第20話 ルームメイト
目を覚ますとリアと先ほどの事件の犯人だと茶髪思われる茶髪でツインテールの女の子がわたしを覗いていた。
「さ、先ほどはすいますんでした!! だ、大丈夫ですたか!?」
茶髪でツインテールの女の子が凄い過剰な反応でわたしを心配してくる。第一印象はそそっかしい子。
「うん、だいじょうぶ……とりあえず自己紹かいっ!?」
「あたっ!?」
起き上がろうとした瞬間に女の子が顔を出してきたので、お互いの頭がぶつかって二人で頭を抱えてうずくまった。
「お前ら仲良いな。さっさと自己紹介しろよ。俺は先にしといたからさ」
「う、うん……わたしはフェノンフェリナス。フェノンって呼んで」
軽く自己紹介するとリアが変な顔をしていた。
「フェノンってそんな名前だったのか。ずいぶん長いな」
本名言えばもっと長いけどね。それにリアだって本名どうせ長いでしょ?
すると女の子はようやく回復したのか自己紹介を始めた。
「えっと、わ、私はエリーといいます! よ、よろしくお願いするどすえ!!」
めっちゃ忙しそうな自己紹介だけど、わたしの思ったことは1つだけだった。
「それはボケ?」
「え? フェリナスちゃん何を言ってるんですか?」
わたしのことをそう呼ぶとは……しかもこの娘自分の「どすえ!!」に対して疑問を抱いてないし。
「フェリナス、コイツ天然だな」
「リアまでそっちで呼ばないでよ!? とりあえず荷物整理するから荷物出して!」
「ほらよ」
リアはわたしの服とかが入った箱を全て取り出して床にドサドサと落とした。
「怒っていい?」
「却下」
「じゃあゴブリン行き?」
「悪かった。謝るから許してくれ……」
その場で正座をしたリアは手を前に出して頭を床に擦りつけた。その様子をベッドに座ったわたしが上から目線でリアの頭に足を乗せた。
「……うんちぶりぶり」
「◎$♪×□△¥●&#$△!!!?」
リアが発したそのセリフに羞恥のあまり意味のわからない言葉を発し、リアの頭を踏みつけて反対側の二段ベッドの布団にズボーと入った。
「リ、リアちゃん? これは……?」
「フェノンの悲しい過去だ。あまり触れないでやってくれ」
「う、うん、わかったよ!」
布団の上から優しく撫でてくるエリー。その優しさが逆にツラい。
わたしは恐らく布団の中で顔を赤くしながら、酷い顔で泣いているだろう。もしナタリーが今のわたしを見たら屋敷中に響くぐらい大騒ぎするだろう。
「フェノンの復活はしばらく無理そうだな。悪いのは俺だし、フェノンの荷物整理してやるか」
それからリアはわたしのために二段ベッドの片方を空間魔法に入れて、そのスペースに屋敷から持ってきた和室セットを置いて、わたしの袴やパジャマのワンピース、授業で使う体操着などをクローゼットにしまっていった。
クローゼットは部屋に4つあってそれぞれ部屋の奥にある。
「リアちゃん! ワンピースはハンガーにかけるの!」
「そ、そうなのか……ところで袴はタンスにしまっていいのか? フェノン、袴はどうする?」
「ぐすん……知らないからハンガーにかけておいて。ぐすん……」
リアは袴を綺麗にハンガーにかけていく。さっきから見えてないけど、この辺は音で判断してる。
それから時間が経つこと2時間後。わたしは遂に復活して布団から出た。
「やっと出たか……」
「誰が原因だと思って……」
「……俺だな。ごめんな」
少し時間を置いてからリアが謝った。少しばかりリアの気遣いを感じた。
「じゃあ夕飯食べに行こうぜ」
「そ、そうだね……エリーも行くでしょ?」
「はい!」
エリーが自分を誘ってくれないかとソワソワしていたので誘って見ると笑顔でついて行くと答えた。
そしてわたしたちは女子寮にある食堂へと向かい、食券の販売機の前に立ったところで止まった。
「おかね……? リア持ってる?」
「ない」
マジですか……お金ないと買えないなんて聞いてないんだけど?
「一度帰って取ってくるよ」
「お願いします! 持ってきてください!!」
自分が女子であることを忘れて公衆の面前で土下座するリア。こうなるとわたしが悪いみたいになるからその場でエリーを差し出して逃げた。
この時、エリーはまだ王女様と呼ばれるようになるとは思っても居なかった。そしてそれが金髪縦ロールの怒りを買うことも……
校舎を抜け出して身体強化で屋敷に戻ったわたしはナタリーに頼んで、取り敢えず夏休みまでの分のお金を用意してもらった。しかし、貰った額ではあまり贅沢出来ないので、毎日安い食事となるだろう。
そして屋敷を出てすぐに学園へと戻った。するとエリーが「王女様!」とか言われて、食堂にいた全員が跪いていた。
「なにこれ? 宗教?」
「ハッ!? それよ! これは宗教! 今日から我々はエリー教とします! エリー様に誓いを!!」
土下座1つでここまでの信仰心を得られるとは……さすがエリー。どこかのジジイとは訳が違う。
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