神仏降臨祭
誰か続き書いてください。
2022年 4月2日
「昨日は人間界では、エイプリルフールという嘘を付く日だったらしいから言えなかったのだが」
と、神王 ゼウス様が話し出した。他の神々はザワついている。いきなり、全ての神を招集したのだから当然ではある。
「2022年 4月17日 我等の家族である、キリストが復活する……地上でな。キリストの復活に合わせて、我等も地上に降りてみないか?」
「ゼウス様、我等が地上に降りれば地上を大混乱させるのではありませんか?キリスト一柱だけでも、大変ですのに。降りたところで何をするのか、という話にもなります。定期的に地上に降りれるなら、観光をしてみたいですが」
「星の仕組みそのものを変えてしまおうかと思っているのだ。我等は共通の言語を使っているのに、人間達はバラバラだ。神の存在も宗教とやらで、宗教事の神しか信じておらぬ。あまりの信仰心の無さで消滅してしまった神は大勢いるだろう?だからな、神の住処を地上に移さないか?神の存在が公になれば、少数の神しか信じておらぬ者達や、神そのものを信じておらぬ者達からの信仰心を得れるのではないか?」
さらにザワついた。信仰心の少なさで消えかかっていた神々が主だ。「神」という存在は、地球という星そのものが生み出した神王様と上位神様達、キリストのように自力で神に至った者達、そして「人間」の想像力を糧に生み出された亜神だ。消えかかっている者や、既に消滅してしまった神々は亜神が多い。人間が生み出した癖に、時が経つことで忘れ去られ、信仰を失い、消滅してしまう。
ゼウス様が仰っていることは、そうした亜神を救おうという話だ。私も亜神だが、私と同じ系統の神は一定数の信者がいるので、消滅することはないだろう。
「人間達は……我々が現れたところで、"しーじー"と思うのでは?何か、人間達に信じさせる現象を起こさねば」
「そうだな、1つの国だけでは信じぬ者もいるだろう。何かないか?スサノオはどうだ?こういうことを簡単に思いつくのは日本人だろう。他の日本の神も考えてくれ」
我等、クトゥルフ神話の神も考えねば。何がいいか、どうすれば人間達は信じるのか。山を消し飛ばすか?いや、そんなことをすれば自然や豊穣を司る神々にどやされることになる。
「ふむ……人身的被害があれば、敵だと思われるかもしれないので、安全且つ、神という存在を信じるに値する現象……」
「難しいですね。キリストであれば簡単なのでしょうけど」
キリストは信者があまりにも多い。それに、あの者が復活すれば現人神になるので、時間が解決するだろう。だが、消えかかっている亜神達には時間が無い。
「まずは天使に降りてもらいましょう。翼を持つ者が宙に浮いていれば、かなりのインパクトになるでしょう。ですが、それだけでは足りませんね……」
「地上の魔力を使ってみませんか?」
「なに?」
言ってみただけなのに、大勢から視線が。
「地上には魔力が満ちています。それを使って、祭を開催しないか、と。キリストの復活祭を、全ての神の降臨祭にしませんか?」
「祭ですか……良いですね。手始めにダンジョンでも出現させましょうか」
「天使とダンジョン、どちらを先に?」
通常ではありえない現象を起こすのだから、ダンジョンが先でしょう。
「ダンジョンですね。ある程度の衝撃を与えた後に、天使に説明させましょう。人間達が魔法を使えるようにしますが、ダンジョンの外では使えないようにすれば、事件は起きにくいでしょうね」
「ダンジョン内で人に危害を与えた者はどうする?我等が直々に罰するか?」
「それは閻魔に任せましょう。それとも、ダンジョン内の映像を魔法で各国に表示させますか?」
「そちらの方が良さそうですね。閻魔殿は0か100しかないので」
あの方は、どんなに小さいことでも犯罪を行った者は地獄へ落とし、魂を消滅させます。逆に、危険な思想を持っていたとしても、犯罪者でなければ天国に送り、転生させます。そんなことをしているから、犯罪者は減らないのです。危険な思想を持っていても、行動しなければ天国行きならば、時間をかけて準備をして、テロを起こす。
断罪の神も、怒った仏も、閻魔殿のような断罪者も、まともな方がいらっしゃらない。ウリエルに任せた方が良いのでは?
