第6話 一人目のやばそうなボスとの戦闘が始まった件
「やったか・・・?」
どさっと倒れ、動かない獣人の屍を見ながら俺は呟いた。その瞬間、ドンっ!という音とともに天井が崩れ、その穴からはリリナが出てきた。リリナは軽快な声で
「お、そっちもやったね〜。じゃあ、最後の一匹だね。」
「は?お前何言って・・・」
「お前ら・・・。やってくれたな。めんどくせえことを。じゃあさっさと殺されてくれ。」
全身に悪寒が走る。振り向く勇気などなかった。これはやばい。細胞がそう叫んでいる。
「リリナ!逃げよう!」
リリナに借してもらった闘技を駆使する。地面を思いっきり叩きつけ、煙幕を張り、彼女の手を掴み全速で逃げようとする。
「何言ってんのよ。倒さないと住民にも被害が及ぶわ。」
そういって彼女は俺の手から放し、敵に体を向ける。
「借した闘技は返してね。」
その時、すっと力が抜け、バランスが保てなくなり膝をついた。
「あいつは凶悪組織BBの上位陣“風”のウィンディゼル。つむじ風からその気になれば巨大な竜巻まで起こせる。」
「じゃあやばいんじゃねえのかよ!」
「生物成長闘技 [ラピッド グロウス] 」
リリナがそう呟くと、彼女の体はまばゆい光に包まれる。その光が収まると、目をこすって彼女の姿を見た。しかし目の前には、あの幼女と同じ暗い赤色の髪色をした美少女しか立っていない。
「おい、、お前」
「この体でないと本気で戦えないの。だから闘技で元の体に戻した。」
「おい、もういいか?待つのも飽きた。」
ウィンディゼルが首や手をパキパキと鳴らして言う。
「いつでも来なさい。そして悠之介、あんたはそこにいなさい。 魔法膜[マジックフィルム]」
「なぜ?」
「・・・・・・・」
黙っているままだ。疑問に思っていると、すでに戦闘は始まっていた。
リリナの手から剣が現れる。
ウィンディゼルがあしらうように手を軽くフッ、っとやると、強い風がリリナに瞬時に向かう。
生物闘技[鳥類 飛行] 彼女の背中に羽が生え、宙を舞う。 生物性能上昇[俊足]
気がつけば彼女は目の前にいない。1秒もしないうちにウィンディゼルの前にいたのだ。リリナは力を込めて剣を振るった。ガキィン!! 巨大な金属音とともに、火花が散る。力の強大さが見てわかる。