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第26話 生徒会長のお仕事 2


 聞き込みから学園に戻るなり、わたしはすぐに先生の元に向かった。



「図書館を有料にして一般市民にも入館させるか……生徒たちはどうするんだ? 有料にされたら困るんじゃないのか?」

「大丈夫です。生徒には身分証明書があります」



 わたしはそう言いながら入学式の日にもらった1枚のカードを見せる。例の出席確認を取るヤツ。



「それを使うわけか……確かにそれには顔写真もあるし良いかもな。暇だから書類は作って置く。お前は残った仕事をしろ」



 わたしの先生への目線は一気に底冷えたものへと変わっていった。



「先生、暇なんですか? 暇なのにわたしに全部押しつけたんですか?」

「いや、これはその……あーと! さっきのテストの返却が残ってたー!! 答案用紙を返却しないとなー!」



 見苦しい言い訳をしながら先生は逃げていった。そして取り残されたわたしは諦めて生徒会室に戻って行った。



「ルールが変わればその詳細も教えないといけないから学園と図書館の掲示板に貼るとして、身分証明書の更新も必要だからそこはお金取って、再発行みたいにすればいいから、あとは掲示板に貼る紙の作成だね」



 まことに残念ながらわたしにそういった書類作成の知識はない。ここはリアにでもやらせよう。元を正せば全部リアのせいだし。

 すると生徒会室の扉が開いた。



「フェノン! お昼にしよーぜ!!」

「リア!!」



 生徒会室に入ってきたリアとエリー。本当にタイミングが良くて助かる。

 わたしは聞き込みのついでに買ってきたおにぎりを取り出して食べる。リアとエリーは購買でパンを買ってきたみたいで、それを口に運んでいた。

 食べる際についでに今日あったことを話した。



「つまりフェノンじゃ書類が作れないから作ってくれということでいいのか?」

「うん、広報の奴らマジ使えないから」



 端の方でダメージをもろに受けてるのがわかる広報部の生徒たち。

 だって試しにやらせて見たけど、「領主の息子サイコー!」としか書かないから必要なことも伝わらない。ハッキリ言って邪魔だと思う。本人たち曰く元生徒会長(へんたい)に洗脳されたらしい。



「それで本当に制服作るのか? デザインは?」

「高校のデザインをパクって色を変えてあとは微調整」

「まあ、安定だな。フェノンのことだから変なデザインにするかと思った」



 まるでわたしが変なセンスを持ったヤバいヤツみたいなことを本気で言ってくるリアとそれに頷くエリー。



「わたしをなんだと思って……まあ、そっちは頼んだよ」

「ああ、任せろ!」

「私も出来るだけ力になるからね?」



 エリーが手伝ってくれるのはありがたい。リアだけだと何を仕出かすかわからないから助かる。

 お昼休みが終わって教室に戻った二人。それと同時書類が完成したらしく、それを持ってきた先生。



「うん、お金の経緯もこれで大丈夫。サインするんでしたっけ?」

「ああ」



 生徒会長の枠にサインして校長先生の許可を貰ったあとで返却するように頼んだ。その書類は校長先生を通った後、領主に行くらしい。その間にわたしが少しおじゃまさせてもらう。



「とりあえず制服のデザインでも考えようかな?」



 わたしは裏紙に元となる制服のデザインを描いて、色を考える。ブレザータイプだとどうしても黒っぽくなってしまう。とりあえずスカートは短くしたい。理由はリアのミニスカートが見たいから。



「スカートは白でいいかな? 逆にズボンは黒にして……」



 試行錯誤すること二時間ぐらい。遂に完成した。

 男子は黒いズボンに白のブレザー、赤のネクタイ。セーターは黒。

 女子は白いスカートに白のブレザー、リボンは赤か青で、セーターとベストは茶色。女子はセーターかベストの着用を必須とした。


 白の理由は生徒会長のみが羽織れるクソダサい柄のマントみたいなのがあって、それが白いから白。これで学園内を通してもらって、領主に渡す時にスカート丈は膝より10cm以上短くするというものを加筆する。

 この学園の女子はみんな短いスカートしか履かないのでリアと一部以外からの反対意見は出ないだろうし、どうせ領主も変態だろうから通らないわけがない。



「過半数って強いわぁー」

「そ、そうか。フェノンフェリナスの趣味がガッツリ入った制服だな。そもそも制服なんて王都の一部でしか存在しないのに何で採用するんだよ」

「先生、わたしの趣味はありません。あるのはわたしの欲望だけです」

「もっとダメなやつじゃねーか!! でも確かにアイツは女子の癖にズボンだからな……」



 先生の顔は少し変態染みているような感じになっていた。恐らくミニスカートのリアを妄想してるのだろう。



「先生、あとはこれと一緒に領主に出してください」

「校長先生ならこんなことしなくても許可出すと思うぞ? 校長先生、いつも街から離れてるからいつでもサイン出来るように自動サイン魔法具なんてもの作って校長室に置いてあるからな」



 なぜかそんなことをペラペラと喋る先生。それは先に言って欲しかった。というか自動でサインしちゃダメでしょ……



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