第16話『放課後、君と小さな約束』
放課後。
秋風が校舎の隙間を吹き抜け、窓のカーテンがゆっくり揺れている。
俺は、屋上にいた。
そこには咲がいた。制服のまま、柵に背を預けて空を見上げている。
「……来てくれるって、思ってた」
「咲…」
俺が言葉を探していると、咲は小さく笑った。
「昨日ね、光くんが家まで来てくれて──嬉しかった。でも…ずっと怖かったの。ずっと、私ばっかり先走ってて、光くんの気持ちは遠くにあるのかなって」
「そんなことない」
俺は咲の隣に立ち、風に吹かれながら言った。
「俺も、咲のことを“ちゃんと”考えた。考えて、分かったことがある」
咲がこちらを見る。
「……俺、誰かに寄りかかるのが怖かった。誰かを好きになるって、失うことに繋がる気がして。でも咲といると、そんな怖さよりも、“一緒にいたい”って気持ちが勝った」
「……それって」
「……咲のこと、好きだ」
風が止んだ気がした。
咲の目が潤み、ゆっくりと伏せられる。
「今、泣くなって思ったのに……ダメだなぁ……」
「泣いてもいいよ」
「光くんって、そういうとこ、ほんとずるい」
咲が笑いながら俺の腕にそっと触れた。
「……じゃあ、これからは一緒にいてもいい?」
「もちろん」
*
次の日。
ホームルームが終わると、廊下で澪が立っていた。
「……光くん、少し話、いい?」
俺は頷く。
咲の手をそっと離して、澪の方へ歩いていく。
「光くん……咲と付き合い始めたって、ほんと?」
「……うん」
澪は少しの間、目を閉じた。
「そっか。うん……よかった。ちゃんと“好き”って伝えられたんだね」
「澪、ごめん。傷つけたよね」
「ううん。光くんの言葉、ちゃんと届いた。私は大丈夫。……だから」
「だから?」
「咲のこと、泣かせたら、許さないからねっ」
ぱしん、と軽く俺の胸を叩いて、澪は笑った。
その笑顔は少しだけ涙のにおいがして──でも、とても強かった。
*
その日の帰り道。
咲が言った。
「ねぇ、光くん」
「ん?」
「明日、ちょっと早く学校来てくれる?」
「いいよ、何かあるの?」
「うん……ちょっと、約束がしたいの」
その言葉に、俺は少しだけドキドキしながら、頷いた。
「面白かった!」
「続きが気になる、続きが読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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