一話「Boyz」
半年前・・・親友の一人が死んだ
ガキの頃からの仲で、高校2年の文化祭の為に組んだバンド
「Boyz」のボーカルをしていた
名前は「米倉秋人」あだ名は「アッキー」チャリで学校に向かう途中にトラックに撥ねられ即死
文化祭当日のことだった
「Boyz」は5人で組んでいた
ギターは俺「高杉圭」皆は俺のこと「圭」「圭ちゃん」って呼ぶ
ドラムの「新田信平」あだ名は「信平」別に笑わせるつもりはない
ベースの「山野隆広」あだ名は「ヒロ」
ギター2の「小野翔」あだ名「ショー」
最後に死亡したボーカル「アッキー」
以上がBoyzだ
っま!ボーカル死んでから今は活動完全休止中!!
二年の文化祭の為に作ったから、今高校3年生になった俺達に活動理由はない
そして、また何もない今日が始まった
バシ!!音と共に頭に痛みが走った、その瞬間目を開いた、教室の窓から一直線に太陽の光が照らしていた
「っ痛」圭は頭を抑えて、少し目線を上げた
大熊大二郎が教科書を片手に俺を睨んでいた
「お前はいつもいつも・・・無気力の塊みたいにボーっとしやがって」
大熊は再度教科書で圭の頭を叩きながら言った
「お前らはもうすぐ受験だ・・・コイツみたいに腑抜けてると将来も苦労するぞ~」
大熊はワザとらしく皆に聞こえるように声を張って言った
クラスの皆が笑い出した
「圭ちゃんは「熱意」とか「ヤル気」とかをどっかに捨ててるから!!」
クラス一の目立ちやがりや「田中雅人」あだ名「ダンガン」が立ち上がって言った
ダンガンの言葉に教室は笑いに包まれた
「ったく・・・は~いじゃ~次」
大熊は言いながら圭の後ろへと歩いて行った
圭は隣の窓を眺めてボーっと見つめていた
人はいつか死ぬ・・・ならなぜ生きてる?
勉強がそんなに大事か?
勉強して偉くなって金持ちになってそれでどうする?
いつの間にか明日が見えなくなっていた。
放課後の学校、部活生たちの声がこだましていた
圭は仮としてある「バンド部」の部室でジャンプを呼んでいた
文化祭の為にと部を立ち上げ、サッカー部の部室を一つ借りて作った「バンド部」
当時は熱心に使っていたギターやドラムたちは部室の中で静かに眠っている
部室の中は5人で撮った写真や今人気のアイドルグループのポスターなどが貼られ、曲を編曲するためのパソコンが机の上に置いてある
一番右にソファーがあり、4人は座れる、圭はソファーに寝転がってジャンプを読んでいた
ページをめくろうと、少し上に目線をやると楽器屋の前でギターを掲げて笑ってる5人の写真が目に入った
「めずらしいじゃん」
圭の後ろで声がした
ドラムの信介がドアを開けながら言ったのだ
「信介か」圭は信介の顔を見るとすぐにジャンプに目線を戻した
「お前が来てるなんて珍しいな」
信介は椅子に座り、パソコンの電源を付けて言った
「今日授業中ヘンな夢みてよ」圭はジャンプを読みながら言った
「ヘンなゆめ?」信介は椅子回し、圭の方を見て言った
「アッキーが出てきてよ・・・俺達演奏してた」
圭はページを捲りながら言った
「おいおい・・・お前アッキーになんかしたんじゃね?化けて出るかもよ」
信介は再びパソコンを操作しながら言った
「つーか信介・・・お前はココで何してるの?」
圭はジャンプを置いて、信介の背中を見て言った
「1ヶ月前からうちパソコン壊れてよ・・・ここの使えるから色々」
信介はパソコンの画面を見ながら言った
「あのポスター貼ったのお前だろ」
圭は天井に張ってあるアイドルのポスターを指差して言った
「別にいいだろ?・・・今はアイドルの時代だぞ・・・今度新曲もでるし」
信介は画面を見つめたまま言った
「文句言うわけじゃね~けど・・・んで?最近我ら「Boyz」のメンバーはどうなの?」
圭はソファーの下にあるバンドの参考に聞いたCDを見ながら言った
「ああ・・・俺もクラス違う奴らは見てないな・・・同じクラスはヒロだけど・・・あいつバイトばっかしてて、すぐ帰るんだよ」
信介は圭を見ながら言った
「ふ~ん・・・俺も最近あいつら見てないな」
圭はCDデッキの電源を入れて再生ボタンを押した
ドラムの音から始まり、ロックバンドの音が部室に響いた
「なつかしいな」圭は音を聴きながら言った
「そいえばな」信介は思い出したように、机の引き出しから白のファイルを出して圭に渡した
「なんだよ」圭はファイルを開けて中の白い紙を出しながら言った
「前に見つけたんだ・・・俺ら文化祭じゃ~オリジナルじゃなくて、バンプとかアジカンとかのコピでするつもりだったじゃん・・・だけどそれ見てみろ」
信介は説明がめんどくさくなって言った
圭は白い紙を見た
紙にはシャーペンで書かれた歌詞が書かれていた
「これって・・・」圭は紙を見てつい呟いた
「アッキーの奴・・・Boyzのオリジナルが良いってコッソリ作ってやがったんだ」
信介はまた圭を見て言った
「あいつパソコンでテクノとロックの融合とか言ってたもんな」
圭は紙を簡単に目で追ってファイルに戻した
「テクノは流行だからな」信介は画面を見つめて続けた
「歌詞書いたって・・・本番の日に逝ったんじゃ意味ないじゃんアッキー」
圭はファイルを引き出しに戻して言った
「俺帰るわ」圭は戸を開けて出て行った
「確かに・・・意味ないよアッキー・・・でも意外といい歌詞なんだよ」
信介はファイルを見て言った
部活生の声を聞きながら圭は校門までの道を歩いていた
もし今日で世界が終わってもいい・・・ちょっとだけそう思ってた
お前荷はわかんないだろな?アッキー
学生だからこそ感じる「不安」や「想い」をバンドを通してテーマにしてます。
全体的に青春です!!
初心者なので感想等も書いてくれたら幸いです。
よろしくお願いします。