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人間から種族:超美少女へ転生し勝ち組人生目指す  作者: 里芋御膳
第六章 蒸気機関の国と竜の住む国ときどき妖精の国
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第九十二話 金属神ヤハルタとの戦い その二

「【空間転移テレポート】!」


 エシュリーと一緒に船外へと転移し、周囲を見回す。

 いるかなー? ――あ、いた!


「【空間転移テレポート】!」


 再度瞬間移動して目的の人物の前へ。


「あ、エシュリー様とモナカさん」


 ラグナはわたしたちの姿に気付くと、軽く会釈してくれた。


有翼人ルーファレティウスたちは今は休ませているのか」


「はい。ドラゴンたちの攻撃が突然止み、状況がつかめない為その場での待機を命じております」


 エシュリーの問いにテキパキと答えるラグナ。


「うむご苦労」


「ねえラグナ――」


 アルハト王の裏切りと神ヤハルタ復活の状況を伝えておく。


「人間の分際で我々に歯向かうとは……。全軍で撃滅してやりましょう」


「おお、そのやる気は素晴らしいぞ。わたしも一緒にやってやるぞー!」


 エシュリーがラグナに乗せられてるがちょっと待て。作戦忘れたのか?


「二人ともそのやる気はちょっと抑えておいて」


「モナカさんには何か考えがあるのですか?」


「うん。ヤハルタは手数が多過ぎて少数で相手するの大変だから、ここらのやつをわたしの魅了の力でみーんな支配して総攻撃かけちゃおうかなって」


「おおっ! さいっこーですね!」


「おおそうだラグナよ。モナカの魅了の力は古竜を支配できるほどになっている」


「モナカさんは女神エシュリーの第一信者であらせられるから、その力を強く受けているのでしょうね」


「う、うむ。つまり……お前はともかく他の有翼人ルーファレティウスの兵士たちもいっしょくたに魅了してしまうから――」


「――えっ?」


 ラグナは一瞬意味が出来なくなったらしい。


「ラグナの部下たち全員わたしの指揮下に入っちゃうから、ラグナは一人でがんばってね!」


 可愛く言ったら納得してくれるかなーって、ちょっと人差し指を立ててウインクして見せてあげた。


「あううううっ……ま、まあ……しょうがないですね……ぼっちでがんばりますー」


 周りに万単位で仲間がいるってのに、一人だけ別行動になっちゃうのはつらいよね。


「まあ……あれだ……がんばって……」


「はーい……」


 まあこれで言質が取れたので、早速作戦開始だ!


