8話 【作業厨】の正夢
「校内に魔獣が多数出現!速やかに避難してください!」
え?なに野獣?
どうやらこの学校危機みたいっす。
「リック・グレーティア、早く避難しなさい」
先生が言う。だがな……
「俺、野獣倒しに行ってきます!」
「魔獣です」
そんなことで引き下がる俺ではないのだ。
これも異世界テンプレ。とりま侵入者来たら殺っとくってヤツ。
「リック君、危ないです!私達と早く逃げましょう」
「俺に構わず行くんだ、マリーちゃん!」
決してマリーちゃんにカッコイイところ見せたかったとかそんなことではない。
だ、断じてないぞ。
「リック、こんな時にまたカッコつk……」
冷やかすためだけにここに残ったカイル。
頭を冷やしてやった(物理)
カイルは俺の転移魔法で他のやつと合流させておいた。
あれ?俺カイルだけ凍らせたつもりが学校全体凍らせてた。
黙らせようとして思わす……テヘペロっ
俺は校内にいるとかいう魔獣を倒しに行った。
結論。
一匹残らず凍死していた。
なんということでしょう。あれほど魔獣が蔓延っていた校内がスケートリンクに。
(例のBGMが脳内再生されている)
すると、奥から誰かが歩いてきた。それは美女……ではなくおっさん。
「なかなかやるな、少年。炎の魔王である我の使い魔を凍らせるだなんて」
あ、こいつ見たことある。どこだっけなぁ。
「さぁ、決闘だ少年よ!」
唐突の宣戦布告とか。
そういえば夢に出てきた校長も喧嘩っ早かったっけ。
ん?夢……?
「あっ!エンデバーとかいうヤツだ!」
「なぜ、我の名前を?流石シド様の見込んだ少年。いざ勝負!」
そう言ってエンデバーはこちらに向けて火炎放射してきた。
何が流石だし。夢のときも思ってたけど、シド様って誰だし。
飛んできた火の玉をサッと右に躱す。後ろで凍っていたテーブルが燃えて灰になる。
あ、ヤバイやつだ。これ。
どうしようか。確実に倒せる方法……
あった。
俺はすぐに転移魔法を準備。例の15階建てマンションの裏にこっそり建築した城を学校の上に転移させた。
そして俺は、大きな声で叫んだ。
「バ○ス!」
よし言えたぁ!これをやるためだけに前から準備してたんだよねぇ。
ちなみに城の名前は羅PYU太だ。
「う、うおぁお。なぜ城が、流石シド様の…… 今回は我の負けだ、次は勝つ!」
そう言い残して消えた。
恐らくだが、転移でも使ったのだろう。
バキッ、バキバキっ!
あ。その後のこと考えて無かった。
城はどんどん落ちて行く。そして校舎が、潰れた。
〜〜〜〜〜〜
ここは元・校長室。
「リック・グレーティア。お前を一週間の停学処分とする」
つい楽しくなってやった。今は反省している。
「あと、校舎の改築よろしく頼むぞ」
あぁ。これは正夢だったのか。
校舎を壊したのは俺だけども。
「やるに決まってるじゃないですか!作業厨舐めんじゃねぇぞ!」
「反省してないのか?」
「すみません」
この日、俺は丸一日かけて校舎を完成させた。
(内装はほぼないそうです)
〜〜〜〜〜〜
「な、なにこれ!?これリックが作ったのか?」
「あ、あぁそうだよ」
俺が作り直した校舎を説明しよう。
校舎は5号棟まである。
1号棟は事務室&職員室。3階建て。
ちょっと小さいかなとも思ったがとりあえずはこれで。
2〜4号棟は教室。5階建て。
それぞれ3学年で一つの棟を使う感じ。とは行ってもうちの学校は人学年40人ほどしかいないため、まぁ広い。
内側は中央を吹き抜けにして、光が入る感じ。各階にはテーブルや椅子を設置できるようなスペースを完備。優雅なおしゃべりタイムでも。
これも、マリーちゃんと話したいなんていう下心から作った、訳ではないのでご安心を。
5号棟は部活棟。5階建て。とりあえず部室を作った。
内装はないそうです。
ちなみに、全ての棟を3階の渡り廊下でつなげた。雨の日でも安心だね。
マリーちゃんが濡れなくて済む。でも濡れてスケスケに……
いや、何にも考えていない。
そんな俺の汚れた思想を知ってか知らずか、校長先生が歩いてきた。
ご、ご来光……(頭が)
なんと神々しいのでしょう。心が洗われ……ねぇよ!
「リック・グレーティア。これ、内装も頼めるか?」
「わかりました。作業厨の意地、見せてやりますよ!」
「いや、そんなに頑張らなくても……」
マリーちゃんとのハッピーな学園生活のため、ゲフン。みんなの学校生活のために今日も俺は作業に勤しむのであった。