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第39話 リアとエリー


 あれからわたしの労働時間は一気に減った。そして休日を部屋で優雅に過ごすことが出来るようになった。けど、お団子がないので、お団子を買いに行くために学園を出ようとすると、校門前の売店に見覚えのあるお団子屋さんがあった。



「お団子~お団子いかがですか~」

「みたらし3つとあんこ1つください」

「フェノンちゃん、いらっしゃ~い。銀貨1枚ね~1つサービスするよ~」



 なんとツバキさんは端数を値引きしてくれた。わたしは銀貨を支払って、お礼を言った。



「気にしないで~それよりだいぶ疲れた顔してるね~ゆっくり休んでね~。あっ、これリアに上げといてくれる~?」



 わたしはツバキさんからパックに入ったお団子を受け取った。



「わかりました。お団子ありがとうございます」

「また来てね~」



 わたしはお団子を持って寮に帰った。



「リア、これツバキさんから」

「ありがとな。……ホント、今日はゆっくり休みな」



 リアが凄い憐れみというか同情というか、そんな目でわたしを見てくる。



「え? わたしそんなに疲れた顔してる?」

「かなり疲れた顔してる。とりあえず座りなよ。お茶淹れてやるから」



 わたしは座布団に座って早速お団子を頬張る。



「おいしい……」

「そっか。俺も久しぶりに食べるとするか」



 リアとゆっくりお団子を食べた。リアはお団子を食べ終えるとちょうど部屋に戻ってきたエリーを誘拐して部屋を出ていった。何も考えないでゆっくり休めという意味らしい。



「せっかくだから寝かせてもらおう……」



 わたしは袴から寝間着のワンピースに着替えて布団に入るとすぐに眠くなって、寝てしまった。恐らく相当疲れていたのだろう。




 一方その頃、リアとエリーは学園を出て街にいた。二人はわたしへのサプライズプレゼントを探しているようだ。



「リアちゃん、こういうのなら女の子に人気だからいいかもよ?」



 エリーの見せたのはとても可愛いらしいプラスチックの宝石の形をしたストラップ。



「やっぱりエリーはその程度のようだな。フェノンが好きなのを理解してない。フェノンが好きなのはこういうのだ」



 しかし、リアはエリーの意見を否定した。そしてリアが見せたのは(いか)つい感じでギラギラの腕輪。なぜこの対称的な2つが同じ店にあるのかはおいておくとして、エリーはリアを無視して自分だけでプレゼントを選ぼうと心に決めたのだった。

 そしてリアから離れて探していると1つのストラップを見つけた。



「あっ、このストラップ……」



 エリーが見つけたストラップはお団子のストラップだった。わたしの大好物がお団子であることを思い出したエリーはそれを購入することにした。

 けれど、それだけでは予算が遥かに余ってしまう。当初の予定の十分の一ぐらいしか使ってないのだ。エリーはこの日のために自分の食費を節約していたのだ。毎晩凄い(やつ)れた顔をして帰ってきて、翌朝1番に部屋を出ていくわたしに何かしてあげたいと思った。ストラップ1つでは到底足りない。


 そんな時、エリーの目に映ったものが1つだけあった。



「フェリナスちゃんって寝る時ワンピースだからこういうの持たせたらかわいいよね? よし、これにしよ!」



 エリーはその購入すると決めた2つを会計へと持っていき、購入した。



 そして、エリーがお団子のストラップを決めたその頃、リアはギラギラしたモノが置いてあるゾーンにいた。



「おっ、これとか喜びそうだな」



 リアが手に取ったのは釘が刺さったバット、怪しげな白い粉、たばこ。絶対にわたしが喜ばなさそうなものをチョイスしていく。



「これください」

「子どもには売れないの。ごめんね」



 店員さんがリアに商品の購入を拒否した。一応この国にも法律的なものは存在する。リアは購入出来ず、他のものを探すことにした。



「おっ、チャリだ。でもフェノンには不要か。自分で走った方が速いもんな」



 店頭にあった自転車を放置して他のものを探す。この世界に自転車があることに少しぐらい反応するべきである。



「そういえばフェノンって箸持ってなかったな。これにするか」



 リアが箸を手に取ると、反対側に白いベレー帽が見えた。



「……帽子か。フェノン銀髪だからこれもいいかもな。あとはコウモリのヘアピンと黒いブレザーにチェックスカートを……」



 コウモリの形をしたヘアピン等を探し始める。今のリアは完全にネタに走っていた。もう完全に「わふー」とか言ってるあのキャラのコスプレをさせようとしている。


 それから時間が経ってリアとエリーは買い物を終えて部屋に戻った。







「フェノン寝てるか?」

「おか……え……り……」



 わたしは顔を凄い赤くしながら、床に倒れていた。



「フェリナスちゃん!?」

「リア……床って冷たくて気持ちいいね……」

「言ってる場合か! さっさと寝てろ!」



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