「【空間転移テレポート】!」


 三連続目の空間転移テレポート

 今度は全部隊が見渡せる遥か上空へとやってきた。


「モナカ! ヤハルタが出てくる!」


 エシュリーの声を聞きガンデブリング火山の方を見ると、その光景にゾッとした。

 二万メートル級の巨大な山体に、無数の銀光沢の筋が網目のように張っているのだ。

 まるで山全体が生命に侵食されてるみたい。

 これ本当に神様か? なんかの怪物じゃあなかろうか。


「【透視シーングスルー】」


 エシュリーが透視の呪文を掛けてくれる。

 さすがに神の魔法までは無効化できないか、結界が張られているはずの飛行船の中にいる人までハッキリと見えた。


「それじゃあ、いっくよー!」


 眼下の一団に向けて視線を集中させる。

 久々に使う力だ。

 超美少女であるために備わっている、誰もを魅了し支配する魔性の目である。

 特別なエフェクトなど無いため見た目は地味だけど、規模は視界範囲内全部とやたらとデカい。


「無事支配できたよー! ラグナ以外……」


「よし! モナカ、全軍にヤハルタへ突撃するように指示を出すのだ! 【音声拡張サウンドエクステンション】!」


 エシュリーが今度は音声が届く範囲を拡張する魔法をかけてくれた。


「みんなーっ! 攻撃準備ー用意ーっ!」


 眼下の飛行船団、有翼人ルーファレティウス、ドラゴンたちが各々の陣形を取り始める。

 そんな間も、ガンデブリング火山の網目が発達していき、銀色の山体へと姿を変えていく。そして中腹に巨大なコブが現れ、そこから無数の触手が宙へと伸び出していた。


「あのデカいこぶが中心だろう。アルハト王もその中にいるかもな」


「そっか、あれをやればいいのか」


 全部隊の配置が完了したのを見て取り、いよいよ攻撃の合図にうつる。


「ぜんぐーーん! 目標! 火山に張り付く銀色の怪物! いっけーっ!」


 大量のドラゴンの咆哮や有翼人ルーファレティウスの雄たけびと共に全軍が一斉にヤハルタへと突撃していく。


「わたしが景気付けしてやる! 【極大爆破アルティメット】!」


 エシュリーが放つ大爆発がヤハルタ本体に炸裂し、そこから伸び出た触手を全部薙ぐ。

 それに続くように、飛行船団の砲撃や有翼人ルーファレティウスの魔法弾が山体に張り付く触手を次々と討ち果たしていく。

 さらに近付いた数千という数のドラゴンたちが炎を吐き出したあたりで、山体全体を覆うヤハルタの網目から数千数万という触手が飛び出してきた。

 こちらの軍勢とヤハルタの触手たちとの混戦が始まったわけだ。


「すごいよねーあれだけの数の触手が別々の目標と戦ってるって、わたしがあの数の触手とか操ったら頭がこんがらがりそうだ」


「みなが触手の相手をしてくれている間に、本体を叩くぞ」


 エシュリーが言うが早いか空間転移テレポートで行ってしまう。

 わたしもすぐに行かないと。


「【空間転移テレポート】!」


 本体と思われるデカいこぶの前に出る。

 遠くからはいまいち分からなかったけど、とにかくデカい。

 コブだけで百メートル以上あるんじゃなかろうか?


「【極大爆破アルティメット!」


 すぐ近くでラグナの声が響く。

 ヤハルタに魔法が直撃したのか、こぶが少し震えてる。


「ラグナ!」


「モナカさん! とっととあれを、やっつけちゃいましょう!」


 ラグナに答えるように呪文詠唱を始める。


「【極大爆破アルティメット】!」


 同じ魔法を叩きこんでやる!

 これより強いの知らないし。

 何度もやられて怒ったのか、ヤハルタがこちらに数本の触手を伸ばす!

 突如わたしの周りで突風が吹き荒れる。

 何ごとかと思ったら数体のドラゴンたちが飛んできていた。

 そいつらが向かってくる触手を引き受けてくれてるみたいだ。その強靭きょうじんな牙や爪で触手を引き裂いていく。


「おおっ! ありがとう!」


 周りの皆に守られてるなら攻撃に専念できる!

 それから何度も魔法を連打で撃ちこんでやった。


「モナカ! あともう少しだぞ!」


「エシュリー!」


 今まで別の場所にいたのかな? エシュリーがこちらに飛んで来た。


「あともう少しって?」


「周りを見ろ。広く展開した触手を維持できなくなっているぞ」


 エシュリーに言われ周りを見ると、確かに山体に張られていた触手の網目がボロボロとはがれて来ていた。


「なろほどー、終わりが近そうだね」


「モナカ、とどめを刺すぞ!」


 エシュリーにうなずき、同じ呪文を詠唱する。


「【極大爆破アルティメット】」


 ヤハルタの本体が泡立ち、液体であるかのように山のふもとへと流れていってしまう。

 周囲で戦っていた触手群も全部流れ落ちていく。

 火山のふもとに液体金属の巨大な湖を作り、神ヤハルタは滅んだ。




「エシュリーちゃん大レベルアップーっ!」


 よほど嬉しいのか、エシュリーがイスの上に立ちダブルピースを掲げていた。


「おめでとー」


 アリスひとりの拍手だけが空しく部屋の中に響く。

 帰りの飛行船の中、いまラウンジにはわたしたちだけだ。


「いやーわたしも最後の戦いに出たかったよ」


 リンは心底残念そうにしている。


「まーまー、仕方ないよ。けど、ケガがすぐ治って良かったね」


「変身状態だと再生能力が働いてるから勝手に治っちゃうんだよ」


「おお、わたしと同じ体質か!」


「それは体質なのかな?」


 リンと掛け合いしている間に、アリスが割り込んでくる。


「ねね、モナカもまたパワーアップしたってこと?」


「うん、そうみたい――実感ないんだけど」


 今回も、ヤハルタとダグダの魔窯まがまの二柱分の神を討ったことで大幅パワーアップしたみたいなんだけど……


「今のモナカなら普通の神とも五分に戦えるだろう」


「おおっ! 女神モナカ!」


「われをあがめよおー」


「ははー」


 アリスとリンが床に正座してわたしをあがたてまつる。


「モナカさまージュースですー」


「モナカさまーお菓子ですー」


「うむ、くるしゅうないぞよ」


 なんだろこれ?

 ともあれコレで北の国シャルハルバナル湿原の国ディグレイス・メイルズ蒸気機関の国スティレル竜の国ドラグナーと四カ国を併合してしまったわけだ。

 驚異の超大国エシュリーンは――


「おいモナカだけずるいぞ! わたしにもそのフィナンシェよこせー!」


「ちょっ! エシュリー飛び掛かってきたらジュースこぼれちゃうでしょ!」


 このヘンテコ幼女神の支配下でいいのだろうか?

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