第55話 結界崩壊
その頃、隣の街ではリアたちが戦っていた。
「おい、結界が壊れてるぞ!!」
「フェノン!! 嘘だろ!!?」
リアはその場から離れようとするが風紀委員長に止められた。
リアが今この場を離れるとこの街での戦闘はとても苦しいものになる。現にクラスメイトたちの体力も魔力も尽き始めている。
魔力の消費無しで強力な魔法を使えるリアの存在が現状を保っていると言っても過言ではない。
「フェノン……どうか無事で居てくれ……!」
そしてもう1つのクルミさんが守っている街もわたしの街が見えていたので結界が消えたことに気づいた。
「フェノンくん……!」
「フェノン様、生きててください。すぐに終わらせます!! 早く片づけるわよフロウ!!」
「ようやく名前で呼んでくれたな! おう! 任せろディアナ!!」
フロウの剣が魔物を一掃していく。近くにいる魔物だけでなく、空気の超振動でより遠くにいる魔物まで倒していった。
「『ゼロ・インフェルノ』!!!」
ディアナの最大戦力である虚魔法。
その波動に触れたモノは跡形もなく全てを消し去る。
この魔法でクルミさんのチームは魔物たちを全て除去した。
「フェノン様!!」
「フェノンくん!」
ディアナとクルミさんはわたしたちの街に向かって走り出した。
そしてわたしの結界が破壊された直後のこと━━━━━━
わたしが外に飛び出すと、外に居た魔物たちが街の中にまで入ってきた。
住民たちは何かを察していたようで、街の中央にある冒険者ギルドに避難していたようだ。
『グルゥア!!』
「きゃっ!?」
「危ないっ!」
突然と迫ってきた魔物に押し倒されて食べられそうになった瞬間にこの街の冒険者さんがわたしを助けてくれた。
「早く逃げろ!」
わたしはエリーと冒険者ギルドに向かう。
「こっちだ! 急げ!!」
男の人がギルドから身体を出して手を振っている。
わたしとエリーは頑張って走るが、後ろから迫ってくる魔物の方が速く、追いつかれる。
わたしは魔力強化でエリーを冒険者ギルドの方に投げ飛ばした。
「フェリナスちゃん!!」
「ダメだ! 間に合わねぇー! 嬢ちゃん入れ!」
「フェリナスちゃーん!!!」
わたしが魔物に押さえつけられるのと同時にエリーが冒険者ギルドの中に入れられるのが見えた。
「エリー、よかった……」
ごめんね……みんな━━━━━━
「うおおおおおおおおおおおおっ!!! おらぁぁぁぁぁぁ!!!」
わたしを捕らえたはずの魔物がいきなり真っ二つになった。
「なんで……あなたが……?」
「自分の領民も守れない領主なんているわけがねぇだろっ!!! ここは俺様の領土だ! 誰一人として悲しませることは絶対にさせねぇ!!!」
わたしの目の前には1本の剣を構えた青年がいた。
わたしは剣を構えた青年の横に立ち、魔力を放出して宝石の大剣を作る。
「このタイミングで来るのは卑怯ですよ。元生徒会長さん……」
「元生徒会長じゃねーよ。俺様はアストだ! アスト・ルーズベルト!! 覚えておけ! フェノンフェリナス!!」
わたしとアストは剣を構えて走り、魔物たちを切り倒していく。
いくらわたしが剣を使えないとはいえ、振り回したりすることぐらいはできる。
型とかは一切わからないので、あとはごり押し。
「はあああああああああああっ!!!」
「うおりゃああああああああっ!!!」
ひたすら魔物たちを駆除して街の外にいるクラスメイトたちと合流するためにアストと街道を走る。
「疲れたならギルドに休んでていいんだぞ?」
「うっさい!! ヒトの気も知らない━━━━でっ!!」
わたしは大きな1振りで近寄ってきた魔物を倒す。
さすがに大剣は重くて疲れる。けれど、普通の剣では大剣よりも遠心力が少ないので、火力に欠けてしまう。自分の身体が3歳に戻っているのを考えると力はそんなに出ないだろう。
それに制服から着替えてないので、服が弛くて動きにくいのにも原因があると思う。
「もうすぐ外だぞ!」
「わかってるよ!」
わたしとアストは外に出るとクラスメイトたちがかなり圧されていた。
美紀ちゃんとか欠損部分はないものの、ボロボロだった。
そしてオークが美紀ちゃんにトドメを刺そうと金棒を大きく振り上げた。
「危ないっ!!」
わたしは残された体力で一気に加速してオークを切り裂いた。
「はあ、はあ……放て!!」
体力を使い切って、その場に座り込んでしまったわたしは大剣を魔力光線に変換して近くにいた魔物を処理する。
「フェノンさん!?」
「先生、まだ終わってません……よ━━━━」
体力が尽きてしまったわたしはその場で倒れてしまった。
「おいっ!? しっかりしろ!! フェノンフェリナス!!」
明日だけ更新は22時ぐらいにさせてください! というか22時ぐらいにします!