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蒼穹の光輝  作者: 那泉織
3/5

堕天使

 暗い暗い牢屋の並ぶ部屋。



 誰も好んで寄り付いたりなどしないその場所を、露華と雪吹は二人で奥に進んでいた。



「さっすが天界一恐れられている場所! 見事な陰湿さだな!」


「……何でそんな笑っていられるんだよ」



 雪吹は能天気な様子の露華に呆れる。

 今の状況を考えると真剣になる必要があると思う雪吹に、露華は苦笑した。




「だって、笑いでもしねーと怖いじゃん。無理にでも笑ってた方がちょっとは気が紛れるだろ?」



 お前、怖がりだし。と言われて雪吹は何も言えなくなった。





 ―――なんか最近、露華、生意気になった気がする。






 むむっと眉を寄せていると、前を歩く露華が突然立ち止まり、雪吹はそれにぶつかった。





「っ痛…露華、どうしたんだよ……?」


「雪吹、見ろよ」


「何……?」




 急に険しい声音になった露華に促されてその視線の先を見ると、二人と同年代ほどの少年が牢の中にいるのが解る。



 眠っていたその少年は、ゆっくりと目蓋を持ち上げると二人を視界に入れた。




「…………誰?」





 とても小さい声だったが聞こえないほどではない。

 彼はしっかりとこちらを見つめると怪訝そうに目を細めた。




「見張りの兵ではなさそうだね。どうして君達はこんな所にいるの?」




「えっと……」



「簡単に言うと逃亡中。お前は? ここにいるってことは重罪人?」



 言い淀む雪吹を置いて、露華は訊きづらいことも遠慮なく訊ねる。



 彼は薄く笑った。





「………そうだよ。僕は沢山の天使を殺したんだ。だから重罪人。ここでずっと死刑執行の時を待っているんだ」




「……露華、もしかしてこのひと――十六夜(いざよい)癒既(ゆつき)じゃないの?」


「十六夜癒既?」


 雪吹の言葉に首をひねった露華に向かって、頷く。



「……へぇ。僕ってそんなに有名?」




 自嘲気味に呟いた彼に、雪吹は「はい」と答えた。



「確か貴方は神の怒りに触れた人間に恋して、天界に反逆したんですよね?」






「……そう。僕は天界に逆らい、堕天使になった」







癒既と初対面です。

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