表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/78

要編  16 覚悟



   シーン16 覚悟



 特殊戦群・部隊長コロンブスは急務性があると判断してベータチームから、アルファーチームに作戦を移行すると決定を下しなのはアルファーチームに所属する・素水宗弥モトミズ ソウヤの父・樽太郎ソンタロウが盾石国男の第1秘書を務めており、宗弥は盾石富士子と幼少期からの幼馴染おさななじみで、富士子の父・国男、家政婦の浮子とも親しく、盾石家の事情にも精通しているからだった。



 宗弥は当然のことながら、この任務に苦悩する。父を、幼き日から尊敬している人を、愛する人を、真っ直ぐな誠実さで、関係を築いて来た人たちをスパイするなんて、宗弥じゃなくても困惑しただろう。


 

 宗弥の心労はいかばかりか・・。しかし、任務には忠実でありたい。その心情は手に持つロウソクがてらす、かすかな光を頼りに薄明かりの中、切り立った尾根を歩くような心持ちだった。踏み出した足の着地点が数㎝ズレれば、り所として来た人たちとの関係が、崩壊ほうかいしかねないと考えれば、恐ろしかった。



 要はそんな宗弥の苦悩に、気付いていたが黙っていた。特殊戦群の隊員は高度な感情調整を受けている。強固な自制心をも身につけてもいる。自分の戸惑いや苦悩を感知されていたと知ったら、宗弥のプライドは大きく傷つく。だから、要は何も言わない。



 加えて、要は宗弥を大学時代から知っている。実に人間臭いユニークな言動を取りながらも、宗弥は人を尊重し、誠実で献身的だ。医師を目指して国防大の医学部に入学し、邁進して、事実、優秀な医師になった。人格者で、強い意思を持つ男。それが宗弥だ。自己で乗り越える。要はそう信じて疑わない。



 問題は己だと、要は思っていた。



 今回アルファーは宗弥のプライベートに足を踏み入れる。事によっては土足でだ。そこまで必要と思えば、これまで躊躇ちゅうちょなくそうしてきたが、、、今回は、、、宗弥の家族といってもいい。緻密ちみつな判断と行動を自分に要求したいが、いかんせん僕は愛を知らない。デリケイトさはあるかと聞かれれば速攻で、そんなものは持ち合わせていないと断言できる。そんな自分が指揮をると思えば不安がつのる。



 それに一旦いったん作戦に入れば、心のスイッチは自然とONになり、私情など一切、感じず、任務遂行のみに全てをかたむけてしまう自分がいる。気をつけなければ、最も重要な監視対象者は宗弥が一途に気持ちを寄せ、崇めるように愛している盾石富士子だ。



 その富士子がユートピア国と内通している可能性も考えておかなければならない。自分の目で富士子を見ていない今、その疑念は払拭ふっしょくできていない。もし富士子が内通していれば、宗弥をはずしたアルファーで事を沈めてしまわなければならず、今の段階でそこまで考慮済こうりょずみと宗弥にバレれば、宗弥との軋轢あつれきを生み、チーム内と作戦進行はギクシャクとしたものになるだろう。



  親友の近親者と任務をびた接触。


  準備期間のない急ぎ仕事。


  身を表にさらしての任務。


  掴めていない敵の動向どうこう


  国内での作戦進行の難しさ。


  特戦部隊の内密性の維持いじ



  この作戦には不確定要素が多く、いつもと匂いまでもが違う。



  あげればキリのない理由が、要を不安にする。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