君に祝福を
小さな小さな君は、空を眺めていた。
来る日も。来る日も。
僕は、不思議に思って聞いてみた。
「何を見てるの?」
君は、夜空を見つめたまま、呟くように言った。
「お願いしたの。」
何を。とは、言わなかったし、僕も聞かなかった。
ただ、そうか。と答えた。
12月も終わりに近づいた。
つまり、1年の終わり。
大晦日だ。
僕は、最近、仕事に忙殺されていた。
今日になって、やっと解放されたんだ。
カウントダウンが始まる。
今日もベランダから、夜空を見上げる君に声を掛けた。
「今日も、お願いしたの?」
テレビからは、カウントダウンの声が聴こえる。
「うん。お願いした。」
8、7。カウントダウンは続く。
「いつまでもパパと一緒に居させてください。って。」
君は、笑って、僕に言った。
ハッピーニューイヤー。
僕は、小さな君をぎゅっと抱き締めた。