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第18話『すれ違いと、花言葉』

次の日の昼休み。

教室では、咲が俺の隣の席で弁当を広げていた。

彼女の笑顔は柔らかくて、どこか安心する。

けれど──俺の心は、どこか引っかかっていた。


(……昨日の澪の顔、見間違いじゃないよな)


咲と手をつないでいたあの瞬間、澪は何も言わずに去っていった。

もしかして、傷つけてしまったのかもしれない。

でも、俺が何を言えるんだろうか。


「……光くん、聞いてる?」


「え? あ、ごめん!」


咲が不安そうに俺の顔を覗き込んでいた。


「今日、ちょっと変だよ? 何かあった?」


「いや、別に。ちょっと考えごとしてただけ」


咲はそれ以上何も言わず、少し寂しそうに目を伏せた。

その沈黙が、逆に胸に刺さった。



放課後。

下駄箱で靴を履いていると、後ろから声をかけられた。


「光くん……少し、いい?」


澪だった。制服のリボンを結び直しながら、静かな目でこちらを見ている。


「うん、いいよ。どこか行く?」


「屋上、空いてると思う」


屋上は、今日も静かだった。

夕陽が差し込む中で、澪はぽつりとつぶやいた。


「咲ちゃんと、手……つないでたんだね」


俺は、少しだけうなずいた。


「……ごめん、見られてたのは気づいてた」


「謝らないで。謝ってほしくて呼んだんじゃない」


澪は笑った。でも、その笑顔はどこか作られたもののようだった。


「私ね、花言葉ってけっこう信じちゃうタイプなんだ」


「花言葉?」


「うん。今日、帰りにお花屋さんで“アネモネ”見つけたの。“アネモネの赤”って、“君を愛す”って意味なんだって」


「……」


「でも、“アネモネの白”には“見捨てられた”って意味もあるの。……複雑だよね、同じ花なのに」


その言葉に、俺は何も返せなかった。


「光くんにとって、私は……“赤”だった? それとも“白”?」


沈黙。


「──私は、もう期待しない。期待しなければ、傷つかないって思えるから」


澪はそう言って、そっと背を向けた。


「でもね、光くん。咲ちゃんのこと、ほんとに大事にしてあげて。咲ちゃんは、誰かの“赤”でいたい子だから」


そして、屋上の扉を開けて去っていった。

その背中を、俺は引き止めることができなかった。



帰り道、咲と並んで歩く。

けれど、咲の表情もどこか浮かない。


「……澪ちゃんと、話してたよね」


「見てたのか」


「うん。偶然、階段の陰から……」


咲は言葉を選びながら続けた。


「ねえ、光くん。私、ちゃんと“選ばれてる”って、思っていいのかな」


心臓がどくん、と鳴った。


「もちろんだよ。俺は……咲が好きだ」


だけど、咲は微笑むだけだった。


その笑顔の裏にあるものを、俺はまだ──知らなかった。



「面白かった!」








「続きが気になる、続きが読みたい!」








「今後どうなるの!!」








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