4話「音源というメッセージ」
ショーと別れケータイの時計を見ると夜の1時になっていた
「やべ・・・門限が」圭はケータイを閉まって走り出した
深夜の道は静かで、車の音だけが異常に大きく感じた
圭は陸上選手のように必死に地面を蹴って、道を駆け抜けた
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ」
10分ほど走り続けてようやく寮が見えた
「っち・・・少し走っただけでコレかよ」
膝に両手をつけて呟いた
寮ではほとんどの部屋の電気が消えていた、圭は裏に回りハシゴを立てて、二階の洗面所の窓を目指した、一年のときにトミが見つめた穴場で門限を過ぎるとココを使って寮に入った
「よっと」圭は窓を開けて、体をひねらせて中に入った
窓を閉めて、ケータイのライトを使って暗い道を照らし、自分の部屋に戻った
扉を開けるとトミがイビキをかいて寝ていた
「ふ~」圭は寝ているトミを起こさないように静かに自分のベットに向かった
布団の上に見かけないCDが置いてあった
「なんだ?」CDを手にとって裏をみた
メモ書きがしてあった
{部室を掃除してたら見つかった 作曲アッキー}
とだけ書かれていた
「信介の奴」圭は字を見て信介が持ってきたことを知った
隣においてあったCDプレーヤーの電源を入れて、イヤホンを挿してCDを入れた
30秒ほど演奏だけが流れ、アッキーの声がした
曲はバンドにテクノを加えたもので、パソコンで音を加えていた
「この曲・・・・」
圭は目を瞑って曲を聴いた
「曲が出来た!!皆聴いてくれ!!」
アッキーのが一人で騒いでいた
バンドをすることになって2週間で、アッキーが曲を編集してきたのだ
「もう出来たのか」信介がアッキーの持ってるCDを見た
「ああ!!」アッキーは再生ボタンを押した
流れてくるメロディーに皆魅了された
「今風だな~」ショーが目を見開いた
「いいな~おい!!」ヒロは満面の笑顔だった
「確かに・・・かっけ~」
圭も頷いて言った
「だろ?いけるだろ!!」アッキーも笑っていた
「いつ声入れたんだよ・・・・」
現実に戻って圭は呟いた
「こんな歌詞だったとはな」
圭は不思議な気持ちになった
まるで空を飛んでいるような開放感を覚えたのだ
「いい詩だ」
再び目を閉じた
「俺を待ってたってココにはいないぞ」
アッキーの声がした
「お前らを待ってる・・・はやく来い!!」
アッキーの元気な声がした
曲の終りと共に目を開けた
「いやいや・・・天国には行かないぞ」
少し笑って呟いた