「ハスター、聞こえていますよ。私のことをまともではないと言いましたね?」
「ペ、ペルセポネ様は常識神ですよね!あはは……」
「……」
「申し訳ございません」
「よろしい」
怖い。ピンポイントで私の心を読んでいたようだ。さて、真面目な話をしよう。私の分野は「風」、祭を開くにしても、各神も何か行動を起こさねばなるまい。風でできることは……。
「そうですよね。我々も祭以外で信じさせる努力をしなければ」
「聞こえていたのですね」
「怖いと言っていましたからね、後で罰を与えますよ。ハスターには私の手伝いをさせてあげましょう」
「強制では?」
「違いますよ。優しいハスターなら、やってくれますよね?」
圧をかけないでください。私にできることがあれば、やるのは構わないのだが……風って何ができるのでしょうか。
「ハスターには天候操作をやらせるか?ダンジョン内の空気を循環させるのにも役立つだろう?風か……。炎をつかさどる者達よりは役に立つだろうな」
「プロメテウス様たちには、花火を打ち上げてもらいましょう」
「それだけしかできぬな。料理の神の元へ行かせるか?火力担当だ」
「磐鹿六雁命か……あの者は祭と聞いてすぐに料理を始めに行ったぞ。2週間以上先だと言うのに」
プロメテウス様はギリギリできることがあるが、ラー様はどうなさるおつもりなのか。炎の温度が高すぎてやれることがないのでは……。
「私は何をすれば……」
ラー様も何をすればいいか、分からないようだ。
「お主は太陽の温度でも下げておれ!」
「下げると、寒い地域の人間が」
「なぬ!?では、何もできることがないではないか!!」
「エジプト神話の方々は何もしなくても信仰を得られそうですが」
なぜか信仰心を得続けているクトゥルフ神話の神と違って、ギリシャ神話とエジプト神話とインド神話は人間達から絶大な人気を誇っているので、何もしなくとも消滅はしないだろう。さすが、神自身が広めた神話なだけある。嘘も混ざっているが……。
「私の風で、寒い地域にラー様の熱を送るというのは?」
「ハスターのやること多くないか?」
「風を司る神は私だけではないので。それとも、セト様にやって頂きますか?同じエジプト神話の神ですし」
「ぬ!?我がやるのか!?ラーは火加減もできぬのか」
ラー様、泣きそうですよ。その辺で。何故かは知らないが、エジプト神話の神々はラー様に当たりが強い。
「「では、私がラー様の手伝いを致しましょう」」
「は?私がやるので、ニンニルは下がっていなさい。ハスターの手伝いでもしていたらどうですか?」
「カルデアこそ、下がっていなさい。それと、どうして私があのような子供の手伝いをしなければならないのですか?風の神は他にいるでしょう」
「私……子供では……」
「黙りなさい。お前は他の男神達と連んでいなさい」
エジプト神話の神々はラー様に当たりが強いが、ニンニル様とカルデア様は異様に私に対する当たりが強い。私は何もしてませんよ?ラー様と話していると、すぐに引き離されます。
「ハスター×ラーにならないようにする前に、ラーの男色を治せば良いでしょう。ハスターはクトゥルフの者達とは連まないのですから、こちらでもらってしまいましょう」
「それはなりません!ハスターは我等クトゥルフ神達の家族ですよ!?ペルセポネ様は雑用係が欲しいだけでしょう!?」
「構わん、連れて行け。ついでにクトゥルフを封印しろ」
ペルセポネ様、シュブ=ニグラス様、ノーデンス様の順番。ノーデンス様?クトゥルフの封印は賛成ですが、なぜ私まで?
「哀れだな、シュブ=ニグラス。ハスターに「様」と付けられているとは」
「いつか名前で呼び捨てで呼んでくれる日が来るのですよ。ねー?ハスター」
「え」
母を呼び捨てにしろと?ヨグ=ソトース様になんと言われるか。あの方は私に嫉妬して、私の体の成長を止めたのですよ?しかも、体を幼くされました。
「ハスター、シュブ=ニグラスに欲情した瞬間、貴様の存在が消えるぞ?」
「ヨグ様が母をきちんと愛していれば、私の方に来ることもないのですよ」
「愛しておるわ!!」
「私も愛していますよ?夫が二人いても良いではありませんか。ねぇゼウス様?」
「そうだな……」
「はい?」
どんどん巻き込まれていく神々、ラー様の話はどこへやら。ゼウス様、あなたが浮気をしなければ、母の猛攻も止まるのです。頑張ってください!!
「ゼウス……ちょっとお話をしましょうか」
「あ、いや、待ってくれ!違うんだ!!」
「行きましょうか。皆は、祭で何をするか、信仰を得るためにどんなことをするか、などを考えておきなさい」
ヘラ様にゼウス様が連れて行かれた。
私は結局、何をするのだろうか。
「ハスターは私の手伝いを。シュブ=ニグラスは、砂漠に植物を植えていなさい。水の神……クトゥルフって水じゃないの?」
「見た目はタコですが、暴れることしか能の無い者ですね。水系統ではないです」
ほんとに出来ることがないタコですね。壺にでも入っていなさい!!
