女冒険者は罠に嵌まり、スライムに変えられる。
今回は(も?)短いです。
異形病、獣化病が大流行している今、全ての人間は2つに分かれた。
一つは絆、友情を信じて助け合う人間達。
もう一つは自分達以外の人間から略奪し、生き残ろうとする人間達。
このどちらかで生き残りやすかったのが、後者だ。
「くっ、きりがないッ!」
薄暗い洞窟の中、片手の松明を振るう女冒険者はそう吐いた。目の前には大量の動く粘液――スライムが立ち塞がり、中には人の形をしているのがある。
彼女がいるのは異形がいないとされている避難先の洞窟であり、女冒険者も物資を求めて訪れていた。しかし、既に異形に襲われていて、殺された人間が変化した怪物の巣に変わっていたのだ。
物資を諦めた女冒険者は松明を武器に洞窟の脱出を試みたが、スライム達に先回りされてしまっていた。それでも生きることを諦めずに松明を構えて突進した。
しかし、足を固定されてしまい止まってしまう。見下ろすと、踏んている水溜まりから出ている紐状のスライムが女冒険者の足に巻き付いていた。スライムが水溜りに擬態していたのだ。
「は、放してッ!」
女冒険者は大声を上げながら逃げ出そうとするが、拘束を解けられなかった。その隙を突かれてしまい、一体のスライムが彼女に突進してきた。その衝撃で松明を手放し、倒れ込んだ女冒険者の全身はスライムの溜まりに浸ってしまった。こうなってしまえば、手遅れだ。
女冒険者の顔にスライムの一部が伸びて覆った。鼻と口を塞がれ息苦しさの余りに暴れ出そうとするも、四肢がスライムに埋まって動けられない。女冒険者の身体がスライムに覆われていき、完全に飲み込まれてしまった。
スライムの外からくっきりと女体の形が分かる女冒険者は少し動いていたが、溶かされているのか徐々に形が崩れていく。同時に彼女が装備していた鎧、衣類、下着が次々とスライムの外に排出されていく。潔白のショーツが出た時は女冒険者の体は完全に溶け切っていた。
残されたのは装備品と彼女を飲み込んだスライムの水溜りのみだ。
確かに女冒険者は死んでしまった、“人”としての女冒険者は……
突然、スライムの溜まりから腕が飛び出した。スライムのように粘液で出来ていて、人の形だが崩れかけている。もう片方の腕も飛び出して近くの地面を掴み、なんとか這いずって水溜まりから全身を脱出させる。
顔と上半身には女冒険者の特徴が残されていた。しかし、下半身は保てずに液状になっており、両腕もヒレの形になっていた。
女冒険者はスライムに変えられてしまった。