Prologue1~All starts~
Prologue1~All starts~
俺は大谷市にある私立のまあ言ってみれば普通の高校に通う17歳の男子高校生だ。
まあうちの学校には付属の小中学校があるだけだ。
その高校に川沿いの桜並木を通り過ぎ俺は向かう、まあ真冬の桜並木なんざ何の面白みも無いんだがな。
「やってられねえ。」
安い合成革製の黒いバックを振り、ボソリと呟く。
妙に薄いポリエステル製のズボンからひしひしと寒さが染み込んで来る。
「高いくせに何でこんなに薄いんだよこの制服って奴は・・・・・」
道は徐々に川から離れるが、桜並木は校門の100mほど前まで続く。春は良いんだよな、春だけは。夏には絶対通りたくないんだよここ。
桜並木を抜け学校まではラスト100mだ、校門をくぐれば退屈すぎる授業が始まる。
後ろからばたばたと走る音が聞こえる。今朝もあいつだ、全くもってやってられねえ。
「よう敷島!相変わらず冴えない顔だな!」
低めの身長にツインテール、子供そのものと言える少女、高梁アヤ。クラスの1部に人気があり俺のことを常に「冴えない奴」「根暗」挙句には「深海の生き物」とまで言いやがる。お前が明るすぎるだけだ。
「ほっとけ、どうせ生涯冴えないツラのまんまだ。」
「そうだな!先行ってるよ~ん!にゃはは~!」
たったった、っと俺をおいて走り去ってしまう。俺に構わず最初から行っちまえばいい。それに何だよにゃはは~って、朝っぱらから騒々しい奴だ。
朝っぱらから鬱々とした気分で校門をくぐる、中等部の教室棟からは騒がしい声が聞こえ、グラウンドからは部活中の生徒のさわやかな声が聞こえる。
昇降口で靴を靴箱に叩き込みスリッパに履き替え階段を上がり教室へと入る。そのまま誰と挨拶を交わすことなく机へ直行、そのまま突っ伏して寝る、俺の夜は色々忙しいのだ。
そうやって午前中はほぼ寝て過ごす、何度か起こされたがな後ろの奴に。
「おい深海魚!飯だぞ!」
許可も取らずに後ろの席に座る高梁が机をくっつけて弁当の包みを広げる。
「誰がリュウグウノツカイだって?いい加減にその呼び方は止めろよ。」
深海魚と言われたんで最も品のよさそうな奴を選んで言ってやる、
「誰がそんな高等な生き物だって言ったのさ?あんたは深海魚だったらホウライエソよ!」
気持ち悪、ホウライエソは妙に口が馬鹿でかくてこいつは魚かと疑うくらいに物騒な牙を生やした化け物魚だ。そんなものと一緒にされるのは存外である。
「深海生物は止めろよ、根暗までは許してやるから。」
「根暗って認めてるんだ。」
「ああ、俺は明るい方じゃないどちらかと言えば根暗になるだろう。だがホウライソはイヤだ、せめてクダクラゲにしろ。」
「あんたの深海生物の話しはどうでもいいんだけどさ、聞いた?今朝の中等部棟のこと。」
中等部棟?何かあったのだろうか・・・・・・・別段と何かあった話は聞いてないのだが。
「いや、聞いてない。何かあったのか?」
「ほ~らやっぱり、ショートホームルームの時間まで寝てるんだから。」
やれやれと言った表情で玉子焼きを口に運ぶ、俺はその物言いが気に食わないので軽くデコピンしてやる。
「痛った~い!何すんのよ!せっかく教えてあげようと思ったのに!」
「アア、悪かったな。で、中等部棟で何があったんだよ。」
「器物損壊事件ってとこかな。2年3組から6組までの全部の黒板がぐっしゃぐしゃ、私は見てないけど相当酷かったって担任が言ってた。」
黒板がぐっしゃぐしゃか・・・・・・、思い当たるのがいくつかあるな。
「で、やった奴は見つかったのか?」
「てんで見当がつかないんだって、夜になれば防犯装置が作動するから人は入れないし、生徒が残っているとも考えられないでしょ。」
「なんつーか訳の分からん事件だな、犯人不明の犯行不可能、推理小説だったら随分話が破綻してるぜ。」
確かに人間がやったと言う前提があるなら破綻した推理小説だ、だがしかし・・・・・・『アレ』がやったとなれば話が変わる。
「ま、良いんじゃない。中等部の黒板なんて随分前からボロかったし、誰か怪我したわけじゃないし。」
