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人間から種族:超美少女へ転生し勝ち組人生目指す  作者: 里芋御膳
第七章 幼女神さまの国と科学技術の国
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第九十九話 久々のアーリアさん

 大地と空を埋め尽くす大軍勢。

 我らがエシュリーを筆頭とした、連合軍である。

 地上には銃火器を持つ兵や、妖精族の魔力砲車。

 上空に展開するのは万を超える数の有翼人ルーファレティウスだ。

 向かうは、この大陸最東の港町バグス。この大陸に残された最後にして最大のバーゼルの拠点である。


「大部隊だよねー」


 リンがその情景を見ながらポツリとこぼす。

 わたしたち自身は、そのリンが操縦するスピーダーで大部隊の先頭を飛んでいるわけだ。

 目に見えている以外にも、北はシャルハルバナルの兵士たちが陣を張っており、南からは飛行船団と竜たちの混成部隊が飛んでくることになっている。


「なんかちょっと緊張しちゃうな」


 アリスが神剣に抱き付きながら、そんな心情をもらす。

 今のところリンのスピーダーにお任せ状態なので、うちらに出番は無いけど、先陣を切って敵地に乗り込むという事実に変わりない。

 やっぱ女の子としては怖いわけだ。


「大丈夫だぞアリス。わたしがいるからな」


 アリスを安心させようとしてか、胸を張って大仰に振る舞うお子様のエシュリー。


「うーん、そのセリフをモナカからもらいたかったなー」


 なんかこっちに視線向けられてる。


「わたしがいるから安心だよー」


「安心するー!」


 笑顔で抱き付いてくるアリス。なんだこの茶番。


「ええい! わたしだけでは不満なのか!?」


「エシュリー、そういう問題じゃあないんだよ」


「うむー、そういう問題じゃあ無いのか~」


 アリスの言葉に、納得して無さそうな感じで首をかしげている。


「みんな、もうすぐ到着だよ」


 リンの声に前方に目を向けると、左右に何もなく大きく開けた平野と海との境界線――海岸地帯が見えた。

 そこに大きな港町と、その横に何やら巨大な金属ドームが存在していた。


「なにあれ?」


 元この土地の神様だったエシュリーに聞く。


「あんなものは元々無かった。バーゼルの連中が作ったものだろう。あとで潰しておかんとな」


 エシュリーが歯ぎしりしながら、その金属ドームを睨みつける。

 バーゼルがホント、嫌いなようだ。


「右手から竜族とか来てるね」


 アリスの言うように竜族と飛行船団も丁度近付いてきていた。

 それに気付いたか、金属ドームに動きがあった。

 中央からパックリと割れて開いていく。

 そこから無数の飛行物体が飛んで行き、後を追うように空中戦艦も姿を現す。


「リン! 急いで援護に向かって!」


「あいあいさー!」


 わたしの言葉に答え、スピーダーが加速する。

 あっという間に、うちの陣営とバーゼル陣営の間に割って入れた。


「会ったばかりだけど、全力で行くよー!」


 スピーダーの主砲から四つの光球が撃ち出され、一拍置いて数十発のミサイルも発射される。

 バーゼルの戦闘機に着弾した瞬間、光球は一瞬で膨れ上がり、ほとんどすべての戦闘機が四つの爆発に飲み込まれていく。そこにダメ押しのミサイルが降り注ぐ。


「なんか主砲が四発になってたね」


「うん。シシュポスのかけらを四つ同時に消費して撃ち出すようになったんだ。それぞれの爆発範囲が重なっているから、二発同時に撃ち込んだのと同じダメージを与えるわけ」


「リン……恐ろしい子」


「いやいや、それほどでもー」


 爆発の光が消えた後には、戦闘機は一機も残っていなかったが、二機の空中戦艦はいまだ健在である。

 いつもながら頑丈だ。


「もう一発――」


 リンが発射の合図を口にしたのと同時に、スピーダーの中で揺れが起きたのを感じた。


「何かに攻撃されているようだな」


 エシュリーがそうつぶやく間も、スピーダーは揺れまくる。

 慣性制御が座席に働いているので、正直、どんだけ激しい衝撃かは分からない。


