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第11話『揺れる心、選ぶということ』

「おい光、最近元気ないな。寝不足か?」


「え? ああ、うん……まあ、ちょっとな」


教室での昼休み、悠斗が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。俺は愛想笑いを浮かべるしかなかった。正直、寝れてない。澪、咲、そして綾音先輩のことが、頭から離れない。


――あの日、俺は誰にも答えを返せなかった。

だからきっと、みんな少しずつ距離を取っている。


「光、文化祭の実行委員、綾音先輩と組むことになったらしいぞ。大丈夫か?」


「……えっ?」



放課後、実行委員の初回顔合わせ。


「……あら、相変わらず鈍感そうな顔ね」


綾音先輩はいつもの調子だったけど、どこか目を合わせてくれなかった。


「よろしくな、光!」


「……うん。頑張ろうな」


文化祭まであと二週間。クラス展示の調整、タイムテーブルの調整、全校放送の原稿作成。先輩とふたりきりになる時間が、自然と増えていく。


綾音先輩は、仕事になると完璧で、頼れるし、細かいところまでよく見てる。だけど、ふとした瞬間に、少しだけ寂しそうな横顔を見せる。


俺は、そこから目が離せなかった。



帰り道、先輩とふたりで歩く。


雨上がりの風が涼しくて、先輩の髪が揺れた。


「……どうして、黙ってるの?」


「え?」


「私、あの日泣いたわよ。自分でもびっくりするくらい、情けなくて……でも、バカなあんたが一番、何も言わなかった」


「……」


「優しさって、時に人を傷つけるのよ、光。何も言わないって、何も感じてないってことじゃない。私は……私は……!」


言いかけた言葉は、風に流された。


「……ごめんなさい。忘れて」


先輩は小さく笑って、先に歩き出した。


俺の胸は、ずっともやもやしていた。



文化祭準備が本格化する中、俺はようやく気づき始めていた。


咲の真っ直ぐな「好き」も、

澪の奥に秘めた「好き」も、

そして、綾音先輩の強がりな「好き」も、

全部、本気だった。


でも、俺はまだ──誰の想いにも、正面から向き合えていなかった。



「光くん!」


振り向くと、そこにいたのは──澪だった。


手には、何か小さな箱。


「これ……文化祭のチケット。私たちのクラスの喫茶店、来てほしくて」


「うん……ありがとう」


「……答え、まだ出てないんだよね?」


「……ごめん」


「いいの。……でも、逃げないで。光が誰かをちゃんと好きになるまで、私は待つ」


彼女の笑顔は、泣きそうなくらい綺麗だった。



そして、文化祭当日。


「光くん、出番だよー!」


咲の明るい声が、スピーカー越しに響いた。


咲、澪、綾音──


3人の想いに、俺はどう向き合えばいいのか。


でも今は、まず自分の「気持ち」を探さなきゃいけない。


逃げずに。誤魔化さずに。


「……俺は、ちゃんと向き合うよ」


心の中で、そう強く誓った。



---


「面白かった!」




「続きが気になる、読みたい!」




「今後どうなるの!!」




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