「そうだな、それよりそのコロッケよこせよ。この前トンカツやっただろ。」
「それはさっきの情報で帳消しだよ~ん、にゃはは~」
また訳の分からない笑い方をすると狙っていたコロッケを一口で食っちまいやがった。まあ女子の弁当のおかずを狙う俺も俺なのだがな。
そんなこんなで後はとりとめの無い話ばかり、俺にはこのクラスに友人と言える人間は2人しか居らずそのうちの一人がこいつだ、もう1人は・・・・・・・もう一人は事情があって暫く来れない。奴が戻ってこないと飯が寂しい。
そして昼休みが終わる、流石に朝っぱらから4時間以上も寝れば眠気は飛ぶ、昼からは真面目に授業を受けてやるつもりだが・・・・・・・やはり中等部棟の話は気になった。
気も漫ろに午後の授業を終え、掃除を終え、ショートホームルームを終え、周りは帰り支度を始めた。
「根暗、今日は病院行くの?」
「いや、今日は少し用事がある。行くなら一人で行ってくれ。」
病院とは俺の1番の友人が今現在いる場所だ、少し前に色々あって入院しているところだ。
「用事?何かあるの?」
「歯医者」
「へー、虫歯でも出来た?」
サボりの定番だがこいつには通じるようだ。かばんに教科書を詰め教室を出る。
「まあな、軽いからちょっと削るだけさ、じゃあな高梁。」
「バイバ~イ、ホウライエソ!」
高梁は走って学校を出て行った。まだ言ってやがるのかホウライエソ、これは暫く定着しちまいそうだな。
俺は帰らずに図書室へ向かう、3~6組を滅茶苦茶にしたなら1~2組だって何かやるかもしれない。だが夜に何かが起こるのは間違いないだろう。
図書館に人はまばらだ、司書の教師以外には真面目そうな生徒が数名勉強する他には隅っこの方でゲームをする暇人どもがチラホラ。俺は適当に興味のある本を棚から抜き広げる、夜に学校に侵入するのは困難だ、夜に学校にいようとすれば残るしかない。
「やってられねえ」
図書室に入ったのが3時半過ぎ、現在時刻は6時。本は読み終わってしまったが閉館時間、図書室を追い出されて行き場がなくなってしまった。さてどうするかな、取り合えず中等部棟へ向かう。
カツ、コツ、カツ、コツ冷たい大気に足音だけがこだまする。明かりは非常口の緑の電灯のみ、夜目が相当利かないと足元さえ見えない。まあ俺は夜目が利くほうなんだがな・・・・・。
ゾクリ、そう思ったところで背筋に強烈な悪寒が走る。今すぐにこの場から走り去って布団の中で震えたくなるような悪寒、風なんか目じゃないほど強烈な奴が俺を襲う。
「来たな」
だが俺は逃げることも立ち尽くすこともしない、ただ廊下を歩き続ける。
位置は2年4組を通り過ぎ、もうじき3組になろうかと言うところか、そんなところだった。
グワッシャーン!2組で凄まじい音がした、そう・・・・・・木の板か何かを叩き割ったような音が・・・・・
「やっぱりな!やっぱり出やがった!」
俺は2組へと走って向かった・・・・・・それがとある少女の運命を変えることも知らずに・・・・・・・・・・
続く・・・・・・・・
どうも今日はたけひろです。
この小説は魔法少女まどか☆マギカを見ている途中突然書きたくなったものです。
僕は基本アニメはアクション見ることが多いのですが、「スタッフが馬鹿みたいに豪華だから魔法少女まどか☆マギカ見ろよ」大変強く勧められたので見ることとなりました。
今まで魔法少女モノといったらなのはの1期しか見てないので定番の魔法少女モノを見てきた方にはこの小説は「なんじゃこりゃ」と移るかも分かりませんが、これがボクの世界です、アンリミテッドタケヒロワークスと言った感じです(わけが分からん)。
魔法少女らしいファンタジーよりもアクションに分類される上に主人公は17歳の男です。
「魔法少女まどか☆マギカの原型残ってねえし」と思いますがまさにその通りです、ただあのアニメがきっかけになっただけなのです。
別のガンアクション小説と同時進行ですのでそんなに更新は頻繁には出来ませんがお付き合いいただければ光栄です。
ではまた次回お会いしましょう、さらば!