その1
「田中くん、こっちに来てくれ。」
「あ、はい。」
急に呼び出された僕は、今、委員長と、人気がいない旧校舎の教室に二人きりでいる。
「で、委員長。要件ってなんですか。」
「あの、、私の飼い主になってほしい!」
「えっ、、、もう一度言ってもらっていいですか、」
「だから、私の飼い主になってほしい。」
「えーと、委員長、一旦、落ち着いてください。」
「私はいつでも落ち着いているぞ。」
「いや、その発言からして、落ち着いているようには見えないですけど。というか、『飼い主になってほしい』というのはどういうことですか、」
「そのままだ。」
「いやっ、ちょっと待ってくださいね、もしこれを了承したら僕が、委員長の飼い主になると、」
「そうだ。」
「いやいやいや、ダメですよ。」
「私は、全然いいぞ。」
「いや、そういう問題じゃなくて、僕の精神的な面で問題があるんです。」
その後、委員長命令ということで、委員長の飼い主に仕方なくなった。
これから、どうすれば良いのだろうか、、、
翌日、放課後、委員会があるわけでもないのに委員長にまた呼び出された。
昨日と同じ教室に行くと、そこには信じられない光景が広がっていた。
「ちょっ、いや、、委員長!何で犬用の首輪をして、、、昨日からどうしたんですか?」
「この前に、テレビを見ていて、これをしていたんだ。田中、早速昨日の続きをするぞ。」
「えーと、委員長、これはどうすれば良いんですか?」
「お前の好きなようにに扱っていいぞ。」
「いや、そういうわけにもいかないんですけど。」
「田中、遠慮する必要なんてないんだぞ。さあ、お前が好きなようににしてくれ。」
「いや、これは遠慮しますよ!ここは人通りが少ないですけど、一応学校ですから。」
「学校の外だったらいいのか?」
段々、委員長の機嫌が悪くなってきている。
ここは少し妥協するか。
「まあ、多少はですけど、」
「本当か!」
「まあ、はい」
「それだったら、今すぐ学校から出よう!昨日からずっとうずうずしていたんだ!」
「委員長、少し落ち着いてください!」
委員長に無理矢理連れ出されて、学校の前にある公園に来た。
「田中、ここだったら良いだろう。」
「いや、全く良くないですよ!こんな、人に見られるところでしていたら、」
「そ、そうか、、、」
「もっと別の場所を探しましょう。」
「うん、そうだな。」
学校から少し離れたところにある、人気のない川沿いの神社に来た。
「ここだったら良いんじゃないか、田中。」
「まあ、人気もあまりありませんですし、大声を出さない限りは、見つからないと思いますけど。」
でも、他の人からしたら、怪しいと思われるな。
「委員長、あの、なにかトラブルがあったら、委員長が責任とってくださいね。」
「おう、もちろんだ。よし、それじゃあ始めるぞ。」
「は、はい。」
(いざとなると、緊張するな、、、)
「、、、で、何をすればいいですか。」
「田中に好きなようにすれば良いんだぞ。」
「え〜、、、それじゃあ、委員長は何が良いですか?」
「田中がしたいことだったら、何でも良いぞ。」
「、、、だったら取り敢えず、頭、撫でても、良い、ですか?」
「いいぞ、好きなほど撫でてくれ。」
「じゃ、じゃあ、」
ぽん、
(なんだろう、硬いけど、どこか柔らかさというか、温かみを感じる。)
優しく、僕は、委員長の頭を撫でた。
「はぁ、はぁ♡」
「い、委員長?あの、なんて言うか、凄く気まずいんですけど、、、」
「私は構わず、お前の好きなようにしてくれ。」
「あ、あのですね、委員長、そういう問題じゃなくて、なんか罪悪感をとてつもなく感じるんですけど。」
「私がOK出しているんだから、大丈夫だって!あと、私の呼び方は呼び捨てにしてくれ。」
「えぇ、いや、ちょっとそれは無理です。」
(駄目だ、精神的に耐えられる気がしない。これは早めに言って帰らせもらった方がいいか。)
「あの、ちょっとしんどいので、帰っても良いですか?」
「お願いだ、もうちょっとさせてくれ。」
そう言って頼んできた。
すごくかわいいかった。
少しだらしない感じがいつものしっかりとしているイメージとのギャップでさらに増してかわいく感じたんだと思う。
そのかわいさが僕の煩悩を突き刺した。
僕はもう少しいることにした。
翌日、僕は体調を崩して学校を休んだ。