第15話『名前を呼ぶ、その意味は』
咲の家の玄関先で、俺は立ち尽くしていた。
あの夜の言葉を胸に、ちゃんと気持ちを伝えたいと思ったからだ。
「光くん……」
咲が静かに呼んだ。
その声は、まるで遠い海の波の音のように優しく響く。
「君のことが、ずっと気になってた。鈍感でごめん」
「ううん。私も、何も言えなくて……」
二人の間に、沈黙が流れた。
「名前、呼んでいい?」
「うん」
「咲」
「光くん」
その瞬間、世界が少しだけ輝きを増した気がした。
*
翌日、澪に会いに行った。
「昨日、咲に会ったんだ」
澪はじっと俺の目を見る。
「……光くんが決めることだけど、私は待ってる」
その言葉に、涙がこぼれそうだった。
「ありがとう、澪」
俺は自分の心を、もっと大切にしなきゃと思った。
*
文化祭の喧騒が嘘のように、俺たちの関係は少しずつ動き出していた。
そして、俺は気づく。
誰かの名前を呼ぶことが、どれほど大切なことなのかを──。
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