもらはないとダメなんじゃないの?


「手加減する側が可笑しい事を言ってるよ?」

「そうだな。普通の7歳なら当たり前の台詞だけど・・・シズネさんが言うのはな」

「だよね・・・・・・


 失敬な事を言われてるな。

 私は普通だっ!

 いや、ハムスターだから、ちっちゃいから普通以下だっ!

 それをなんだい。

 化け物みたいに言うなよな。


「7歳なんですか?僕よりも5つも下?」

「そだよ?ピッチピチの7歳だよ♡」


 ちょっとだけプリティーアピールしてみたよ。

 でも外野の2人が・・・


「フェルム君、シズネさんの年齢は考えない方が良いよ!」

「その通りだぞ。シズネさん程、底の見えない人はいないからな」

「フェルム君も見たでしょ、学園長が能力解放して下がった気温の中で平然してたのを」

「シズネさんを見た目と年齢で侮ると痛い目を必ず見る羽目になるからな」

「おまいら・・・好き放題言ってくれるじゃないか!今晩から1週間カラタケ尽くしのご飯しか出さない!」


 ふんっだ!

 さっきからフェルム君の肩ばっかり持っちゃってさ、私の味方はしてくれないんだもん。

 いくら私だって拗ねちゃうってもんだよ。


「それだけは勘弁して欲しいっす!」

「1週間カラタケだけってのはさずがに・・・」

「ダメ!無い事ばっかり吹き込んでるんだもん!・・・私なんて強くもなんともないのに」


 強いのはキレた時に入れ替わる私だもん。

 あれがホントに私なのかは疑問なんだよね。

 別の人格かなんかなのか、全くの別人なのか、どっちの可能性も低くはないと思うの。

 だってさ、私の頭の中には脳内がいるもん。

 キレた時、あいつに身体の主導権を取られてるんじゃないのは感覚で分かるんだけどね。

 あれが私なのかって聞かれると自信を持って頷けないの。


 でもね、イヤな感じとかはしないから悪性のなんかじゃ無いはずなんだ。

 むしろ・・・私の事を心底分かっていて、私自身が実行したくても怖くてできない事を代わりにやってくれてる感じなの。

 だから匙加減も分かっていてラグ無しで主導権を返してくれてるの。


 あれがなんなのか理解しないとダメだとは思うんだけど・・・分かったが最後、とんでもない事が待ってる気がするんだよ。

 だって、もう一人の私は私が戸惑う事を恐れも躊躇も無く実行するんだよ?

 もしそれを理解しちゃって、もう一人の私と私が融合しちゃったら・・・私は私じゃ居られなくなりそう。

 

 気に入らない事があれば感情の赴くままに暴力を奮ったり相手を傷付ける暴言を吐いたり・・・それはイヤだもん。

 これって関係に上下を作り出す事に他ならないんだよ、私は上下って嫌いだ、上も下もどっちの立場も嫌いだ。

 詰まらないもん。

 誰かに常に気を使って顔色を窺ってたり。

 相手の気持ちなんて無視して傍若無人に振る舞って傷付けたり。

 どっちもイヤだもん。

 ぜんぜん楽しくないよ。

 楽しくない人生なんて死んでるのと同じだと思ってるもん。


 だから、もう一人の私を出さなくて済む様にしなくちゃいけないの。

 ホントに譲れない事以外は許容できる様にデッカイ心の持ち主になるの。

 なれるかどうかは不安でいっぱいだけど、将来なりたい自分って目標としては最高だと思うんだ。



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