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第50話 【悲報】王子はロリコンだった


 わたしがベッドから立ち上がろうとすると王子に押し倒された。



「……え?」

「お姫さま、ごめんね。ボクはこのままキミを帰すつもりはないよ」



 そう言って王子はわたしの両手首を掴んだ。

 何故かいつもより力が出ない。それどころか身体強化すらできない。王子が何かしたのだろうか?



「いや!! おうちにかえして!」

「大丈夫さ。キミがボクの言う通りにしてくれればすぐに帰してやるさ。……1ヶ月ぐらい後にね」



 王子は完全に既成事実を作るつもりなのだろう。けど、わたしはまだ7歳。初潮なんてまだない……はず。



「普通ならお子様を妊娠なんてできないから安心してるようだが、ボクには必ず相手を妊娠させる魔法が使える。そんな安心できる余裕なんてない。この時のためにボクはキミのことを調べ上げたんだからね?」



 必死に暴れて抵抗しようとするけど、思うように力が入らない。

 それどころかいつもより体力が尽きるのが早くて、息が荒くなってくる。



「魔法学園ルーズベルト領の生徒会長で好きな食べ物はお団子、嫌いな食べ物はピーマン。親しい友人が二人とご主人様が1人。キミは奴隷のようにこきつかわれ、からかわれているようだ」



 確かに間違ってはないけど、クルミさんをご主人様と呼ぶのはやめてください。胃に悪いです。



「授業はほぼサボり、けれど成績は上位。これはエリシュオン家のメイドの指導。

 そして、キミは魔法が━━━━━━使えない」



 非常にイラ立ちを覚えるような言い方でバカにしてくるこのクソ王子。やはり父親と同類のようだ。

 わたしは再び暴れて抵抗しようとするけど全然力が入らず、手を握ることもままならない。



「おっと無駄だよマイハニー。あのお香はエルフの力を封じるお香だからね。キミはただの人間の幼い女の子と同じ力しか出ない。そして魔法も使えないし、魔力強化は本人の力を何倍かにするものだが、元が低ければ意味がない」



 わたしの両手を抑えたまま王子はわたしの制服に手を掛けた。そしてボタンを1つずつ外す。わたしは抵抗することもできずにブレザーとワイシャツを脱がされ、可愛らしい肌着とか細い白い腕がお見栄になる。



「ほう、まだ子どもらしさの(かたまり)のような体型だが、これはこれでいい……」



 【悲報】 カルロス王子はロリコンだった


 本日午後5時頃、ゴールランド王国王都王城にてカルロス・ゴールランド王子が『まだ子どもらしさの塊のような体型だが、これはこれでいい』などと供述したことが明らかになり、これに対してカルロス王子は『ボクの性欲はトップギアだぜ!』等と供述し、容疑を認めたそうです。



 何かイヤなニュースが頭の中をよぎった。すると王子はわたしに手を出してきた。



「ようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょようじょ


 よ~うじょ~♪ さ~い~こ~う~♪」



 かつてないほどにまで鳥肌がたった瞬間だった。

 わたしは涙目で必死に抵抗して、声を上げようとするも、声すら出なかった。



「ではそろそろフィニッシュに参るとしようねぇ~? ボクの愛しのフィアンセ?」

「ーーーーっ!!」

「え? 何言ってるか聞こえないなー? ほらもっと叫んでみてよ」



 わたしはもう涙を流しながら誰かを呼ぼうと声を上げようとするも声が全く出ない。



「ーーーーっ!! ーーーーっ!!」



 その時、わたしは気づいてしまった。

 そもそも声を上げた所で誰が助けてくれるのだろうか? 

 この城は全員が敵。ナタリーたちは屋敷で待ってるし、ここに来るまでは1週間を要する。1番可能性があるお母様は疲れて宿で眠っている。

 お母様は普段寝てないことが影響からか、一度寝ると1日丸々寝ることが多いので、おそらく今も惰眠を貪っているだろう。

 わたし、超ピンチ。というかオワタ……



「ではごかいちょーー!!!」



 王子はわたしのスカートを捲り、わたしのくまさんがこの世界に降臨してしまった。

 正直なところ、超絶恥ずかしい……クルミさんの羞恥プレイとか比にならないぐらい恥ずかしい。



「~~~~~~っ!!!?」

「くまちゃんかわいいねー? でもキミもこれで終わりだ。ジ・エンドォーーーーーー!!!」



 その時、部屋の扉が勢いよく開いた。

 そして、そこには1人の男が立っていた。



「おいお前! なにしてる!?」

「これはこれは勇者様、何って婚約者との楽しい時間を過ごしてるだけですよ」

「黙れこの野郎」



 清々しいほどの見事な蹴り。クソ王子はそのまま壁にキスした後、床にキスをした。



「大丈夫か!?」

「……っ! ーーっ!」

「もしかして喋れないのか? それに立てないのか?」



 わたしの様子を見ただけで全てを理解してくれた少年。彼こそが石塚くんを支えている副リーダー的存在。その名も石原くん。彼についた二つ名は『石塚の相方』。実にしょうもない二つ名だが、彼は表面上は否定してるが、実は結構気に入ってる。


 何故なら、彼はホモだから━━━━━━━━


 これはクラスの共通認識であり、試しにイタズラで男女が協力して石原くんをラッキースケベラッシュに嵌めてみたのだが、女子が全力を尽くしても石原の石原が大きくなることはなかった。

 ところが石塚くんでやってみると石原の石原は覚醒してしまった。


 これにより、石原くんがホモであることが証明されてしまったのだ。



「このお香だな」



 石原くんがお香を壊すが、すでにお香の成分は部屋中を漂っているので意味がない。

 石原くんはわたしに乱雑ではあるが、服を着させて帽子を被せると、わたしを抱っこして王城の外へと逃げ出した。



 ジ・エンドォー!→ 扉開く → 黙れこの野郎


 実はこの流れが気に入ってます。

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