表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Unknown  作者: きい
1/9

プロローグ

燃えていた。

町が、家が、人が。


レンガ造りの歴史ある町並みは跡形も無く、鼻を刺す臭いと眩む炎にそれらを直視する事すら適わない。

けれど、きっと目を背けてはいけない。

最後の別れなのだから。


涙は熱で乾き、酸素を求めた喉からは干からびた音しか出ない。


どうしてこうなってしまったのだろう。

何を間違ってしまったのだろうか。


バタン、と倒れた柱の裏には、妹が大好きだった歌の詩が彫ってあった。

ああ、あそこが僕たちの部屋だったのだ、と遅れて気づく。

もう、間に合わない。

この炎の中、生きてはいないだろう。


掠れた声で、歌う。

妹が好きだったこの歌を鎮魂歌に。


そして、僕は死ぬのだ。


気付いたら、周りはもう火の海で。

幾重にも倒れた家屋に塞がれ、退路は無い。



しばらく経って、掠れた歌は聞こえなくなった。

少年の頬に、涙は無かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