4話 【作業厨】と入学試験
父さんが強すぎた件について。
戦闘力、じゃなかった。《魔力》53万ってやばいな。
7倍近く差が開いてる。これはもう……
特訓ですな!
ズドーンっ!ガラガラガラ!ガシャン!
「何してるんだ!」
「え?今、一昨日造った建物を壊してるところだけど?」
「勿体無いじゃないか!」
「訓練だから!」
「リックが良いなら邪魔はしないが……」
こうして、俺はビルを壊し続けて3000里……じゃなくて3年経った。
俺は6歳になった。
「リックももうすぐ7歳か。この3年間、いろいろあったな」
「そうね、うちの私有地全部消し飛ばしちゃうし、その後に前住んでた家以上の豪邸建てちゃうし、他にも……」
「そんな大したことしてないって!」
「「いや、してるから!」」
俺はただ、山消し飛ばして家建てて、夜中にこっそり市場を使いやすく作り替えて、ついでに堀抜いたら温泉湧いたから温泉宿作っただけ何だけどな。
「リック、お前も7歳になる。学校に行く時期になるのだが……」
そう言って一枚の紙を差し出してきた。
『王立魔法学校受験票』と書かれていた。
「なに……これ?」
「受験票。王立魔法学校は4000人の受験者の中で40人程度しか合格出来ない超難関学校だ。でもリック、お前なら行けるだろ?」
「魔法学校!?ワックワクもんだぁ……ゲフン、ワクワクするよ!」
あ、つい言ってしまった。
テレビ夕日に消される……
「ワクワクもん?まぁ何でも良いが、試験は明日だ」
「今、『試験は明日』って言いました!?ゲフン、言った?」
またしてもやってしまった……
次やったらマジで消されるぅ……
「明日は試験に行く。魔力の温存のために転移魔法で向かう」
父さん、転移魔法使えるのかよ!じゃあレコーズとかいうのに乗る必要無かったじゃん!
まぁ今じゃ、人並みには乗れるけどね。
「リック、明日に備えて早く寝ろ!」
〜〜〜〜〜〜
試験当日、俺と父さんは転移魔法で学校へ向かった。
「リック、ここで一度お別れだ。試験頑張ってこい!」
「うん、父さん!」
俺は受験票に書かれた会場へと歩いた。父さんは少しさみしそうな表情を浮かべていた。
会場に入ると、そこはだだっ広い敷地。
まるで魔法を使うことを前提に指定されたようだった。
そんな場所に俺一人。
突然、会場に声が響き渡った。
「只今を持って、第77期王立魔法学校入学試験を開始する。ルールは簡単、眼の前にいるゴーレムを5分以内に倒すことだ」
合図と同時にゴーレムが現れた。それも父さんの身長と同じくらいの大きさ。
これは……
「ちっさっ!」
そう、自分で造り出したマンションを何度と無く壊してきた俺には小さいとしか思えない。
「あ、これって詠唱とかしないと駄目なやつか?よし、ファイアボール!」
次の瞬間、ゴーレムは跡形もなく消え去っていた。
「せめてこれぐらいのサイズのゴーレムを作らないと」
そう言って俺は100m程ののゴーレムモドキを作ってやった。
もちろん、モドキだから動かない。
ゴーレムを動かす魔法なんて知らないしな。
完璧な自己満足だ。
「うーむ。まだ迫力が足りない」
次に出来たモドキはさっきの二倍の200m程度。
大きさは良いんだけど、なんかしっくりこない。
滑らかさか?それともツヤやかさか?
そんなことを考えて行動しているうちに試験は終わった。
〜〜〜〜〜〜
「出来はどうだったか?」
転移魔法を使おうとした父さんに聞かれた。
「納得いかない出来だったんだよ……」
「そうか……」
今朝から父さんが変だ。
いつもの単純さがない。おかしい。
あーもうこうなったら。
「なにかあった?」
直球ストレートだ!
当たって砕けろ!いや、砕けないし。
自分でも何が何だか分からない。
父さんは、少し間をおいたあと「なんでもないよ」とだけしか言わなかった。
〜〜〜〜〜〜
翌日、試験の結果が届いた。
この世界ではFAXのような機械から手紙が届く。
この機会も『国民的な』通信ツールらしい。
逆に送ることもできるとか。
「試験結果は……合格。やったよ、父さん、母さん!」
「そうか……おめでとう」
「リックと別れなければいけないなんて私嫌よ!」
「これもリックの将来のためだ。全寮制の国立魔法大学を受けさせたのもそのためだろ!」
「……そうね」
母さんは静かに言った。
と言うか全寮制だとか聞いてないんですが。
これじゃあロクに砂遊び(と言う名の破壊活動)が出来ないじゃないか!
……それに父さんと母さんと離れたくない。
本当の親でもないのにおかしいよな。でも……
「俺、魔法学校行くよ!」
テレビ夕日は略して『テレゆう』です。
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