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第14話 フェノン、4歳になる


 今日もディアナに魔力操作を教えてもらっている。剣術は諦めた……というか諦めろとフロウに言われたので、お母様に言いつけたらフロウは3日間皿洗い当番に任命されてた。


 まあ、わたし自身も剣術は無理だと理解していたのでちょうどよかったと思う。



「今日は『威圧』というのを軽くやって、『身体強化』を学びましょう」

「うん!」

「まず威圧というのは魔力を相手にぶつけることで立場を分からせることですね。あそこにフロウがいるのでおもいっきりぶつけてみましょう」



 フロウ、ごめん。ちょっとだけだから耐えてね?



「ヌラリヒョン!?」



 フロウの反応毎回気持ち悪いんだけど。なんとかならない?



「フェ、フェノン様…………けて……」



 フロウがわたしに何かを必死に伝えようとする。わたしはフロウの意図をくみ取ることに成功した。



「わかった! 一思いにやってあげるから!」

「ちょっ……ちがっ……」



 フロウの顔色が青くなり、泡を吹いてるのが見えたので開放すると、フロウはその場に倒れた。



「よくできました。威圧に使い道なんてほとんどないので、次は『身体強化』をやってみましょう。いきなり全部とかは難しいので、まずは足からやってみましょう」

「うん!」



 ディアナの魔力が足下を中心に集まってきてるのを感じた。

 するとディアナの足が青白く光った。



「これが身体強化です。試しに跳んでみると━━━━」



 ディアナが練習場の屋根に当たらないぐらいの高さまでジャンプした。



「こんな感じです。フェノン様、ここでは危ないので、まずは外に行きましょう」



 確かにわたしの魔力だと天井突き破る可能性あるからね。

 わたしとディアナは例のお花畑に出た。もうわたしの魔力暴発による宝石は消えていた。お母様が何かしたのだろう。



「では魔力を足に集中させてください」

「んいっ」



 魔力を少しずつ足下に流していくすると青白い光がわたしの足を包んだ。



「少し跳び跳ねてみてください」



 軽くジャンプしてみる。



「ほわっ!?」



 もしエベレストに登ったのならきっとこんな感じなのだろうと思わせてくれるほどの高さまで跳んでいた。

 着地どうしよっか……? よし、やっぱりアレしかないよな。



「フェノン様、降りて来ませんね」

「もしかしてアレじゃありませんか?」

「ナタリー受け止めて!!!」

「ええっ!?」



 自由落下で落ちてくるわたしをナタリーは風魔法を上手く使ってキャッチした。



「ナタリーナイス!」

「ナイスじゃありませんよ……」



 この日の練習はこれで終わりとなり、夕食の時間となった。



「フェノン! お誕生日おめでとう!!」

「ありがとうございます。おかあさま!」



 今日はわたしが4歳になる誕生日で、テーブルの真ん中には食べきれないのではないかと思わせるぐらいにまで大きなケーキが置いてあった。



「ヒツジ、アレを」

「フェノン様、こちらを」



 ヒツジがわたしに箱を持ってきた。



「これは……?」



 箱を開けると中には着物が入っていた。



「フェノンって和国のモノが好きでしょ? だからね?」



 別に好きというわけでは……でも━━━━━━



「…………ます」

「フェノン?」

「ありがとう……ございます……」



 気づいたらわたしは涙を流していた。お母様は優しくわたしの頭を撫でてくれた。



 それからしばらくして、わたしはナタリーに手伝ってもらって、着物に着替えた。



「フェノンかわいい!! ヒツジ! 撮影機よ! 撮影機!」

「こちらに」



 ヒツジがお母様にカメラらしきものを渡すとお母様はここまでいる? と思うぐらいレベルで大量に撮ってくる。



「フェノン、ちょっとこれ持って」

「?」



 お母様はわたしにお団子を渡してくる。わたしがそのお団子を食べると、お母様はこれみよがしに写真を撮る。



「次はフェノンにこれを持たせて……じゅるり」

「「「「エマ様おやめください!!!」」」



 ヒツジたち全員が息を揃えてお母様を止めてた。一体何を持たせるつもりだったのだろうか……?



「フェノン様、ケーキ食べましょうか」

「んいっ」



 ナタリーがケーキを食べやすいサイズにカットして、わたしの口に運ぶ。



「おいしい! ナタリーも食べてよ!」

「そうですか。ですが……」



 ナタリーのにケーキを押し込んで、無理やり食べさせる。



「わたしが良いって言ってるんだからナタリーも食べる!」

「むぐっ!?」



 ナタリーに喋らせる暇を与えることもなく、ケーキを押し込んでいく。



「フェノン様、ナタリーが苦しそうですよ」



 ヒツジに言われてナタリーを見ると口の中がケーキでいっぱいになっていて、とても苦しそうにしていた。



「あっ、ごめん……」

「ふぃへ、ふぃにふぃはひでふははい」



 何を言ってるのか分かりにくいけど、もっとケーキをくださいってことかな?



「はい、あーん」



 ナタリーにケーキを与えようとするとナタリーは顔を青くしてわたしから離れた。



「エマ様、もしかしたらフェノン様はエマ様の望んだ通りに育ってしまうかもしれませんね」

「でしょ? 私が育てたのよ! 早くフェノンに罵られたいわ」

「ホント、頭も良くて、武力で横に並ぶ者など居ないのにどうしてこのような性格なのでしょうか?」



 お母様、全部聞こえてますよ。そういうのは別の部屋で話してください。


「フロウ、あーん」

「もう、無理っす……」

「ふっ、ぶざまね……」

「お前も一緒だろ……」



 フロウとディアナはケーキでお腹が膨らんだまま、その場で倒れた。



「ナタリー復活?」

「ひっ!?」



 この日を境にナタリーはケーキが食べられなくなったらしい。


 うん、なんかごめん……



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