夢を叶えるアプリ ミッションクリア
朝倉は下校する。
いつもは友人の近藤と一緒に帰るが、今日は先に帰っていた。母親と待ち合わせしてるとウソを言って。
それは与えられたミッションをやり遂げるため。
「ミッションクリア」というアプリが流行っている。
与えられたミッションをクリアすると、報酬として商品が貰えるアプリだ。
たとえば、あるジュースを飲めば、PayPayで1000円貰えるとか、あるメーカーのポテチを10袋買ったらくまモンのぬいぐるみがゲットできるとか、新宿の街にあるQRコードを10カ所読み込めば500円のプリペイドカードをゲットできるとか。
リアルなミッションをクリアすることで商品を貰えるアプリ。
ひと月ほど前のこと。
このアプリに裏技があるという噂が流れ始めた。
アプリの公式LINEに登録して、夜中の2時に願い事を書くと、特別なミッションが与えられてクリアするとそれが叶うという。
クラスでも話題になっていたが、そんなことを信じる者はさらさらいなかった。太一もそんなアホな話などあるわけないと思っていた。
だが、ある日。
板井若菜というクラスメイトがいた。あだ名はキッチョン。
アイドルを夢見ている、小太りで一重まぶたの女の子。
みんなから顔的に無理なんじゃん、と陰口を叩かれていた。
キッチョンというあだ名も「気持ち悪い」という意味で付けられた。
それがある日、一夜にしてトップアイドルになった。
テレビの公開オーディション番組で優勝したのだ。




