2話 【作業厨】とマンション建築
3歳になった。
そうそう、1歳の誕生日プレゼントはブレスレット、2歳の誕生日もブレスレットだった。
さすがに3歳もブレスレットは……と思ったので、家の庭の半分をもらった。ちなみに庭は結構広くて、学校の校庭くらいある。
基本的には自由にしていいとのことだ。
俺は父さんと母さんから魔法を教えてもらった。
父さんは強化魔法、母さんは結界や浄化魔法が得意らしい。
今俺が使えるのはこんな感じ。
・火属性魔法
俗に言う『ファイアボール』だ。正直今のところ使い道、ないな。
・水属性魔法
こちらも同様『クリエイト・ウォーター』のこと。これはいろんなところに使えそうだ。水の楽園とか、水の楽園とか、水の楽園とか。
・雷属性魔法
使い道、なし。イラネ。
・土属性魔法
使い道ありあり!これが欲しかった。これで作業が捗るはず!
・風属性魔法
十分有能なんだ。作業が捗るハズなんだ。だが、土の万能さには勝てんよ。
・氷属性魔法
見た目の美しい建物を作るには最適かな。そんな大がかりなことはできなさそうかな。
・結界魔法
まんまバリア。某ゲームの堕天の王の能力のように耐久力があるらしい。
・浄化魔法
アンデッドを浄化するありがちなやつ。ごめん母さん、正直使わないと思う。
・強化魔法
あざっ~す!移動速度上昇が作業の効率化に貢献してくれるだろう。マジ感謝。
っといったところ。
で、早速俺は魔法を使って建築物を作り……ました。(ました工法)
「リック、なんだ、これ……父さんたちこんなこと教えたか?」
「自由にして良いっていうから作ったんだけど、ダメだった?土属性魔法で作った家なんだけど」
「いや、そうじゃなくて。なんだ?15階の建物なんて聞いたことも見たこともない!」
そう、俺が作ったのは土魔法で作った家、それも15階建てのマンションである。
1~3階は店舗が入れるようなスペース、それより上は居住スペース。という設定で作った。
ちなみにこの形を維持するために、結界魔法を何重かにしてコーティングしている。
作業に使えなさそう、とか思っててごめんなさい。
うん。まぁ、初めての建築作業にしては上出来かな。
ただ、作るのにまる1日かかったのがちょっとな。
「ちょっとルーシー、来てくれ」
「なに?まるでまたリックが何か……えっ?」
「どう?母さんから教えてもらった結界魔法を使ってみたんだけど?」
どうだ…… 秘技、テンプレ『成長すると父さん、母さん呼び』だ!違和感、ないです。だろ!
「こんな結界魔法の使い方見たことない!さすが私の息子!ぎゅ~っとしてあげましょう」
母さんは、変わらない。この三年間、ずっとこの調子。絶対ブレない。
「だから、苦しいってば!」
「あら、でも……」
「だーかーらー!苦しいって!」
「父さんの魔法は使わなかったのか……」
「そんなことないよ父さん。移動速度上昇がすごく役立ったんだよ?」
「おう、そうか!リックの役に立ったか!それは良かった」
父さんは単純だ。扱いやすいというかなんというか。これでいいのか?
「ところでなんだけどさ。僕、生まれてから一度も父さんと母さん以外の人のこと見たことないけどどうして?」
そう、ずっと疑問だったのだ。だが、敢えて言わなかった。
何故かって?それは……
この世界に『環境アセスメント』という概念があったときに言い逃れするためだ!
作業をしたい俺の身としては、そういうのがあっては困る。
だが、15階建てのマンションを造ってしまった身としては近隣の人に、
「日照権の侵害だ!」
などと訴えられるのが怖いのだ。面倒事は嫌だしな。
「あー、リックは知らなかったのか。この山一帯、父さんと母さんの私有地だから」
「は……?」
「でも一応麓には小さな町があるのよ」
「そういうことじゃなくて。って父さんと母さんって何者?」
「ただの地方領主と」「その妻です」
衝撃の事実。父さん領主でした。
父さん、仕事何してるのかと思っていたがそういうことか。
そういえば、仕事行くとき、やけにキッチリした服で出掛けてると思ったら領主ね、領主。
え?こんな単純な人に領主務まるのかよ。
「ねぇ父さん、今度町に連れて行ってよ」
「あぁ、構わないが」
「やった!父さんありがとう!」
「そんなに喜ぶか!よし!父さんいろんな場所に連れてってやるぞ」
町に行けばきっと作業を効率化するための物やら、新しい作業のアイデアがあるはずだ。
俺と父さんは次の日、朝一番で町へ向かった。