「リン、被害は大丈夫そう?」


「実害はないね。シシュポスの魔力装甲はそうそう破れないし」


「どっから攻撃されているの?」


 アリスが疑問に思う通り、見ている範囲に攻撃を仕掛けてきている相手はいない。

 打ち漏らした空中戦艦は、後続のドラゴン&飛行船団とぶつかり合い始めている。こっちは任せてもよさそうだ。


「下からみたい」


 リンがレーダーの表示を見ながらそう答える。


「なんか言ってるみたい」


 リンがスピーダーを斜め下に傾けてくれたおかげで、地上の様子も見れるようになった。

 その地上には朱色のロボット? みたいなのが立って、こちらに腕のキャノン砲を向けているのだ。恐らくさっきから攻撃してきているのはこいつだろう。


「外部の音を入れるね」


 リンがそう断りを入れると同時、外の大音響が車内に鳴り響く。

 近くでドンパチ空中戦闘やられているのだから、音量がデカくなっててもしょうがない。

 そんな中、ある女性の声が聞こえてきていた。


「モナカー! そこにいるのは分かっている! 早く出てきてわたしと勝負しろ!」


「モナカ、ご指名されてるよ?」


「知り合いなの?」


 うーむ、知った声ではあるが……


「うむ、聞いたことがあるような……」


 エシュリーが腕組みして考え始めた。


「エシュリー、あれってバーゼルの隊長さんでしょ。アーリアさん。忘れたの?」


 わたしの指摘にエシュリーがポンと手を打つ。


「おおっ! そうかそうか、憶えている!」


「ホントかいな」


 懐疑的な視線を向けてみるも、エシュリーはまるで表情を変えない。

 気付いて無いのか、察してくれて無いのか……


「アーリアさんって誰?」


 アリスからの疑問。

 リンも同じように頭の上にはてなマークを浮かべてるみたい。


「アーリアさんも、リンやアリスに出会う前に会ってた人なんだけど、バーゼルの隊長さん――階級は何だっけ? まあいいや、何度か戦ったことがあるんだよ」


 その頃はまだわたしも魔法が使えず、エシュリーも人型の盾以上の戦力にならなかったもんだから、結構苦戦したんだよな。懐かしい。


「あんだけご指名受けてるんだから、大層愛されてるんだねーアーリアさんに」


 アリスがジト目でこちらを伺ってくる。


「うーん……敵同士だったし、勝たなきゃならなかったしねー」


「それでどうする? 行ってみるか?」


 エシュリーにうながされ、しばし考える。


「どういう関係にしろ、久しぶりに会う知り合いだし顔くらい見せなきゃあだよねー」


 剣に手をかけ、スピーダーの扉を開ける。

 潮の匂いの混じった風が車内に流れ込んできた。少し涼しいくらいで気持ちがいい。


「わたしも行くか?」


 エシュリーも立ち上がる。


「そだね。エシュリーも顔見知りだし」


 エシュリーの手を掴み抱き寄せる。


「じゃあ、行ってくるねー」


「行ってらっしゃーい」


「晩ご飯までには戻ってくるんだよー」


「分かったー」


 二人のまったく心配していないお見送りに手を振って返し、一路地上へと向かう。

 高度は二百メートルくらいかな? こんくらいなら魔法無しでそのまま落下しても問題無い。

 エシュリーを抱いたまま自由落下で地上へと一直線。

 不思議と弾丸が飛んでこない。律義に到着するまで待ってくれているのか。


「エシュリー着くよー!」


「ほいきた!」


 大地に足を着くと衝撃が走り、石造りのそこにヒビが入る。

 目の前には朱色の機体が一台。他に周りに装甲車両も兵もいない。


「やはり貴様か!」


 久々の再会なのにアーリアさんから色気のないあいさつが飛んで来た。


「モナカだよー。アーリアさんだよね?」


「女神エシュリー様だーひかえおろー」


「ああ、アーリアだ。久しぶりだなモナカ、エシュリー」


 腕のキャノン砲をこっちに向けてきているが、まだ撃っては来ない。


「元気だった? わたしらは元気だったよー」


「貴様らの話しは山ほど聞いて知っている。まさかそのちっこいのが女神だったとはな」


「ちっこいとか言うな! おっきくなっちゃうぞ!」


 エシュリーの抗議をアーリアさんは無視して話しを続ける。


