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第12話『文化祭、すれ違う心と届く想い』


校舎全体がにぎやかな喧騒に包まれていた。

色とりどりの装飾、焼きそばや綿菓子の香り、笑い声が校内に響き渡っている。


「──よし、接客交代! 次、光くん!」


咲が軽やかに俺の背中を押した。

彼女のクラスはメイド喫茶で、制服も完璧に似合っていた。

正直、目のやり場に困る。


「おかえりなさいませ、ご主人様♪」


「……っ、まじかよ」


「ふふっ、冗談だって。ほら、さっさと制服着て!」


彼女の無邪気な笑顔に押され、俺は渋々、男子用の執事服に袖を通した。

……似合ってるかどうかは知らないけど、咲はなぜかずっと笑顔で見ていた。


「やっぱ、光くんにはこれが似合うと思ってたんだ」


その言葉が、なんとなく胸の奥に残った。



昼を過ぎたころ、澪がひょっこり教室に顔を出した。


「……あっ」


「澪! 来てくれたんだ!」


「う、うん……。光くん、これ……差し入れ。手作りのクッキー……その……よかったら」


「ありがとう。あとで食べるよ」


澪の顔は少し赤くて、それでも嬉しそうに笑っていた。


だがその横顔を見た咲が、何かに気づいたように目を伏せた。


「……うん。やっぱり、澪ちゃんはすごいな」


「え? 咲……?」


「ううん、なんでもない! じゃ、私はちょっと外回ってくるね!」


咲はぱたぱたと逃げるように教室を出ていった。


俺は、その背中を追いかけられなかった。



文化祭の終盤。体育館ではステージ発表が始まっていた。

その裏手、照明ブースでひとり作業をしていたのは──綾音先輩だった。


「先輩。手伝いに来ました」


「……ふふ、来ないかと思ってたわ」


先輩はいつものように飄々としていたが、目の奥はどこか遠くを見ていた。


「光。私は、もう期待しないことにしたの。恋も、後輩に何かを求めるのも」


「……」


「でもね、今日のあんたを見てて思った。やっぱり私、あんたのことが──」


そのとき、ステージで大きな歓声が上がった。

先輩の言葉が、歓声にかき消された。


「え?」


「……なんでもないわ。行きなさい、あんたの居場所は、もうこっちじゃない」


そう言って、先輩はそっと俺の背中を押した。


──先輩は気づいていたんだ。俺の迷いも、優しさという名の逃げも。



夕方、文化祭が終わりに近づいた頃。

裏庭で、咲がぽつんと座っていた。


「……探したよ」


「……ごめん、勝手に抜け出して。なんか、光くんのこと見てたら、自分がわからなくなって」


「咲……」


「……ねえ、光くんは、誰が好きなの?」


その問いに、言葉が詰まった。


「……まだ、答えは出てない。でも……」


「でも?」


「……今日、咲と一緒にいた時間が、一番自然だった。落ち着いたし、楽しかった」


咲は驚いたように目を見開いて、やがて笑った。


「それ、告白じゃないよ?」


「……うん。でも、前よりちゃんと考えるようになった。だから、待っててくれるか?」


「……いいよ。でも、その間に他の子に取られても、知らないからね?」


咲は明るく笑った。その笑顔に、少しだけ強さが宿っていた。


そして、ようやく心の中の霧が、少しずつ晴れていくのを感じた。


「面白かった!」




「続きが気になる、読みたい!」




「今後どうなるの!!」




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