「適当な水の神と共に砂漠に大地の恵みを与えていなさい」
「それは私の仕事ですよ、ペルセポネ」
「ガイア様」
私を含めて、その場にいた全ての神が跪いた……いや、ウラノス様、クロノス様、レア様だけ立ったままだった。いつ来たんだこの方々は……。
クロノス様とヨグ様はどちらの方が「時」の力が強いのだろうか……。
「私とヨグで、ハスターの成長度合いで遊ぼうか。私とヨグの時の力の強さが気になるようだ。私が進めるから、ヨグは戻しなさい」
「分かりました」
「お、お止め下さい!ちょ、ほんとにやるんですか!?こっちに来ないでください!!」
クロノス様とヨグ様が近づいてきたので、空を飛んで逃げることにした。風の力で加速した。
直ぐに捕まってしまった。トール様とインドラ様の手によって……。雷で追いつくのは卑怯だと思います。
「酷い……」
「アグライアよりはマシであろう?彼奴は光を司る。我等ですら捕まってしまうのだ。なかなか速くなったではないか?」
「そうだな、以前であれば一瞬で捕らえることが出来たのだが……」
「わけも分からず追いかけられれば、自ずと速くなりますとも」
恐らく、微妙に速く飛べる私を捕まえるのが、この方々の趣味か何かなのだろう。その身を雷に変化させられるトール様とインドラ様、私も天候次第では雷を纏えるが、今日は晴れ。逃げ切れるわけもない。
アグライア様というのは、光を司る、輝きの象徴と化している女神様だ。かなりお美しいのだが、短気なので近づいたら終わる。怒らせれば、トール様達ですら逃げ切れないほどのスピードで追いかけてくる。私も怒らせたことがあるが、飛ぶ動作をする前に首を掴まれた。
「話が進みませんね。とりあえず、ハスターは私の手伝いを。ラーは、カルデアとニンニルと共に何かしていなさい。ガイア様は砂漠に恵みを与えるのですよね?」
「はい、シュブ=ニグラスも手伝ってくれますか?」
「承知しました」
「プロメテウスは……プロメテウスはどこへ行きましたか?」
火を司る神々が消えた。いつの間に!?
「プロメテウス達なら、磐鹿六雁命の下へ行きました」
「水の神、大地の神、豊穣の神はガイア様の下に就きなさい。火の神よりも、雷の神の方がやることがないのでは?」
確かに!毒を司る者もできることはなさそうだが、ヒュドラーは神ではないし、サマエル君は天使だ。
「アスクレピオス様が羨ましいですね。やること多そうです」
私は……神々が登場する際に、自身に風を纏おう。竜巻の中から登場したらカッコ良いだろう。神界から巨大な竜巻を地上に落とし、その中から出てこようではないか。
「ハスター、それ、私にもお願いね。トール達の雷も混ぜましょう?」
「何の話だ?」
「ハスターが、神々が地上に降りる際に、神界から地上へ巨大竜巻を落とすそうなの。それで、ハスターはその中から登場したら、神様っぽいんじゃないかって考えているみたいね」
「おお!いいな、それ!ハスター、俺にも頼む!俺の雷でバチバチさせようぜ!」
「雷って大丈夫ですかね、地上の者たちに被害が出るのでは?」
「我が制御してやろう。神々が登場する際、各地でその神々の特有の力を使い、登場しようではないか。たまにはハスターも良いことを言うな。我等、ギリシャ神話と北欧神話はハスターの作り出す竜巻の中から現れようぞ」
あれ?私はギリシャでも北欧でもないのですが……まぁいいか。
「風を作り出すのはウラノス様で良い、雷はゼウス様がいる……私は要らないのでは?」
「我は各地の自然系統の神の制御を行う。それに、ゼウスは雷の中から登場するつもりらしいぞ。ヘラを連れてな」
「ガイア様、我々はどう致しましょうか」
「世界樹でも生やしとけばいいでしょう。ガイア様達、大地と豊穣の神は世界樹の中から登場。水の神は、海から出てきたら良いでしょう」
「世界樹か、いいな。ガイア達に限っては、どんな人間でも疑わぬだろうな。あのタコはどうするのだ?」
「壺に入れて海に沈めましょう」
タコの兄者は封印です。
「言い忘れていたことがある。我等には関係のない話だがな、中国では仏が降臨するらしい。四神と喧嘩さえしなければ、どうでもいいことだ」
神と仏は仲が悪い。主に四神のせいなのだが、「仏の顔も三度」という言葉がある通り、仏というのは2度までなら怒らない。それをいいことに、様々な仏に2度も喧嘩を売って回っていた。だが、不動明王は短気だったのだろう……。3度目に達していないのに、キレた。
四柱の神VS不動明王。勝ったのは不動明王だったが、他の仏に2度も喧嘩を売っていたのだ。不動明王が勝っただけで終わるはずがない。不動明王は四神に謝罪を要求した。そこで素直に謝れば、そこまで仲が悪くなることはなかっただろう。だが……謝ったのは朱雀だけ。玄武、青龍、白虎、こいつらは謝らずに、他の仏に3度目の攻撃をした。
チンピラですよね。私達も四神とは関わりたくないです。神仏闘争に巻き込まれるので。不動明王って強いのですよ?ノーデンス様とタイマン張れるくらいに。
ノーデンス様の強さは、オーディン様より、少し弱いくらい。私が戦えばボコボコにされるでしょう。多くの神は神仏闘争に巻き込まれたくないので、四神を中国上空の神界に隔離しています。
「他の神々が何をするかは、当日のお楽しみということで」
「そうだな、ダンジョンの難易度設定を考えるか」
「ハスターは私の手伝いね。今、逃げようとしてたでしょう?」
バレた。トール様にフードを掴まれて引き摺られていく。
2022年 4月3日
「
誰か完成させてください。