「貴様らに対する失態で一度は一線を退いたが、今は復帰しこの港町の防衛隊長までになったのだ」


「おお、出世おめでとう!」


 わたしが拍手すると、エシュリーも釣られてか拍手しだす。


「ええい! それはいい!」


 アーリアさんがロボットの腕を振って、やめろと言ってくる。

 自分で出世したと言っておいてこの切り返しは無いわー。


「私が今乗っているこの兵器は今までのモノとは訳が違うぞ。バーゼルの精神科学のみならず、幻魔たちの力で魔法耐性も付与した究極の機甲兵士だ!」


 機甲兵士とやらのキャノン砲に光がともる。


「以前の戦闘力は解析してある! 貴様らでは勝てん!」


 見覚えのある光球が撃ち出される。

 大きく横に飛びそれを避ける。


「その腕ってインパルス砲なの!?」


 えらくコンパクトになったもんだ。


「その通りだ!」


 二本の腕から次々撃ち出される光球を走って避けていく。

 今までのやつは撃ってから次弾までタイムラグがあったのに、こいつは連発してきている!

 けど、こっちもやられっぱなしではない!


「【雷の矢ライトニング】!」


 かざした指先から雷が飛んで行く。

 機械系って雷に弱そうだしこれで!


「無駄だ!」


 直撃を受けているのに特にダメージが見られない。


「ほぼ全ての魔法に耐性があるのだよ」


 これが幻魔の技術とか言ってたやつか……

 一瞬驚いていると今度は機甲兵士の背中から無数のミサイルが飛んで来た!

 こいつも避けようかと動くが、こっちに付いてくる。追尾弾とかめんどくさい!


「【聖なる盾ホーリーシールド】」


 エシュリーの力を借りて盾を展開。

 ミサイルをすべて止める。


「【極大爆破アルティメット】!」


 エシュリーが十八番おはこの最強魔法をぶっ放す。

 さすがにこれには耐えきれないか? 機甲兵士の巨体が後方に吹き飛ぶ。


「これは驚いたが、特にダメージは無い!」


 アーリアさんが叫びと共に、わたしとエシュリーに向けてインパルス砲を撃ってくる。

 わたしは何とか避けて、エシュリーは魔法の盾で防ぐ。


「魔法がダメなら!」


 腰のゴッドスレイヤーを抜き、アーリアさんに向かって走る!


「倒れろ!」


 無数のミサイルが左右上から、二門のインパルス砲が正面から襲い掛かってくる!


「エシュリー!」


「【収束アキュムル】!」


 エシュリーの呪文の対象となったミサイルと光球が上空の一点へと収束し爆発。

 そのままわたしは、がら空きになった機甲兵士の腹にゴッドイーターを突き立てる!


「【魔法解除ディスペルマジック】!」


 エシュリーの魔法で機甲兵士の体が青く輝く。

 効果があったみたいだ!


「【極大爆破アルティメット】!」


 わたしが剣先を起点に放った最強魔法が、機甲兵士の内部で大爆発を起こす。

 元々頑丈でもあるのか砕け散ったりはせず、全体にヒビが入り上下に分断された。

 勢いよく飛び上がった上半身はそのまま自由落下で地面へと激突。数回バウンドして大地へと横たわる。


「やったみたいだな」


「ナイスアシスト、エシュリー!」


 エシュリーに親指を立ててウインクを送る。

 柄にもなく照れたのか、エシュリーは視線を逸らしてうつむいてしまった。


「さてさて、アーリアさんは上半身の中かな?」


 今は動かなくなっているが、念のため警戒しながら近づく。

 目の前まで来てもやっぱり動かない。

 全体的に見回してもハッチみたいな構造が見当たらないので、仕方ないから剣を突き刺して外装を引っぺがす。

 するとコクピットの様なものにいき付き――


「あ、アーリアさんだ……って、気絶してるのかな、これ?」


 久々に生であったアーリアさんは目を回して意識を失っていた。



 空中戦艦との戦いの方もこちらの方の勝利で終わっていた。

 どうも、わたしらが地上で戦っている間、リンたちが加勢に回ってくれていたみたいなのだ。

 地上部隊も到着し、港町の整備が行われた。

 大陸のバーゼル軍勢を一掃することが出来たわけだ。


 残るはバーゼル本島のみ。

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