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世間知らずに異世界暮らし  作者: 緋和皐月
第1章 始まり
6/48

「ここが魔法練習場なの? 凄く広いねぇ!」


 そう言いながら、瞳をキラキラと輝かせる壱之助の隣で、アスネリは苦笑した。


「どこの魔法ォ練習場もォ、このくらいの広さァはあるヨ?」


 ここは、国立第五魔法練習場。

 どうやらこのメテレル国には、国立魔法練習場が5つもあるらしい。


 この国の人々が崇める、五鬼神(ラティマ)教。

 この五鬼神にあやかり、第五魔法練習場まであるのだという。


 ちなみにこの魔法練習場は、国で5つあるうち、一番都会寄りなので、通う者もたくさんいるらしい。

 周りを見渡せば、大柄な厳つい男も、華奢な女性も、小さな子どもさえが魔法らしきものを使って、何かを浮かせたり、叩きつけたり、ぶん投げたり、縮めたり、と様々なことをしていた。


「よ〜し、僕も練習する! 何すればいい?」

「そォこからかィ?」


 魔法を使うには、生命力(ミクト)が必要である、というのは、先程アスネリに教えてもらったばかりである。

 が、具体的にどうすれば良いのか、異世界に来たばかりの壱之助に、分かるはずが無かった。


「お前サンの魔法、 “再生の石盤(エピタフ・コメット)” 、“隕石爆発(メテオブレイク)” 。この2つの名称のどちらかを言葉にしながら、その上に生命力(ミクト)を乗せるのサ」

「つまり……」


 壱之助は、神妙な顔になって、アスネリを見る。


「つまり……どゆこと?」

「……分かってなかったのかィ」


 呆れたようにアスネリは笑った。


「つまァり。腹に力を込めて “再生の石盤(エピタフ・コメット)” ! って言やァ、魔法ォが使えるのサ」

「それだけ?!」

「そりャそうサ」


 頷くアスネリに、壱之助は少し拍子抜けた。

 魔法魔法というからには、もっとこう、技術的にも難しいものだと思っていたのだが、意外とそうでも無いらしい。


「あァでも、たァだ叫ぶだけじゃァ、上手くはァならないヨ?」

「へ?」

「集中しなァがら、腹に力を込めて、的にィ当てる。これがどれだけ難しィのかァ、身をォ以て味わいなァ」


 アスネリは楽しげに、その赤い唇をにやりと歪めた。



 *✳︎*✳︎*✳︎



「ひゅぉう?!」

「まだァまだ、当たってェないよォ」

「ぅぇええ?! まだ?!」


 壱之助は、ただひたすらに、“隕石爆発(メテオブレイク)” を練習していた。


 小さな隕石を作り出し、爆発させる。

 これを狭い的に当てて、そこの的だけ吹き飛ばす。

 要するに、射撃や弓道などと似た感じである。

 射撃は兎も角、弓道は何度か経験のある上、アマチュア並みにはうまいのだが壱之助であるが、これがまた、簡単なようで案外難しいのであった。


 ちなみに “再生の石盤(エピタフ・コメット)” は、消えかけた何かを蘇らせる魔法である為、練習対象物が無い。だから、練習が出来ないのであった。


 そして、


「む、難し……!」

「ほらァほら、手ェが止まってェる。早くしなきゃァ、日も暮れるよォ?」


 紅髪美人アスネリは、どうやらスパルタ教師タイプのようだった。


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